私は、2014年以来、沖縄防衛局に対して辺野古新基地建設事業に関する工事設計図書等の公文書公開請求を続けてきた。こうした公文書公開請求により、防衛局の工事の違法・不当性が明かになったことも多い。しかし、防衛局の対応は次第にひどくなってきており、この間、情報公開法の趣旨を完全に逸脱した問題がいくつも浮上している。7月6日(金)の沖縄タイムス、琉球新報両紙は、私が行なってきた防衛局への公文書公開請求の問題点について報道した。
まず、驚くのが、開示データの有効期限の問題である。
(パスワードの有効期限が切れ、開くことができなくなったCD)
文書の量が多い場合には、紙ではなく、CDで開示を受ける。防衛局では、以前から、CDを開く場合はパスワードが設定されている。先日、先に開示を受けたCDを開こうとしたのだが、「パスワードの有効期限が切れています」という表示が出て開くことができなかった。驚いて防衛局に行き、報道室長に説明を求めた。
報道室長は次のように説明した。「本年4月以降に開示したCDのパスワードには30日間の有効期限が設定されており、それ以降は無効となる」、「CDを受け取ったらすぐにパソコンにダウンロードしてほしい」、「防衛局のシステム上、これはやむを得ない」、「必要な場合は連絡をくれれば、新しいCDとパスワードを郵送する」
CDを受け取る際にはこんな説明は全くなかった。以前から、市民に開示する情報にパスワードが設定されていることに抗議はしていたのだが、そのパスワードが1ヶ月しか有効期限がないというのは、情報公開制度の根幹にかかわる大問題である。情報公開法の趣旨にも完全に違反する。
そもそも今回の開示も、文書の量が多く、36,490円も支払って入手したものだ。それが事前の通知もなく、わずか1ヶ月で開くことができなくなるというのは、まるで詐欺のような悪質なやり方である。
(沖縄タイムス 2018.7.6)
一方、琉球新報は、私が今年に防衛局に公開請求した24件のうち、21件が、「特例」ということで、開示決定期限が大幅に延長されている問題を報じた。
情報公開法第10条では、「開示決定は、30日以内にしなければならない」とされている。これには、「正当な理由がある時は、30日以内に限り延長することができる」というただし書きがあるが、いずれにしろ60日以内には開示決定をしなければならない。
ところが第11条に「開示期限の特例」として、「文書が著しく大量である時は、相当部分につき当該期間内に開示決定をし、残りの文書については---相当な期間内に開示決定等をすれば足りる」とされている。
防衛局はこの第11条「特例」を濫用し、「著しく大量に相当する」として、ほとんどの開示請求を大幅に(長いものでは1年以上)延長しているのだ。60日経過時ぐらいに、たった1枚の紙を開示して、「相当部分」だというのも許し難い。法の趣旨を完全に逸脱していることは明かであろう。
(琉球新報 2018.7.6)
防衛局の公文書公開請求に対するとんでもない対応はまだまだある。
私は、7月9日(月)、沖縄防衛局が、大浦湾の軟弱地盤の調査データの開示請求に対して、「不存在」による不開示決定したことに対して、処分取消訴訟を提訴する。この裁判は、大浦湾の軟弱地盤の問題を追求するためのものだが、同時に、防衛局が情報公開法の趣旨を遵守するよう求めていきたい。