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コロンブスの墓




クリストファー・コロンブス。
16世紀の探検家・航海者・コンキスタドール、奴隷商人。

彼は、前世紀には確実に「アメリカ大陸の発見者」「不屈の精神の大冒険家」と称えられていた。
小学生向けの『偉人の話』シリーズの常連でもあったと記憶している。

最近の研究成果では、彼の発見は「大西洋を横断してアメリカ大陸に到着する航路を発見」にとどまり、先住民殺戮(コロンブスの新大陸上陸時に約800万人だったインディアンの人口は、15世紀末までに、3分の1まで減少。以降死亡率は倍加)は凄惨をきわめたことなどから、単に「偉人」という評価はされなくなっている。

その出自や、肖像画の真偽(教科書にも載っていたあの肖像、真偽が定かでないそうですよ)、「コロンブスの卵」の逸話も彼のものかどうか疑問視されている上、スポンサー・イザベル1世を最終的に説得できた決定的理由は何だったのかなど、わかっていないことも多いという。


しかし最近、彼について確実性の高い話がひとつ出た。
去年だったか、セビリア大聖堂に鎮座する「コロンブスの墓」はDNA鑑定の結果、おそらく本物であるという研究結果が出たのだった。


セビリア大聖堂は(最後の写真)、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント・ポール大聖堂に次ぐ3番目の威容を誇る。

今でこそ、セビリア? という感じかもしれないが、1717年に至るまで、セビリヤは新世界との貿易をほとんど独占する都市だったのだ。



ムリーリョ、スルバラン、ゴヤなどの絵画がたくさんある


こちらの「コロンブスの墓」の意匠がすばらしい。

イベリア半島の王国、レオン、アラゴン、カスティーリャ、ナヴァラの諸王(の具象)が四角を棺担しているのである。



あの世への旅立ち。


国からそこまでの敬礼を受けているのも当然といえば当然、コロンブスの発見した大西洋航路は大航海時代の幕開けとなり、スペインは新世界に侵入、莫大な富をもたらし、ヨーロッパが世界を征服する第一歩になったからであろう。

そもそも、アジアとの貿易でヨーロッパは常に赤字だった。
ヨーロッパは当時の先進の地アジアに売れるものはほとんど持っていなかったのである。
それが南米の銀(ポトシ銀山)を輸出することによってやっとバランスを取るようになる。

また、コロンブスが持ち込んだサトウキビは大西洋貿易で最も重要な商品となった。砂糖である。西アフリカから奴隷が中南米に送られ、サトウキビを栽培させた。

世界はこのときから「ひとつ」になり、グローバル化に向けて突っ走るのである。
北の豊かな生活を続けるために南を利用して搾取する「帝国主義的資本主義」。




人の功罪の検証には何百年という年月がかかるのだ...

「国葬」なんかを軽々にして、神格化されたら公平な検証ができなくなる。それを行う権力を正当化するのに利用されてしまう。それこそ民主主義の危機である。
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