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「モレルの発明」




アラン・ロブ=グリエが、映画「去年マリエンバード」の下敷にした作品があるという。

アドルフォ・ビオイ=カサーレス(ボルヘスの後継者と言われる)原作 Morel's Invention「モレルの発明」(1940年)。

同名の映画(1974年作品)をついに見た。

ずっと見たいなと思っていたのだが、手に入らず、最近になってネットで見つけたのだ。
で、鑑賞のタイミングを計っていて...

なんと「去年マリエンバードで」の元ネタはSFだった。

ネタバレになるので詳しくは書かない。
時間と空間両方の世界の最果て感と絶望感、それでも希望を抱かずにはいられない人間の姿がすばらしくおもしろかった。
モエと好きなものが似ている方はぜひぜひ。


小説の方はボルヘスをして「完全なる小説」と言わせたとか。ロブ=グリエが影響されたというこの原作もぜひ読んでみたい。


......


これを見たら映画「去年マリエンバードで」も見なければ。
ついでに「メイキング・オブ『去年マリエンバードで』」も(右はAを演じるデルフィーヌ・セイリグ)。


「去年マリエンバードで」は、メタレベルの映画といえばいいのか、映画で何かを伝えたり表現したりすることが目的ではなく、そもそも映画を使って何を思考できるのか、あるいはできないのかを試す実験...

だから映画に何を求めるかでこの映画が好きかどうかは分かれる。



今回のわたしの解釈は前回と一部違っており、

主人公の女性Aが白いトーンの服装をしているときは過去か、AかXかが過去の話をしているとき。
黒の服を着ているときは現在の話。

Aは療養に来ているというMによる描写があるので、去年Xとの出会い以降彼女は記憶を喪失している。
それはXが死んだからである(ベランダから落下して? AかMに撃たれて?)。

彼女は今年次第にXの幻を見るようになり、Xが戻ってきて彼女を連れ去ろうとする。

時々、Aの夫Mが現在見ている「現実」が挿入される。

人が動かなかったり、建物や着物の様子が変わっているのは、すべて記憶の中の人々やものだからであり、同じ話が繰り返されるのもすべて記憶の中の話だから...


2018年1月。
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