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「タイタス・アンドロニカス」シェイクスピアはお好き?




こちらでは新年は2日から通常運転、昨日は年末ストップしていたのであろう荷物がどんどん届き、サンタさんが来たかのようだった。

わたしは今朝から床を丁寧に洗い、新年早々たいへん清々しい。
午後からお客さんを迎える用意完了!

......


2017年の劇場通いは28日で幕を閉じた。

年末の来客の合間をぬっての観劇は、平静をとりもどす息抜きのつもりだったのだが、シェイクスピアの最も残忍な悲劇(その残忍さゆえに20世紀まではほとんど上演されていなかったとか)「タイタス・アンドロニカス」を見てしまった。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー@バービカン。

こんな血で血を洗う悲劇をもって2017年を納めていいものか、もっと楽しくてハッピーなものを見たほうが験担ぎになるのではないか、と開演まで実は心穏やかでなかった。

シェイクスピアはうちでは夫の趣味だ。わたしはバレエが好き、彼はシェイクスピアやギリシャの演劇が好き、共通するのはクラシック音楽と美術鑑賞。しばしばバレエ鑑賞につきあってもらうので、わたしも笑顔でつきあう以外なかったの!


「タイタス・アンドロニカス」の二進も三進もいかない血みどろの復讐劇(登場人物が復讐とその復讐またその復讐で全員殺される)の筋はなんとなく知っていたが、観劇するのは初めてだった。

主役はゴート族と戦って凱旋したローマの将軍タイタス・アンドロニカスその人だが、復讐を最初から最後まで引っ張っていくのは間違いなくムーア人のエアロンだ。エアロンは、元ゴート族女王であり現ローマ皇帝妃タマーラの愛人という役どころ。

登場人物が復讐に次ぐ復讐に狂乱し、そのサイクルから抜け出すものが一人もおらず、「話し合い」「説得」「相互理解」「おとしどころ」など、完全に言葉(つまり理性)を断たれている時に、ムーア人のエアロンだけが巧みに言葉を操り、人に影響を与え続ける「悪魔」(アダムとイブを誘惑した蛇を思い出した)だからだ。


この劇は、言葉を使って仕事をしたシェイクスピアの、The pen is mightier than the sword(ペンは剣よりも強し)宣言だったのだろうか、などと...


来週は同カンパニーの「ジュリアス・シーザー」を見る予定。

芸術ジャンルには偏見を持たず、今年は自分ではチケットをアレンジしないような分野の作品もたくさん見たいです! 
あまり興味がないものに、自分がなぜ興味がないのかを考えるのもおもしろい。
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