「魂魄の塔」横の熊野鉱山の開発問題が急展開し始めた。7月2日から現地で整地作業が始まったことは先日のブログでも報告したが、土砂搬出道路の農地の一時転用の手続きも始まった。
今まで、熊野鉱山では土砂の搬出ルートがないことが指摘されていたが、下の図のように開発予定地から北にダンプ道路を造成する計画が明らかになった。しかし、これらの土地の地目はいずれも「畑」であるため、ダンプ道路とするためには農地の一時転用の手続きが必要となる。
先日、糸満市で確認したところ、開発業者から7月上旬、農地一時転用の申請が出されていた。一帯は農振法の農用地区域であるため、農地転用は原則認められないが、3年以内であれば一時転用が認められる余地はある。糸満市農業委員会で審査された後、意見書をつけて知事に進達される。採取的には知事の判断となる。早ければ8月下旬にも許可される可能性があるという。
しかし、熊野鉱山の開発計画は5年間であるため、3年間だけの土砂搬出ルートの一時転用が認められてもその後、いったいどうするのか? 許可が切れてもそのまま農地に復旧されないおそれが強い。知事は、先のあてのない一時転用を許可してはならない。
また、先日のブログでも説明したが、この土砂搬出道路が造成されれば、シーガーアブが破壊されるおそれがある。今日、糸満市の3名の市議が糸満市にシーガーアブ保存の要請書を提出し、副市長や関係部長等らと面談したが、具志堅隆松さんらも明日、沖縄県と交渉する。
糸満市議会は本年3月22日、糸満市米須地区の土砂採掘に関する意見書を採択し、「先の大戦で甚大な犠牲が出た糸満市米須の採掘に対して同開発区域には、戦時中に避難場所として住民が身を潜めた自然壕が数か所あり、その中で命を永らえた地元住民も開発に対し懸念している。また、開発地区には琉球王府時代から地域住民が畏敬の念をもって接するシーガーアブと呼ばれる自然壕もあり、歴史的事象を語る貴重な場所である」と指摘している。
自然公園法に基づき知事が出した措置命令にも反し、「遺骨の確認」、「県との協議」もないまま事業着手を許してはならない。ここでも知事の毅然とした対応が問われている。