なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

サイバラ

2017年09月05日 | 
の新刊。これね。



 サイバラは自分と全く同い年なので、なんかこう、ずうっと人生を伴走している気分なんですが。生まれた場所なんかは全然違うんだけど。毎日新聞での連載は初回からずっと読み続けているので、読みつつ考えることが多かった。

 この度連載が終了して、それに合わせるように出た本。読んでみて、やっぱり色々考えちゃうなあ。

 自分もそうだったのだが、我々が子供の頃、どうしてこう、子供はぞんざいに扱われたんだろう、と。自分はいじめと体罰の嵐の中にずっといて、たとえばいじめのターゲットになったのは自分のせいであるとか、親から言われたり(いまだに忘れらないんですがね。いつかやり返してやる)とにかく逃げる場所も何もない状況にあった。サイバラの育った場所というか環境もメッチャクチャだ。当時の大人ども、なんかしらんが誰もかれもがイライラしていたと感じる。これねえ、その大人が今の老人なわけだけど、極めて暴力的(すぐ文句言う辺りはまだかわいいもんだものね)なのは、当時のイライラをずっと引きずってるんじゃないかと思う。しかしなぜかねえ??

 自分の人生に文句ばっかり言ってるうちに歳とっちゃった、ということか。その文句の解決策を全く考えないままでね。これじゃあ、認知症になるよ。認知症というのは一種の「逃避」でもあると思っているので。人生から逃げ出す手っ取り早い手段。

 そういう人は未だに多いけどね。「末路」本が流行ってるそうだけど、要するに自分よりいい目を見た人物がしまいにしょうもない目に遭う、という話を読んでそーれみろってなもんでしょうかね。溜飲を下げるというか。誰かが何かミスすると、凄い勢いで騒ぎ立てる(主にネット)なのもそうやってスカッとしたいんだろうなー。キモチワルイけどさ。

 サイバラの考えは、原則きれいごとから一番離れているから、その通りだと思うことが多いのだが。

 にしても、読んでてかなりショックだったのは、彼女が、アルコール依存症の亭主にやられてた内容、その期間(何と6年間も!!!)の酷さ。こちらが知っている限りでは、最終的には再同居まで戻していたから、それなりに整理がついていたのかなと思っていたのだけど。読んだ限りではゼ―ンゼンそんなことがない。なのに「子供のために」再同居に踏み切った、という風に読める。それって、まずくないか?

 そこまで子供に「父親」を悪く思わせたくない、という気持ちは分からなくもない。サイバラの父親は二人とも超のつくロクデナシだったようで、同じ思いを子供にさせたくない、ということなんだろうけど、その為に整理がついてないのに再同居、というのはキツイですよ。自分が一番大事だと思うんだけどな。

 なので、依存症の恐ろしさを再認識して震え上がる、というのがこの本の最初の感想。人をずたずたにぶち壊してくれるんだ、この精神疾患は。こんなの「愛情」なんかで治るはずない。ビョーキなんだから。だから、身内に暴力人間やアル中やらギャンブル狂がいたら、一刻も早く離れろ、と言うべきなんだ。

 以前、そういう相談を受けたことがある。その人、いい年なのに、市内をちゃんと歩くこともできないのだ。病院の場所が分からないとか言うんだもの。
その人に言ったのは、「その男をすぐに追い出せ、鍵を付け替えろ、警察に被害届を出せ、引っ越せ、引っ越し先を突き止められないように市役所に届けておけ、電話番号を変えろ、ネットから消えろ」等々。。。当時はLineだのFBだのはなかったからこの程度だけど、今ならもっとあれこれ切らなくちゃならない。これを自力でやれ、と言った。多分1/10もできなかったと思う。でもでも、ちょっとでも自分でやることで、その人の実力になるのよ。絶対に手伝っちゃダメなのだ。こっちが「やってあげ」たら最後、今度はこっちが依存されてしまう。依存症にくっついてるのはやっぱり依存症で、そういう人は「他人依存症」なのだ。別名「寂しい病」。ストーカーはこの変形。

 「寂しい」はものすごく危ない感情なので、本当に注意しなくちゃならない。

 この人に言ったのは。「あんたには男運が、ない 男運がいいとか悪いとかじゃない、「ない」、んだから、二度と男に近づくな」

 こう言ったのはですね、こういう人物は大体さびしくなっちゃって、まーた男に引っかかる。で、次の男はさらにロクデナシ、と相場が決まってるから。男運がないんだから、って、はっきりさせる方がいいんじゃないかと。なんでも自力で切り開く癖をつけないと。

 まあ、そんな事を色々考える。この手のビョーキ、どうすりゃいいんですかねえ?子供の頃から、この問題についてきちんと認識して理解しておくべきじゃないかと思うんだけど。つまり教育。加害者や被害者になってからじゃ遅い。
 
コメント
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