防衛局の大浦湾でのコンクリートブロック(CB)投下が県漁業調整規則にもとづく岩礁破砕許可・協議の手続きなしに行なわれた問題が連日、大きく報道されている。コンクリートブロックがサンゴ礁を破壊している衝撃的な映像は、地元のテレビ・新聞だけではなく、報道ステーション等の本土のマスメディアでも取り上げられた。こうした動きを受けて、翁長知事も、週開けには「作業の一時停止」を指示するのではないかと言われている。
しかし、コンクリートブロックの投下作業はすでに完了しているのだから、今、必要なのは「現状復帰(撤去)」命令であり、昨年8月28日、埋立工事区域(172ha)について出した岩礁破砕許可の取り消しだ。昨年8月28日の許可には、「本申請外の行為をし、又は付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある。」という許可条件が付されている(末尾参照)。翁長知事は、この問題が「辺野古新基地建設阻止に向け権限行使の第1弾となる」(2015.2.14 沖縄タイムス)のだから、許可条件違反で取り消しという毅然とした対応をとるべきである。
あわてた政府・防衛省は、「県の許可を得て行っている。問題はない。」(菅官房長官、2015.2.14 琉球新報)ともみ消しにやっきになっている。しかし、防衛局から県への回答文書では「浮標の設置が手続きの対象とならない旨が示されたことを踏まえれば、アンカーの設置に際しても岩礁破砕の許可・協議が必要ではない。」(2015.2.13 回答文書)としているだけだ。浮標については協議したが、アンカーについては協議をしていないことを認めているのだ(注1)。重さ45トン(3.5m×3.5m×1.6m)というような巨大なコンクリートブロックの投下について、県の事前の許可があったというのは全くのデタラメだ。
(注1)「許可を要しない行為」であっても、事前に知事に関係資料を添付した協議書を提出しなければならない。許可を要しない場合は、その上で「許可不要行為」という回答が出される。口頭だけの「協議」は有り得ない。
政府・防衛省のデタラメはこれだけではない。防衛局は県からの照会に対して、コンクリートブロック、鋼製アンカーの数量、重量等について次のように答えている(2015.2.2 回答文書)。
(右は県の再照会への回答(2.12)
しかし、ヘリ基地反対協のダイビングチームの調査によれば、大浦湾にはこれだけではなく、重量が2トンのコンクリートブロックもかなり投下されている。たとえば、次の写真でもその事実は明らかだろう。防衛局の回答は全く信用できないのだ。
(写真:ヘリ基地反対協ダイビングチーム提供)
防衛局は違法行為を行っただけではない。それを取り繕うためにデタラメな主張・報告を繰り返しており、とても許せない。翁長知事は、ただちに県漁業調整規則第39条違反だとして、投入されたコンクリートブロックの撤去を命じ、昨年8月28日の埋立工事区域の岩礁破砕許可を取り消さなければならない。
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昨年8月28日の埋立工事区域の岩礁破砕許可書を掲載する。許可条件に注意されたい。今回のような「本申請外の行為」の場合、知事は許可そのものを取り消すことができるのだ。