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Brugge Style
ロメオの心、ここに在らず
in Romeo and Juliet.
© Andrej Uspenski.
2022年2月1日公演ロイヤル・バレエの『ロメオとジュリエット』Romeo and Juliet, Marianela Nuñez as Juliet and Federico Bonelli as Romeo。
カタルシスが起きなかったと言えばいいのか、どこかすっきりとしない舞台だった。
この主役の組み合わせでは、前回の方が数段良かったとわたしは思った。
一幕目の舞踏会での出会いの場面も、重要なバルコニーのシーンでも、Federico Bonelli演ずるロメオは、シロウト目で見た限りでは「腰でも痛めているのかしら...」と。特にリフトには悪戦苦闘しているように見えた。
当夜は開演前にロイヤル・バレエのダイレクターKevin O’Hareが登場。
Federico Bonelliは今年5月にNorthern Balletへダイレクターの地位で移籍する旨、最後のロメオ役であると伝えたのが内容のひとつであったのだが、Bonelliロメオの心はもうそちらへ移ってしまったのではないかという感じ。
星の巡り合わせで出会い、恋に落ち、死を選ぶ若い男女の濃密な数日間、という緊迫した関係性が伝わってこず、精彩に欠けたと思う。
あるいは好意的に解釈すると、退屈していたロメオには、対象がジュリエットでなくてもよかったのだな(現にロメオはジュリエットに出会うまで別の女性ロザリンドに夢中だった。ロザリンドは皆の憧れモテモテの女性である)、単に人生を猛烈に加速するための恋愛であったのか、となる。人間ってそういうことをするでしょう?
ロメオとジュリエットの間柄がそんな雰囲気だったため、ジュリエットが父親によって結婚を強いられるパリス(Lukas B. Brændsrød)を嫌がる関係性の方に、より説得力があった。
オーケストラも(もしかしたらわたしの席が良くなかったのか)モタモタしたところがあり、ダンサーそれぞれと全体を見ても、出番が遅れたり、早すぎたり、音楽との合わせ方のおかしなところあり、「もしかしてみなさんこの演目を演じることに飽きていないか?」という...
個人的にはそんなことを思わされた。
ダンサーとて人間、舞台は常に一回限りなのだから、さまざまな心身のコンディションによって出来具合が変化するのは当然である。そこがおもしろいところでもある。
「全然わかってない」とプロの方に言われてもいい。なぜなら舞台芸術はプロにだけ向けて公演されるものではないからだ。
一方、ノーザン・バレエ団は、『ジェーン・エア』や『1984』『ヴィクトリア』『カサノヴァ』など、優れて興味深い作品を多く制作しているので今後どうなるのか楽しみだ。
もうひとつ気になったのは、たしか席は完売だったのに、空席が目立ったこと。
オミクロン株の逆襲でなければいいのだが。
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