防衛局がやっと本年6月の辺野古の工事の契約状況を公表した。「シュワブ(R3)美謝川整備工事」、「シュワブ(R3)中仕切護岸新設工事」、「シュワブ(R3)埋立追加工事(1工区~3工区)」、そして「シュワブ(R3)擁壁工事(1工区、2工区)」の契約が締結されている。まもまく工事が始まるものと思われる。
そもそも設計変更申請に対する知事の承認が見通せないまま、防衛局が「変更申請に関係がない部分の工事は進められる」として工事を強行することは許されない。
「シュワブ(R3)美謝川整備工事」の問題点については先日のブログでも指摘した。今日は、「シュワブ(R3)埋立追加工事(1工区~3工区)」の入札の談合疑惑について説明する。
現在、続けられているシュワブ側の埋立工事はまず、「基準高+3.1m」まで埋立てる「シュワブ(H29)埋立工事」として2018年3月に発注された。1工区から3工区に別け、1工区は「大成建設・五洋建設・国場組共同企業体」、2工区は「安藤建設・間組・大豊建設・大米建設共同企業体」、3工区は「大林組・東洋建設・屋部土建共同企業体」が受注した。入札は一般競争入札で行われ、いずれも11社~12社が応札している。
その後、2020年3月、「基準高+3.1m~4.0m」までを埋立てる「シュワブ(R元)埋立追加工事」(1工区~3工区)が一般競争入札で発注された。しかし何故か、3つの工区とも当初の「シュワブ(H29)埋立工事」の受注業者1社しか応札せず、それらの業者がそのまま受注した。
そして今回、「基準高+4.0m~8.0m」までを埋立てる「シュワブ(R3)追加埋立工事」(1工区~3工区)がやはり一般競争入札で発注されたが、やはり3つの工区とも当初の受注業者1社しか応札せず、それらの業者がそのまま受注している。
これらの工事は辺野古側の各工区に土砂を投入するだけのもので、特殊な工事ではない。そのため、防衛局も毎回、随意契約ではなく一般競争入札で発注したのだ。当初の入札では11社~12社が応札していたにもかかわらず、何故、その後の2回の追加工事では、当初工事を受注した業者しか応札せず、それらの業者がそのまま受注したのか? これは各業者間での調整、すなわち談合が行われたものと言わざるを得ない。
このことは予定価格に対する契約価格の割合を示す落札率にも反映している。上の表の( )内の落札率は、当初契約では91%程度だったが、追加工事では94%~99%に跳ね上がっている。当初の1~3工区の契約総額は259億円だから、落札率が5%異なると13億円にもなる。その分、業者の儲けとなり、国民の税金が無駄になっているのだ。
さらに、辺野古側の埋立工事には、もう一つ、不可解な点がある。
大成建設を中心とした企業体が受注した1工区の工事費が特に大きいことに気がつく。これは、埋立工事ではなく、大浦湾や辺野古沖に張り巡らされているフロートや汚濁防止膜の維持管理業務が1工区の工事に含まれているからである。埋立工事とは全く関係のないフロートや汚濁防止膜の維持管理業務が埋立工事に入っているのは不可解としかいえない。
工事現場の外周を囲っているフロートは総延長10Km以上にもなるが、2014年、「シュワブ(H26)仮設工事」として大成建設に発注されていた。また、「シュワブ(H26)汚濁防止膜等工事」も大成建設を中心とした企業体が受注していた。その後、フロートや汚濁防止膜の維持管理業務は、大成建設を中心とした企業体の「シュワブ(H26)中仕切岸壁新設工事」に移された(これも当初の契約業務とは全く関係のない業務である)。そして防衛局は、「シュワブ(H29)埋立工事」に何故か、フロートや汚濁防止膜の維持管理業務を含め、それを大成建設を中心とした企業体が受注したのである。
すなわちフロートや汚濁防止膜の設置・管理業務は常に大成建設が受注しているのだ。防衛局が「シュワブ(H29)埋立工事」にフロートや汚濁防止膜の設置・管理業務を入れて発注したのも、大成建設が受注することを見越したものとしか考えられない。
これは、防衛局と大成建設が一体となった、まさに官製談合そのものではないか?
*なお、この問題については3月24日の本ブログでも指摘した。それが今回の6月28日の契約でも繰り返されたのである。各契約の入札契約調書はそのブログを見てほしい。