沖縄南部地区の遺骨混りの土砂が掘り起こされるということで問題となってきた「魂魄の塔」横の熊野鉱山開発問題が新たな段階に入った。
私たちは、熊野鉱山の土砂搬出道路が、貴重な戦争遺跡であるシーガーアブの上を通るため、アブが崩落するおそれがあると指摘してきた。県教委も、シーガーアブを埋蔵文化財包蔵地として認め、文化財保護法第93条に基づく届出を提出させた(6月9日の本ブログ参照)。
具志堅隆松さんと私たちは、県教委文化財課に対して、土砂搬出道路をシーガーアブの上を通らないルートに変更するよう指示すること等を求めた。しかし県教委は、6月19日、事前にシーガーアブの測量調査を実施するよう指示する通知を出し、アブの上を土砂搬出道路とすることを認めてしまった。
6月20日、文化財課の担当者を訪ねた。担当者は、「ルート変更について事業者の方に何度もお願いしたが、無理ということだった」と弁明した。しかし、下の図でも分かるように、土砂搬出道路はわざわざシーガーアブの上を通さなくても、その西側の何処でも通すことができるはずであり、納得できない。
しかも、シーガーアブの上に鉄板を敷くだけで、「壕が壊れないような対策が取られていると判断した」という。壕の上の土被り厚等の測量もしていない現状で、何故、壕が壊れないと断言できるのか? 石材、土砂を積んだダンプトラックが行き来することによって、地下のアブが崩落した場合の責任は誰がとるのだろうか?
また、通知文には、ダンプトラックの搬送が始まった後、壕に異常がないかどうかのチェック体制についても触れていないようだ。少しでも異常が見つかれば、ただちにダンプトラックの搬送を中止させなければならない。
ただ、文化財保護法の手続きが終れば、知事が土砂搬出道路の農地転用を許可するかどうかの判断が出される。農地転用が許可されれば、土砂搬出道路が造成され、いよいよ熊野鉱山の採掘が始まる。