6月30日(水)も、強い雨の中を名護へ。
この日、名護市議会では、美謝川切替問題についての名護市の対応を批判する決議が野党市議団の提案により可決された(また、土地規制法の即時廃止を求める意見書も可決されている)。
午後6時から名護市役所中庭で、名護島ぐるみ会議とヘリ基地反対協共催で集会が開かれた。雨の中だったが70数名が参加。土地規制法の問題について谷山さんの報告の後、私が美謝川切替工事の問題点と渡具知名護市長の対応の問題点等について説明した。
そして、今後の課題として、①7月上旬から着工が予想される美謝川切替工事の監視と抗議の取組、②市民に、名護市の財産の管理を怠り、辺野古協力に露骨に舵を切った渡具知名護市政の問題点を訴えるために、地方自治法に基づく事務監査請求を始めようと訴えた(この問題については、7月8日(木)午後6時から名護市港区公民館で学習会が予定されている。詳細は後日、説明したい)。
今日(7月1日・木)は、明日から始まる沖縄県議会土木環境委員会での陳情審査に向けて、①本部塩川港へのベルトコンベア設置許可問題、②遺骨混りの土砂採取を規制する条例制定問題、③まもなく予想される辺野古・設計変更申請への知事の最終判断問題等について打合せを行った。
以下、名護市議会の決議文を掲載する。
辺野古新基地建設のための美謝川付替え工事の中止を求める決議
沖縄防衛局は、辺野古新基地建設事業に伴う大浦湾埋立てにより河口が閉鎖される美謝川の水路付替え工事を開始しようとしている。本年度予算に工事費約10億円が計上されており、4月2日付「シュワブ(R3)美謝川整備工事」の入札公告を受け、今月18日には開札されたことから、まもなく工事が始まることが予想される。そもそも、設計変更申請の知事承認が得られる見通しもつかない中、大浦湾埋立てを前提とした河口閉鎖に伴う美謝川付替え工事を先行させることは許されない。
美謝川は法定外公共物であり、米軍への提供施設内は国の所有・管理だが、提供施設外は名護市が所有・管理している。名護市法定外公共物管理条例(以下、「条例」と略)では、敷地への工作物等の新設、土地の掘削、敷地・水面の使用等だけではなく、「付替え」や「法定外公共物の構造又は機能に支障を及ぼすおそれのある行為」についても、市長の許可(国等は協議)が必要である。
この問題で名護市議会は昨年、条例順守を指摘し「辺野古新基地建設のための美謝川付替工事に向けた辺野古ダムでのボーリング調査の中止を求める意見書」(令和2年意見書案第19号、沖縄防衛局長宛)と同決議(令和2年決議案第18号、名護市長宛)を採択し抗議したが、ボーリング工事は昨年12月から今年1月にかけて強行された。全く遺憾である。
今回、美謝川水路付替えにあたり名護市は、沖縄防衛局からの「照会」(令和3年4月21日付沖防第2498号)に対して、「協議は不要」(同年5月6日付名施設第58号)と回答した。名護市は、「洪水吐の付替えは美謝川付替え工事とは関係がない」と説明しているが、新設される洪水吐はあくまでも美謝川付替えのための水の取入口であってこのような詭弁は通用しない。ましてや、下流部の工事は上流部に影響を与えるので条例の対象となる。
さらに付け替えられた美謝川は、法定外公共物として私権が制限されるため、その底地の所有権を民地のまま放置することはできず、新水路の工事にあたって国が事前に買い取りすることが必要となる。付替え予定の水路ルートには名護市有地が存在している。名護市は国との賃貸借契約書の範囲内であり、国が「通知」するだけで工事可能と主張するが、水路にされてしまえばその土地は永久に使用できなくなるのであるから、このような形質変更はそもそも賃貸借契約の限度を超えるものである。
このように、美謝川切替え問題をめぐる名護市の対応は、名護市条例の適用を恣意的に解釈した条例違反であり、また市有地(財産)の保全・管理を怠る違法なものであり、政府・沖縄防衛局と歩調を合わせた事実上の辺野古新基地容認と言わざるを得ない。
よって名護市議会は、市民の財産と生命(水)を守る立場から、以下の点を決議する。
記
1、名護市は、令和3年5月6日付の名施設第58号「辺野古ダムにおける洪水吐の付替え工事及びそれに接続する水路整備工事の実施に伴う手続き等について(回答)」の誤りを認め、沖縄防衛局に対して、美謝川付替え工事にあたっては、名護市法定外公共物管理条例に基づく協議を終えるまで、工事に着手しないよう指示すること
2、付替え予定の美謝川水路部分の名護市の市有地につき、国が買収するまでは形質変更を認めないこと
3、辺野古ダム周辺土砂採取および辺野古ダム廃止に伴う美謝川集落関連遺跡群の保全と名護市法定外公共物の管理、保全に努めること。
宛先:名護市長