辺野古埋立のために必要な土砂は総量2062万㎥という膨大な量だ。海砂が58万㎥、キャンプ・シュワブ内の山土が360万㎥使われるが、それ以外の1644万㎥が岩ズリ(購入土)である。
防衛局が埋立承認願書に添付した「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)では、岩ズリのストック量の約75%が西日本各地の採石場にあるとしており、土砂採取地としては、沖縄島以外では、徳之島、奄美大島、佐多岬、天草、五島、門司(北九州・山口)、瀬戸内(小豆島)の7地区が示されている。
先日、防衛局から開示された「シュワブ(H29)埋立実施設計」の報告書の中に、各地の採石場のH20年度(「土砂に関する図書」の数字)、H25年度、H26年度の岩ズリのストック量の調査結果が示されていた(「シュワブ(H25)資材調達検討業務」、末尾参照)。
それを整理したものが、下の表である。
(注)下の表の数字は、ストック量を示している。この「ストック量」と「年間出荷可能量」との関係はよく分からない。
この資料から、次のようなことが分かる。
1.沖縄県内では、従来の本部、国頭地区だけではなく、南部の糸満を含めて採取地・採取量を増やそうとしている。
2.沖縄から近い奄美大島でも採取地が増やされ、採取量も当初の計画の2倍近くになるようだ。
3.特に鹿児島県内では、県下全域に調査の対象地を大幅に増やしており、各地で大量の土砂が採取されるおそれがある。
4.他にも、従来にはなかった下関市や小豆島土庄町、そして宮崎県、佐賀県等での採取も調査の対象地となっている。
5.以上、辺野古への土砂採取地は、当初、防衛局が示した7地区だけではなく、西日本各地に広がる可能性が強い。
しかしこのような採取地の変更は勝手にはできない。埋立承認願書添付の土砂に関する図書の変更であるから、埋立承認の際の留意事項に基づき、知事の承認が必要である。
また、県外からの埋立土砂搬入は、アルゼンチンアリやセアカゴケグモ等の特定外来生物の侵入を阻止するための沖縄県土砂条例の対象となる。90日以前に知事に届出書を提出し、県が現地に立入調査を行う。そこで特定外来生物が見つかれば、知事は防除策を勧告するが、土砂の場合は石材のように洗浄という方法を取ることができず、駆除策はない。そのため、知事は搬入の中止を勧告することとなり、特定外来生物が見つかった採石場からの土砂の搬送はできなくなる。今回の土砂採取地の調査対象の大幅な拡大は、土砂条例に対応するために、採取候補地を少しでも増やそうとしているのかもしれない。
また、埋立願書の土砂に関する図書では、当初に予定していた7地区の搬出地では、岩ズリのストック量は2500万㎥だったが(H20年度調査)、H25年度ではそのうちの3ヵ所が閉山となり、H26年度の7地区のストック量も2011万㎥に減少している。そのために新たな採取候補地を増やそうとしているのだろう。
(「シュワブ(H29)埋立実施設計」報告書より)