辺野古新基地建設事業で防衛局が直面している難問は、サンゴ類の移植問題である。環境保全図書では、「事業実施前に、---移植、移築する」と明記されているが、辺野古側の埋立にあたっては、絶滅危惧種のサンゴ類を移植することなく近くで工事を進め、大きな問題となった。このサンゴ類の移植問題は、昨年8月の沖縄県の埋立承認「撤回」の理由の一つともなっている。
サンゴ類の移植には、県漁業調整規則に基づき、知事の特別採捕許可を得なければならない。今回の事業では、防衛局が定めた基準でも。7万4千群体もの移植を行うこととされている。
昨年9月3日、沖縄県は防衛局が申請していた約38,760群体の移植のための特別採捕許可を不許可とした。さらに、本年1月16日、防衛局の再申請に対しても、やはり不許可としている。県の不許可の理由は、「県の埋立承認『撤回』は国の違法な行政不服審査請求で執行停止されたが、『撤回』処分そのものは生きており、移植の必要性がない」というものであった。
ところが本年4月5日、国土交通大臣は県の「撤回」処分を取消すとの裁決を行った。そして4月26日、約38,760群体のサンゴ類の特別採捕許可申請を県に出した。
この申請の標準処理期間は45日間であり、明日(7月8日)までとなる。この標準処理期間は必ずしも絶対的なものではないが、それほど遅らせるわけにはいかない。明日中か、遅くとも来週中(12日まで)には県の結論が出されると思われる。
国が「撤回」処分を取り消してしまった現在、沖縄県が今までの2回の事例のように、特別採捕許可申請を不許可にすることが出来るかが注目される。
まさか、玉城デニー知事が、辺野古の事業推進のためのサンゴ類の特別採捕許可を出すことはあり得ないだろう。しかし、この間、琉球セメント安和桟橋敷地内への土砂堆積問題や、本部港(塩川地区)の港湾使用許可問題など、個々の許認可について県の残念な対応が県民の批判を浴びている。
辺野古新基地をあくまで阻止するために、知事の毅然とした判断を期待したい。
(サンゴ移植の手順 防衛局の特別採捕許可申請書(2019.1)より)