辺野古側への土砂投入の遅れにあせる防衛局は、K9護岸、K8護岸先端へのスパッド台船設置や、超大型のデッキバージに大量の土砂を仮置きするなど、土砂陸揚方法の変更を強行した。
こうした土砂陸揚方法は、当初の埋立承認願書の環境保全図書にも記載されていない。変更のためには、まず、埋立承認の際の留意事項に基づき、知事の承認が必要である。
また、今回の設計変更申請書にも、こうした土砂陸揚方法の記載はない。実施するためには、設計変更申請書の該当部分を差し替えた上で、知事の承認を得なければならない(問題点の詳細は11月23日の本ブログ等参照)。
ところが防衛局は、11月30日、知事との協議もないままスパッド台船の運用を開始し、さらに12月12日にはデッキバージの運用も始めた。
残念なことに、この問題に対する沖縄県の対応は遅れている。「知事は、担当課に点検を指示していると語り、環境負荷などの影響を確かめる考えを示した。県は土砂陸揚方法の変更は約束違反と指摘。防衛局に協議を求めており、口頭で応じなければ文書を送ることも検討する」(2020.12.13 琉球新報)と報道されているように、防衛局に文書による指導も行ってこなかった。
県が文書による行政指導を行ったのは、防衛局が土砂陸揚方法の変更を発表してから1ケ月が経過した12月24日(木)である。この文書では、「県との協議を行うこと。協議が終了するまでの間、運用を停止すること」と指示しているが、従来の例からみても防衛局は、拘束力のない行政指導は無視することが目に見えている。
(沖縄ドローンプロジェクト 2020.12.11)
上が、今回、運用が始まったデッキバージである。総トン数13000トン、長さ141m、幅36m、積載量 9000㎥という巨大なもので、ランプウェイ台船8隻分、ダンプトラックにして1800台分もの土砂を堆積することができる。
現在、琉球セメント安和桟橋の敷地には大量の土砂を堆積しているが、同じように、海が荒れ台船の航行ができない場合でもデッキバージに堆積した土砂を陸揚げし、埋立の加速を狙ったものであろう。
しかし、このデッキバージでの土砂の堆積やベルココンベア使用は、知事への届出がされておらず、違法である。大気汚染防止法第18条では、「一般粉じん発生施設を設置しようとする者は、知事に届出なければならない」と定められている。1000㎡以上の土石の堆積、幅75cm以上のベルトコンベアは、「一般粉じん発生施設」に該当する(規模が小さい場合でも、沖縄県生活環境保全条例により知事への届出が必要である)。
移動する船舶には大気汚染防止法が適用されないとしても、デッキバージは自走することができず、アンカーで固定されている。しかも、辺野古側の土砂投入が続く今後2年間ほどにわたって長期間、運用されるものである。海に作業場が設置され、そこに大量の土砂を堆積する場合は大気汚染防止法が適用されることは言うまでもないが、今回の場合は、それに該当することは明らかである。海上作業ヤードが設置されているとして対応する必要がある。
大気汚染防止法では、違法な場合、知事は使用の一時中止を命じることができる。しかも罰則規程まである。
知事は、防衛局が今回の行政指導に従わない場合、速やかに大気汚染防止法に基づく中止命令を出すべきであろう。
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下の写真でも、デッキバージや台船による汚濁の拡散は明らかである。この問題については、後日、まとめよう。