9月29日(日)、辺野古訴訟支援研究会の主催で緊急シンポジウム「辺野古のたたかいの今と展望---2つの裁判と埋立工事」が開かれた。
紙野名古屋大学名誉教授の基調報告の後、県の辺野古訴訟を担当している仲西孝浩弁護士が、県が提訴した2つの裁判の内容について詳しく説明された。
県が最初に提訴した関与取消訴訟、そして2件目の抗告訴訟でも、訴訟の対象になるのかどうか、県には訴える資格があるのかどうか等が、まず争点となっている。私も、抗告訴訟で気になっている、最高裁の宝塚市パチンコ条例事件判決をどう突破するのかという質問をさせてもらったが、「事例が違う」というだけの主張では最高裁判決の壁はやはり厚いのではないかという感想を持った。
最高裁判決を覆すためには、それこそ全国の行政法学者や弁護士さんらの協力を求め、態勢を強化して裁判に臨む必要があるのではないだろか。今日の説明でも、理屈の上では県の主張が絶対に正しいと思われるが、現在の司法の状況を考えてみた場合、裁判の前途は決して楽観できない。
県は現在、裁判に全力を傾注している。しかし、敗訴した場合に、それでも辺野古新基地建設を阻止するため全力をあげるのだという具体的な方法を県民に示すことが必要だろう。
まず、重要になるのは、来年初めにも予想される軟弱地盤の地盤改良工事の設計概要変更申請への準備である。国は、有識者による技術検討委員会を立ち上げ、知事が不承認とすることができないような状況を作ろうとやっきになっている。県も、地盤改良工事の技術的な問題や、大浦湾の環境に与える影響等について、多くの資料を集めたり、専門家等への検討依頼等の準備を進める必要があるが、そのような作業は進んでいるのだろうか?
また、県が持つ条例・規則を全面的に見直し、ともかく辺野古新基地建設を阻止するのだという立場で、条例・規則の運用にあたることが必要だろう。安和桟橋や本部港(塩川地区)からの土砂搬出についても、現行の条例・規則の範囲でももっともっとできることがあるというのは、再三にわたって指摘してきた。さらに、土砂条例や県土保全条例等の改正、海砂採取の総量規制制定など、現行の条例・規則の不十分な点については、速やかに改正・強化に踏み切らなければならない。
そして何よりも、現場での県民の闘いとの連携を図ることが重要である。知事は、やっと先日、海上から工事の様子を視察したが、キャンプ・シュワブのゲート前の集会や、安和や本部で懸命の抗議行動を続けている県民の前にも、一刻も早く姿を見せるべきであろう。裁判の結果がどのようなものになろうとも、知事と県民との強い信頼関係がある限り、決して国の工事強行には屈しない。