(辺野古埋立承認についての百条委に出頭した仲井真知事)
2月21日(金)、午前5時に那覇の自宅を発ち、普天間基地大山ゲートへ。小雨の中、午前5時半からいつものように米兵車両への抗議行動を続けた。しかし、今日は辺野古の埋立申請承認問題の県議会百条委員会に仲井真知事が証人として出頭するので、一足早く午前7時前に大山ゲートから県議会に向かった。午前7時半に県議会着。百条委の傍聴席は15席しかないので急いだのだが、なんとか傍聴券を確保できた。午前10時から午後3時まで、知事に対する尋問を全て傍聴した。
午前10時前に仲井真知事が百条委の部屋に入ってきた。待ち構えていた県民から「知事は責任をとって辞職せよ!」、「承認を撤回せよ!」などと怒りの声が沸き上がった。県民の怒りはますます燃え上っている。
知事の答弁はふてぶてしいものだった。都合の悪い質問に対しては「百条委になじまない」と答弁を拒否し、肝心な点になると「覚えていない」と逃げ続けた。また、野党議員の質問中、自民党議員らから質問を妨害するヤジが相次ぎ、審議は再三にわたって中断した。あまりのヤジに、委員長が自民党議員に対して、「●●委員、これ以上ヤジを続けると退席させますよ」と注意を促したほどだ。
また答弁内容も矛盾だらけのひどいものだった。環境生活部が「環境保全への懸念が払拭できない」という意見書を出していたにもかかわらず承認した点については、「『懸念が払拭できない』というのはダメだということではない。」と開き直った。また、埋立承認の決裁書で「普天間の危険性除去は埋立によらなければ充足できない」と判断しておきながら、答弁では「覚えていない」と回答を拒否。さらに12月16日から、県議会を休んで東京で入院して政府要人とあっていたではないかという追求に対して、12月22日に菅官房長官と会っていたことは認めたが、「予算の話です。埋立に関する話はしていません」と逃げ続けた。
知事は、「埋立法の基準でいえば承認という結論しかなかった。政治判断ではない。」と再三にわたって繰り返したが、今回の承認はまさに「政治判断」そのものであることも明らかになった。昨年12月25日、知事は首相官邸で安倍首相と面談し、「沖縄振興」予算が増額されたことなどを受け、「驚くべき立派な内容」と最大級の感謝の言葉を述べている。その際、「(普天間の5)年以内の運用停止を実現していただきたい」「沖縄の基地問題についても日本全体の安全保障にお役に立っているという気持ちでやらせていただいております。」などとも述べた。これらが埋立申請承認につながったことが明らかだが、知事は、今日の答弁でこれらの4項目の「基地負担軽減策」について問われると、自民党議員が「関係ない!」と騒ぎ、知事も「この委員会の目的主旨とは関係ないので答弁は差し控える」と説明を拒否し続けた。
ところが、昼休み後、野党議員が、首相官邸のホームページに掲載されている昨年12月25日の首相と仲井真知事の面談の議事録を示して追求した。そこで知事は、首相への賛辞を述べた後、「安倍総理にご回答いただきました、やっていただいたことも、きちんと胸の中に受け止めて、これらを基礎に、これから先の普天間飛行場の代替施設建設も、建設に係る埋立の承認・不承認、我々も2日以内に最終的に決めたいと思っています。」と述べている。まさに「政治判断」で埋立を承認すると明言したものだ。
首相官邸のホームページでの自らの発言を示されて知事は狼狽した。「質問の意味が分かりません。」「その発言はどこにあるのですか。」とあわてたが議事録を示されると、「今日初めて読んだ。それが正しいかどうかはっきりしないところもある。」と開きなおった。そして「それを見ても、承認とは言ってないでしょう。」と逃げようとしたが、これはもう通用しない。この直後、知事は、12月22日に菅官房長官と会ったことを思わず認めてしまったが、やはり動転していたのだろう。
この議事録は次の首相官邸のホームページを見てほしい。
・首相官邸のホームページ「仲井真沖縄県知事との面談」(H25.12.25)
それでも今日の知事の証人尋問は、やや中途半端に終わってしまった感は否めない。最大の原因は、一人5分という質問時間の制限がある。敷名トンネルの百条委は、一人3分だったが、証人尋問の前に、時間ほぼ無制限の参考人尋問があった。今回、県側が資料の提供にも十分には協力しない中で、一人5分という質問時間ではどうしても足らない。時間を延長したうえで、知事の再尋問、知事公室長、川上副知事らの尋問が必要だろう。また、この日、野党議員から菅官房長官を証人として招致するよう動議が出された。24日に可否が決まるそうだが、これも是非、実現させたいものだ。
(昼休みには、知事の辞任を求め、百条委での知事追求を支援する集会が開催された。)
・「知事証人喚問 無責任県政極まれり」(琉球新報社説 2014.2.22)
・「知事証人喚問 政治判断ではないのか」(沖縄タイムス 2014.2.22)