西江さんはまた,名エッセイストで,魅力的な旅のエッセイを数多く残しています。 彼自身が編んだ『日本の名随筆別巻51 異国』(作品社,1995)には,自身の『プログレッソ』という随筆が収録されています。長いものではないので,全文をご紹介します。 東京郊外のK町には,どこか国籍不明の雰囲気が漂っている。 その町の雑踏の中で,一人の少女が,汗ばんだ浅黒い腕に小型の犬をしっかりと抱いていた。 しなやかそ . . . 本文を読む
文化人類学者/言語学者の西江雅之さんは,50カ国語以上をしゃべれるという噂のある語学の天才です。 彼の半生記『わたしは猫になりたかった』(新潮文庫)には,驚くような話がたくさん出てきます。 幼時,東京郊外で狩猟採集生活を送っていたこと。田んぼのドジョウやカエルをつかまえては焼いて食べ,カイコの幼虫を生で食べてみたら甘かったなんて。 私はカイコのさなぎ(ポンテギ)の炒めものは食べますが,幼虫をナマ . . . 本文を読む
先日,冬物の服をまとめて近所のパッレバンに出しました。 パッレバンはセタクソ(洗濯所)ともいいます。「パッレ빨래」は「洗濯」。日本語より韓国語のようが漢字語比率が高いので,ふつう,日本語では漢字語と固有語が両方あるのに,韓国語は漢字語一本槍という場合が多いのですが,パッレの場合は逆のようです。日本語には「洗濯」という漢字語に該当する和語がなさそう。 スーツ上下二着に, . . . 本文を読む
読売新聞によれば,1901年に英国で自費出版され,その後世界じゅうに広がって今や全世界に愛されている『ピーターラビットのおはなし』が世界初訳されたのが,なんと日本だったそうです(→リンク)。 いままで最古とされていたオランダ語訳の1912年をさかのぼること6年,1906年(明治39年)の「日本農業雑誌」に「お伽小説悪戯な子兎」というタイトルで掲載されたらしい。 当時盛んだった,西欧文化の翻訳紹介 . . . 本文を読む
先週、ちょっと気分のいいことがありました。 夜,すでに私が会社を出たあと,あるタクシー運転手から会社に電話が入ったそうです。車内で会社のカードキーを拾ったのだが,カードに社名と電話番号があったので電話してみたと。 実は私,その日自分のキーが見当たらなかった。てっきり家に置き忘れたんだろうと思って,家に帰ってから探したがない。 犯人は私でした。 前日,新世界デパートまで歩いて行き買い物をしたあと, . . . 本文を読む
フランス語と違い,韓国語は好きだ(チョアハダ 좋아하다 )と愛する(サランハダ 사랑하다 )を言い分けます(参考)。それは日本語も同じ。 じゃあ,韓国語の「サランハダ」と日本語の「愛する」はニュアンスまでまったく同じかというとそうではない。似ているようでかなり違うというのが私の感想です . . . 本文を読む
またもや慰安婦問題で韓国の言論が騒いでいます(→リンク)。ソウル大学社会学教授が,ルース・ベネディクトの『菊と刀』まで持ち出して,中央日報にコラムを寄稿している。曰く,「生存する慰安婦たちの血なまぐさい証言」「歴史で人よりもっと確かな証拠がどこにあるか」「動員の強制性を立証する歴史的文献を探してみろと強弁する姿」「犠牲者たちのあらゆる証言があふれ出ても」 またか,という感じです。 被害 . . . 本文を読む
NHKのBSで,フランスの新大統領当選の模様を伝えていました。 サルコジ,サルコジと,新大統領の名前が繰り返されるのを聞いていると,なんとなく家の中で皿洗いなどをこまめに手伝う,家庭的な旦那さんというイメージが浮かびます(韓国語は食事の後片付けを「ソルコジ」と言います)が,右派強硬派だそうですね。 当選直後の演説では,サルコジさん,興奮した面持ちで「ジェム ラ フランス」を連発し,同時通訳者は「 . . . 本文を読む
「精神」という言葉,日本語でもふつうに使いますが,韓国語のほうが使用頻度が高いようです。 日本では「自主独立の精神」「精神的に疲れる」「精神に異常をきたす」… ちょっと固い表現でよく使われますが,韓国語では日常的な表現の中でも「精神(チョンシン 정신 )」が活躍する。 よく言うのが「チョンシン オプタ 정신 없다 . . . 本文を読む
少し前のことですが,ロシアのチェリスト/指揮者のロストロポーヴィチが亡くなりました(→リンク)。 実は私,歌謡曲やロックなどには一向に関心がなかったのですが,中学3年生のときステレオ・コンポを買ってからクラシック音楽に目覚め,大学時代には「古典音楽鑑賞会」というオタク的なサークルで仲間と音楽批評の真似事をするようになりました。 アルバイトで稼いだお金のほとんどはクラシックのLP(まだCD時代に入 . . . 本文を読む
まず,偵察した二軒の共通点を洗い出してみました。①肉が旨い。②メニューが少ない。③ヤンニョムが独特。④ミッパンチャン(無料のおかず)が貧弱。⑤店が汚い。 こんなところでしょうか。まず、①肉の質 経理団の肉は高いだけあって,質もいい。一方,三角地のチャドルパギは冷凍ものだし,そんなに特別な肉とは思えません。しかし,旨い。 これは回転率が関係していると思います。ふつうチャドルパギといえば,焼肉屋のサ . . . 本文を読む
さて,日曜日,鐘閣で待ち合わせたわれわれ3人(私とママと店のアガシ)は,まず①鐘閣カルビサルに向かいましたが,なんと休業。 いきなり出鼻をくじかれました。 ここの売り物はカルビサル(骨なし)とソマクチャン(牛の胃)の炭火焼き。それぞれソース(ヤンニョム)が違い,カルビのほうはポン酢系,ソマクチャンはピーナッツのすりおろしたものをベースにしたこってり系。ソマクチャンは数量が限定されているので売り切 . . . 本文を読む
先日,明洞のあるバーで飲んでいると,そこのママが6月から焼肉屋をオープンするという。以前からやりたいという話は聞いていたのですが,いよいよ夢が実現するようです。 チェーン店のフランチャイズで,肉は決まったものを出さなければならないけれど,メイン以外のメニューやミッパンチャン(サービスのおかず),そしてインテリアも自由だそうことで,今,どんな店にするか知恵をしぼっているという。 よし!じゃあ,成功 . . . 本文を読む
毎年,この時期にソウル市庁のあたりでHi! Seoul Festivalという催しがあります。 今年は4月29日の日曜日に,ソウル市庁前広場で民俗舞踊のコンサートがあったようです。同時に市庁の敷地内に各国のブースが設けられ,国ごとにエスニック料理や民芸品などを売ります。大使館の人やその家族が中心にやっているようで,食べ物は素人料理の域を出ていませんが,ソウルはエスニック料理のレストランが少ないの . . . 本文を読む
さて,私が陰ながら協力した「日本マンスリーレポート」も多少の役には立ったのか,李君,持ち前の行動力を発揮して秘書としての実績を積んでいきました。 時は金泳三(YS)時代。 YSは釜山の南,巨済島の出身。李君が仕えていた議員はYSの盟友というべき長老で,政界に隠然たる力をもっていた。 ある日,先生の紹介で李君は「大統領秘書官」として取り立てられることに。まあ,大統領の秘書官というのは100人以上い . . . 本文を読む