日本・ベルギー・英国 喫茶モエ営業中
Brugge Style
倫敦の珈琲屋
3年前(!)にベルギーから英国へ転居してきたとき、「英国の水でいれるコーヒーが少しも美味しいとは思わない。さすがに紅茶はとても美味しく、一挙に紅茶派になった」と書いた。
お客さんにしか使わなくなったネスプレッソマシンは物置の出し入れしやすい場所に片付けてしまったほどだ。まあジョージも結婚したしね。
半年くらい前のある日、突然ドリップやフレンチプレスでいれたコーヒーが飲みたくなった。ドリップ式のコーヒーを供する店は、英国ではほとんど見かけないのだ。
夫も時々、家でもコーヒーが飲みたくなるらしく、すぐに導入すべしと同意。早速コーヒー豆の専門店を近所で探したが、英国ではどこにでもあるものではない(スタバとかでは買えるけど...)。結局ロンドンのH.R. Higginsはどうだろうかということになった。
その香りは言葉では表現できない。
脳天まで一気に届く香り。
供給が間に合わず、郵便で頼んだりもするのだが、配達の外箱からも尋常ではない芳香が漂う。郵便屋さんが東方の三博士に見えるほどだ。
ミルで豆を挽いていると幸福感が押し寄せてき、前庭にコーヒースタンドを開いて、人々に幸せのおすそ分けをしたくなる。
結論。英国の水でいれるコーヒーがおいしくないのではなく、英国の水でいれるネスプレッソがあまりおいしくないのかも...
一説によると、味覚障害を患う英国には最低級のコーヒー豆とワインがあてがわれているとかなんとか...(うん、ワインはどの通りだと思う!)これは味覚障害が云々よりも、消費量が他の欧州諸国に比べて低いからなのだろう。
H.R. Higginsは百貨店せルフリッジからほど近くメイフェアにあり、豆の販売だけでなく、地下ではコーヒーを飲むこともできる英国には数少ないコーヒー専門店だ。店の内装はまるで植民地時代から何百年もの歴史があるような雰囲気だが、創業1942年。
ちなみにコーヒーハウスの歴史は英国では意外と古く、1652年。コーヒーハウスでの活発な議論がイギリス民主主義の基盤となったというのだからおもしろい。
そういえばTVシリーズ「ブラック・アダー」にもエキセントリックなコーヒーショップが出てくるのが印象的だった。
「コーヒー・ハウスは、情報収集の場としても重要な役割を果たした。有名な店にギャラウェイ・コーヒー・ハウスがある。17世紀中頃、当時の金融センターであったロンドン・シティの取引所近くに開かれ、多くの商人が情報を求めて集まったという。また、ロイズ・コーヒー・ハウスには、船主たちが多く集まり、店では船舶情報を載せる「ロイズ・ニュース」を発行していた。店で船舶保険業務を取り扱うようになり、これがロイズ保険会社の起源である」(ウィキペディア、「コーヒーハウス」の項より)
現在ではギャラウィはパブになっている。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )