7月5日(水)午前8時、Nさんと辺野古漁港から「ブルーの船」で取付道路工事の現場に向かった。汀間漁港から出た「勝丸」は、K9護岸の監視を始めている。カヌーは13艇が辺野古から出た。
昨日までの台風の余波のうねりも収まり、辺野古のイノーは穏やかに凪いでいる。焦げ付くような太陽がまぶしい。今日は、今年一番の暑さになるようだ。時々、魚の群れが海面を走る。
辺野古側の取付道路工事の現場には、すでに大勢の海保の海猿たちが胸まで海につかって待ち構えていた。フロートの外でも6隻ほどのボートが待機している。海猿たちの数は50人ほどにもなるだろう。わずか13艇のカヌーになんという大層な態勢を取っているのかと呆れる。
しばらく待機を続けたが、作業が始まる様子もないので、大浦湾に出てK9護岸の様子を見に行った。K9護岸は100mほど基礎の捨石が投下され、その先端部に石材の網袋が設置されていた。そして、護岸の南側にはテトラポッドが並べられている。7月3日の防衛局交渉でも明らかになったが、やはり、これ以上の捨石の投下は当面はなさそうだ。あるいは、台風シーズンが終る11月末まではK9護岸の工事は止まるかもしれない。末尾にその理由を詳述する。
(上の写真でも、捨石の先端部に石材を入れた網袋が置かれているのが分かる。これ以上の捨石の投下はしばらくないということだろう)
(捨石の内側には、大きな消波ブロックを置く作業が続いている)
<論考>K9護岸の基礎部分の工事は今後どうなる?---11月末まで工事はストップか
K9護岸の工事は、台風シーズンが終る11月末ぐらいまでは止まるのではないかと思われる。以下、その理由を説明しよう。
下がK9護岸の断面図である。K9護岸は、基礎の捨石を設置した後、その両側に被覆ブロックを置く。その後、さらに高さ2mほど捨石を補充し、その上に砕石を敷きならしてコンクリートの上部工を造る。そして海側に消波ブロックを設置するという工程となっている。
現在、K9護岸は長さ100mほど基礎の捨石を投下した後、両側に被覆ブロックを設置することなく石材を入れた網袋を置いている。そして、先日からは石材を入れた網袋の上に直接、消波ブロックを置き始めた。
このような工事内容の変更は、埋立承認願書の「設計の概要」とは全く異なっており、本来なら知事に設計概要変更申請を提出して承認を受けなければならないのだ。
ところが、防衛局は、今回の消波ブロック設置について、「あくまでも台風接近時の高波などから護岸を守るための一次的なもの」と弁明し、「設計概要変更申請は必要ない」と主張している(7月3日、防衛局交渉)。
台風シーズンは11月末まで続く。台風対策というのなら、台風シーズンが終る11月末まで、本来の断面図のような工事をすることができなくなる。12月以降に、いったん設置した消波ブロック、石材を入れた網袋を取り除き、両側に被覆ブロックを置いた後に、再度、消波ブロックを設置することなる。大変な手戻り作業が必要であり、K9護岸の完成の時期は全く目処が立たないのが現状だ。
前述のように、基礎の捨石を100mほど設置した時点で、その先端に石材を入れた網袋が置かれ始めた。そのため、これ以上捨石を投下することはあり得ないだろう。本年4月26日、サンケイ新聞は「来年1月までにK9護岸は約100mの造成」と報じたが、これは事実だったようだ。
何故、わずか100mほどで工事を休止せざるを得なくなったのか? 以前から指摘してきたように、K9護岸は当初、工事用仮設道路①、同②が完成してから施工するとされていた。これらの道路が出来ないと、K9護岸造成のための大量の資材(石材だけで大型ダンプ9000台、被覆ブロックで大型ダンプ3000台等)を搬送することができないのだ。今回は、その準備も出来ないまま、基礎の捨石投下を始めた。そのために資材の搬入が追いつかないのだ。
これは、ともかく大浦案への石材投下が始まったということを見せつけて、県民の諦めを誘うことが目的だったことは明らかだ。
ともかく今後は、K9護岸の工事はいったん休止し、辺野古側、大浦湾での工事用仮設道路造成が中心になるのだろうか。あるいは、海上作業ヤードの捨石の投下だろうか。