2月1日(月)、宇都宮健児弁護士らを海案内している時、知人から連絡が入った。今朝の産経新聞が1面トップで「防衛省が辺野古の護岸工事の着手を当面見送り、春以降に延期」と大きく報じたという。すぐにPDFでその記事を送ってもらった。次のような内容だった。
「防衛省が米軍普天間飛行場の移設工事で、辺野古沖の護岸工事の着手を当面見送ることが31日、分かった。埋立事業に詳しい国土交通省の技官が移設担当として防衛省に出向したことを受け、工事の進め方や土砂など資材の調達方法を見直す方針で、一定の時間がかかるため護岸着工も春以降にずれこむ。---1月29日付で国交省港湾局などから防衛省に9人が出向。事前の打ち合せで、防衛省が計画している埋立工事に出向組から注文が付けられたという。---」
産経新聞 2016.2.1
産経新聞は、「安倍政権は宜野湾市長選で支援候補が勝利したことで、翁長氏の反対攻勢に一定の歯止めをかけることができたと判断。移設を効率的に進めるため『計画を磨く余裕を得た』(政府高官)と見ている。」とも書いている。しかし安倍政権が、「計画に余裕があるから工事を延期する」など有り得ない。余裕があるのなら一気に強行するだろう。やはりこれはどう見ても、現在の工事が暗礁に乗り上げているため、再検討を強いられているのだ。
菅官房長官は午前の記者会見でこの産経新聞の報道について聞かれ、「工事を止めることはない」と強調したという。しかし実際には、防衛局は、今、着手できる工事はほとんどないのが現実だ。
このブログでも説明してきたが、防衛局は、コンクリートブロックの投下、また工事用仮設道路造成などの工事が、いずれもその違法性を指摘され、県からも中止の指示が出されるなど、今に至るも着手できない状態が続いている。また、美謝川の切り替えや土砂運搬方法の変更など、設計概要変更の再申請の目処も立っていない。辺野古ダム周辺の土砂採取も困難となり、県外からの土砂搬入も各地の反対運動に直面している。「土砂など資材の調達方法を見直す方針」という産経新聞の記事はそうした現状を正直に示している。防衛局はまさに八方塞がりに陥っているのだ。
しかし、菅官房長官のことだから、この産経新聞の記事を打ち消すために、「少々の違法行為は無視し、なんでもいいから工事に入れ」という指示を出す可能性もある。今まで以上に、ゲート前の資材搬入阻止行動や海上での阻止行動を強める必要があるだろう。