沖縄平和市民連絡会は、本年1月5日、辺野古設計変更不承認問題に関して、県に質問書を出していた。しかし、コロナ禍や県議会開会、また異動期とも重なったため、2月17日にデニー知事名の文書回答をもらっただけで、直接の意見交換の場を今まで持つことができなかった。
昨日(4月15日・金)、やっと県との意見交換が実現した。県からは、海岸防災課長・辺野古新基地建設問題対策課長・港湾課長らが出席した。
意見交換の詳細については、今後の県の法的措置の内容に触れることになるので説明を避けたい。ただ、重要な点だけを指摘しておこう。
3月29日のブログでも書いたが、3月25日、政府の地震調査委員会が長期評価を見直し、「南西諸島周辺でM8級の巨大地震のおそれ」と公表した。辺野古新基地建設事業は、埋立承認申請時から中小地震を対象としたレベル1の耐震設計にとどまっており、当時の仲井眞県政はそれで埋立承認してしまった。今回の変更申請についても、防衛局は、「当初の埋立申請でもレベル1地震動で県の承認を得た」と主張している。
設計変更の審査の際、県は地質学者らからなる「沖縄辺野古調査団」から、巨大地震を対象としたレベル2で設計を見直すよう申し入れを受けていたが、変更申請の審査では、結局、この問題を指摘することができなかった。
防衛局は、「米軍との調整の上、レベル1地震動で設計することを確認している」と主張し、技術検討会でも「米軍が認めているのなら、レベル1で問題はない」というようなアドバイスが出されている。しかし、本年3月、政府の地震調査委員会が上記のような長期評価の見直しを行ったのだから、もうレベル1の設計では対応できないことは明らかであろう。
次のような対応策が考えられる。
1.昨年11月の県の不承認理由は数項目にとどまったが、今後の抗告訴訟では、耐震設計の問題点等を不承認理由に追加する。
琉球大学の徳田教授は昨年12月末のオール沖縄会議の学習会で、「変更申請不承認は不利益処分ではないので、抗告訴訟では、原則、拒否処分の理由以外の理由の追加が認められる」と明言された。今回の国交相の裁決に対する抗告訴訟等の争いになれば、昨年11月の不承認理由以外の理由を追加すべきである(耐震設計の問題点、作業船の調達が不可能、南部の土砂問題等)。
2.今回の国交相の裁決により知事の昨年11月の不承認は取り消され、防衛局の設計変更申請中の状態に戻っている。そこで、今度は耐震設計の問題点等、昨年11月とは異なった理由で再度、設計変更を不承認する。
国交相は、取消裁決と同時に、「承認せよ」との勧告を出してきた。勧告には拘束力がないので無視すればいいが、次は「是正の指示」となるだろう。これにもとことん争うべきだろう。
そして、今回の不承認取消裁決により、設計変更申請中の状態に戻ったのだから、県は、上記の昨年11月の不承認理由とは別の理由で、再度、不承認すればいい。
3.政府の地震調査委員会の長期評価見直しにより、埋立承認の時点のレベル1の耐震設計が通用しないことが明かになったのだから、「埋立承認の撤回」に踏み切るべきである。
ともかく、今後、従来と同じような法廷闘争のやり方では、やはり、本論に入らないまま県の訴えが却下される可能性が高い。
県は、あらゆる手段を駆使して、新たな対応策を講じるべきであろう。