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Brugge Style
テラス席、すばらしき文化
一年を通して比較的乾燥しているからか、真夏でも日陰や日没後は涼しいからか、はたまた日照時間が短いからか...
ヨーロッパの風物の一つといえばテラス席である。
上の写真は最も普遍的と言えるスタイルの、大陸ヨーロッパ街なかの「テラス席」を選んでみた。
こういった、レストランやカフェが店内を外に延長した形態は、欧州大陸の北から南まであらゆる場所で見られる。
暑かろうが寒かろうが、雨が降ろうが雪が降ろうが、椅子とテーブル、パラソルや植物の日除け棚さえあれば!
真冬でも毛布とストーブを提供して営業しているところもたくさんあるし、多少の雨はなんのその、皆、座れる可能性があるなら絶対にテラス席を選ぶ。
南欧の終わらない夏の夜のテラス席で「ローマ皇帝でもこんなに楽しかったことはなかったんじゃないか?」などと悦に入るのは言わずもがな、雪降るスカンジナビアのテラス席でストーブに当たりながら熱々のコーヒーを飲み、甘いパンを食べる喜びよ。友達と喋り始めたら、6時間くらいあっと言う間だ。
英国は厳密には欧州ではない。
ブレグジット後だからというわけではなく、彼らにはもともと欧州の一員という気持ちが希薄だった。
だからではないのだろうが、英国には(少なくともわたしの住んでいるイングランドには)野外で飲み食いをするテラス席という概念がほとんどなかった。
最近(コロナ前)でこそロンドンのおしゃれな一角にテラス席が出る傾向はあったとしても、どこもかしこもテラスだらけになる欧州大陸に比べたらほとんどないに等しかった。
英国は雨が多く、気温も低いから...
と理由をつけることもできる。しかしそれでは似たような気候のベルギーがテラス席で埋め尽くされることの説明にならない。
もっと北のスカンジナビアにも、内陸の中欧でも、真冬でもテラス席がある。
そういえば、英国の誇る文化、パブには野外席(立ち飲みだが)があるな...
いや、とにかく野外でダラダラ飲み食いするテラス文化というものが(パブ以外)英国にはほとんどなかったのである。
ところがこの新型コロナ禍で、イングランドの飲食業界は営業方針を多少改めることにしたらしい。
特に三回目のロックダウンを徐々に解除中の現在、あと最低2週間は屋内の営業が禁止されているからだ。
わたしの住んでいるイングランド南部の街でも、あらゆる飲食店はじりじりとテラス席を増やし続けている。
最初は亭主も要領を得なかったり、予算が足りなかったり、習慣や規制が常化するかどうかの思案もあったのだろう、知り合いの物置から借りてきたようなありあわせのテーブルと椅子を出したような、間違っても座りたくないようなテラス席が目についた。
が、最近は不恰好でもテーブルクロスをかけたり、おしゃれなテーブルに入れ替えたり、花をいけたり、雨にも晴れにも役に立つパラソルを導入したりと、なかなか進化しているようだ。
この週末はイングランドはバンクホリデー(月曜祝日の3連休だった)だったが、残念な悪天候で、明日も気温9度という5月にしては寒い寒い春...
それでも街のテラス席は雨にも負ケズ、風にも負ケナイ英国人が鈴なりになっていた。
BBCのニュースでも傘をさしつつテラス席に座り続ける人たちの写真が紹介されていた。
このままこの文化が定着したらいいなあ。
いやそれよりも早く大陸欧州、例えばブリュッセルの友達に会いに行って、シャトランあたりのカフェで彼女と夜がふけるまで座っていたいなあ!
(今のところイングランドは5月17日から信号システムを導入し、青信号の国には遊びに行けることになる予定)
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