なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

犬の咬みつき事故

2024年06月21日 | 仕事
が最近よく話題に上るんですが。
 これ、以前から結構多い。よくあるのは、小型犬が散歩中に大型犬に襲われるパターンで、小型犬の飼主が引き離そうとして噛まれるケース。大型犬の飼主はなんか、役に立たない風のようなんですよ。
 
 その結果、緊急事態という事で、被害犬が病院に来るんですが・・・・。血がポタポタ、犬に傷がないのに?という場合、飼主が噛まれて大怪我しているのだ。しかし、飼主は自分の怪我に全く気付いていなかったりする。犬もそうだが、人が危ないのですよね。
 
 しかし、これ、結構簡単に防止できる。簡単に言うと、散歩の時は「口輪」をしなさい、という事。
とか、とか まあ色々あります。軽いタイプを選ぶと、犬もあまり嫌がらないのでは?というか、特に大型犬は「散歩=口輪するもんだ」という習慣づけにしておく方がいい。
 
 その理由は、要は、犬は「咬む」だけだから。後はせいぜいガタイに物を言わせた体当たり程度か。猫や熊等は、咬む&引っ掻く&殴る、とまあ、攻撃の手数が多いんですが、犬は咬むだけだから、口を押さえておけば、まあ、実害はかなり防げるという事。
 
 「可哀そう」?ぜーんぜん可哀そうじゃありません。これは犬のためでもある。とにかく散歩中の拾い食いが多いったら。何を食うか分かったもんじゃないのだ。今までだと、「軍手」なんかが出てきたことも。石ころの時もありましたっけ。なぜ、そんなもん?と思うのだが、とてもとても、監視しきれないですよね。で、こういう異物食いは、圧倒的に大型犬に多いのだ。
 
 ということで、大体15㎏以上、飼主が引っ張られて対応できない体重の犬については口輪、という事にしておくのがいいと。よく「躾」でどうこう、と言いますけど、まあ、躾なんかじゃ無理だと思うんですよ。
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ウサギの飼主

2024年05月05日 | 仕事
の皆様には、今まで書いた事くらいは最低でも理解してていただきたいんです、が・・・・・・。
 ただ「可愛い」で飼えるような代物じゃないんですよ。

 ところが、実際は非常に安直に手を出して飼ってる方が大多数っぽいんですよねえ。。。。。。。。。。。

 飼主の方にやっていただきたい事は、とにかくせめて体を触ってもあまり動じない程度には躾けておいてほしい、なんですが。これすらやってない方が大半.
病院では触らなくちゃ診察できないのに、飼主が触れないんじゃどうにもならない、んですがね。プロなら何とかしてくれるだろって、他人本願の方が多すぎる。

 病院で、アカの他人にいきなり触られたら、場合によってはそれで死にます、この動物は。プロだろうがなんだろうが、無理。それを逆切れする方多いから、、、、、、、どうしろというのだ。

 それと、基本的な知識をお持ちでない。

 0から今まで書いていたような事を飼主に説明するとなったら、2時間はかかりますよ。

 今回の訴訟で「説明を尽くせ」とかなんとか飼主側は言っていたようですが、説明し尽せるわけないでしょ。どうやら、緊急で行った病院のようですしね。というか、心配で「家族」だとかなんとかいうなら、普段からかかりつけを持っておくのが当たり前だと思うんですけどね。

 ということで、当院では、ウサギを診察する場合、初診の方には申し訳ありませんが、今後は「承諾書」を頂くことにしました。もう、自衛するよりか方法がございませんので。
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寄生虫

2024年05月05日 | 仕事
が、じゃあなんでこんなにウサギにたかってるのか?

 特にエンセファリトゾーン症に罹患したウサギの飼主は色々嘆くんですが、これは、断じて飼主の責任ではないんです。寄生虫というものは、その辺にふらふら漂ってたり、湧いて出てくるものじゃない。必ず「寄生虫のいる個体から直接伝搬される」わけ。じゃあどこで?となると、飼主に引き渡される前、ペットショップなりブリーダーなり、最初に飼育されてる場所で蔓延してて、しかし、前述したような発症上の特性があるから、そんな事も分からないまま出荷しまくって、どこかでスイッチが入って発症・それが飼主のとこでした、という事なんでしょう。

 ウサギは、そのホイホイ増える特性上、狭いケージや場所に多頭を押し込めて暮らさせていることが多い。「クローズドコロニー」なんていいますけど、その典型例といえる。で、そこに寄生虫を隠し持ってる個体を導入してしまったら最後、「ピンポン感染」なんて言われたりしますが、お互いにうつし合って濃厚感染を起こしたり、濃厚寄生という事態になったりする。で、ある日、子ウサギが集団で神経症状を呈してひっくり返って死亡、となる。こういう話は一カ所でウサギを集団飼育しているとよく聞く話なんですけども。

 つまり、飼主がペットショップで一見元気で健康そうに見えるウサギを買ったとして、そのウサギが本当に「健康」なのかは、全く分からない、という事。エンセファリトゾーン症の場合、当院で診た患者のうち最速は、購入1週間後に発症している。一方、飼い始めてから6・7年は経過してて、手術までしてて、しかし元気だったはずのウサギがいきなり発症、というケースも。全部1匹飼いなんですが。

 こういう動物を飼うのはリスクが大きすぎでしょう。

 学校で飼育しているウサギが集団で体調を崩すのにも、裏にこうした寄生虫が関与している気がしてしょうがない。そうでなくても、とにかく劣悪ですもんね、飼われている環境が。コンクリの床って言うのが最悪で、尿をどんどん吸い込んで悪臭の原因になるし。でも、特にメスウサギはどんどん土床だと穴を掘っちゃうから、コンクリ床にせざるを得ないし。ウサギを健康に飼うのは、こうも難しい。

 ちなみにハリネズミ。「ふらつき症候群」について考えると、どうも、ウサギのブリーダーがハリネズミに手を出して、ウサギを飼ってたケージかなにかに、ろくに消毒もせず(というか、寄生虫は一般的な「消毒」では駆除できません。熱湯スチーム等で掃除しないと、卵は死なないから)ハリネズミを導入して飼って、繁殖させてってやって、うつしたんじゃないかなあ、と推測してます。動物愛護法が改正されてからこっち、ブリーダーが繁殖させる動物をあれこれ鞍替えしている感じがあって。
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エンセファリトゾーン症

2024年05月03日 | 仕事
がウサギにとって最凶じゃないか、と思う点は
  1. 小さくて目視できない。抗体の有無でチェックする方法もあるが、不確実。
  2. 体内のあらゆる場所に寄生する可能性がある。
  3. 尿を介して伝搬するらしい(従って、同居ウサギに簡単に広まってしまう可能性が高い)。
  4. 寄生していても、症状が発現するとは限らない。
  5. 発症する時期・年齢・部位・性別全てに脈絡なし。
  6. 寄生虫に一応効果があるらしい駆虫薬はあるが、長期連用が必要。
  7. 寄生虫を駆除したとしても、発症した症状の改善に繋がらないことがままある。
  8. 死亡率が高い。神経症状が出た場合は危ない。病態としては「脳炎」だから。
  9. どうやらかなり蔓延している事は間違いなさそう。生涯発症せず不顕性寄生で過ごす例を考えると、下手をすると9割くらいは罹っているのではないか?  
 あと、この件について極めて重要なのは、エンセファリトゾーンという寄生虫は哺乳類全てに寄生する可能性がある、という事。人とて例外ではない。こういう寄生虫がたかってるかもしれない動物をガッコなんかで飼育してよいのか?

 当院で診ていて多分確実と考えているのは、ウサギの次に危ないのはハリネズミで、ハリネズミのふらつき症候群と呼ばれている疾患は、おそらくハリネズミのエンセファリトゾーン症であろう、という事。ハリネズミのふらつき症候群の症状は人間のALSに酷似している。ALSは人のエンセファリトゾーン症なのではないか?と疑ってるんです。
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感染

2024年04月28日 | 仕事
あるいは伝染性の病気について。これは数種あって、最恐の奴を最後に解説します。ウサギという家畜については、家畜伝染病予防法内での「届出伝染病」に含まれる伝染病が2種ある。怖いのは野兎病(人にも感染する)なんですが、とりあえず日本では散発程度に収まっているようなので。
 20年以上前のことだが、プレーリードッグという野生動物がアメリカから輸入されて一時期ペットとしてはやりかけたことがある。そのうち政府が全面輸入禁止にしたのだが、その大きな理由が野兎病。なんか禁止に反対してた人達がいてねえ、理由は「可愛いのに~~」でしたっけ。たわけてますよ。3歳児じゃあるまいし、なんの根拠にもならない。そもそもプレーリードッグはひろ~~いサバンナで生活している生き物。病気以前に狭いケージなんかで飼えるような動物じゃありません。ケージ飼い=虐待行為だっての。

 ペットのウサギにやたら多い伝染性疾患はこの手のウイルスや細菌病ではない。寄生虫病です。いくつかあるんですが、そのうち命にかかわりかねないものは
1.ウサギ蟯虫
2.エンセファリトゾーン症
ですね。
1.は、あまり有名ではないけれど、大量寄生例も診ているので、侮れんぞと思ってる。蟯虫は、まあ、人では、いわゆる「蟯虫検査」で引掛ける寄生虫ですね。ヤダヤダ、と思い出す方は年配群に属している方でしょう。ハハ。
 ウサギ蟯虫は盲腸内に寄生している。大量になると、気味の悪い小さい白い線虫が糞便に引っ付いて出てくる。ウゴウゴ動くもんで、もう薄気味悪い、となる方が慌てて便を持ってくるのだけど、その時は既に干からびてよく分からなくなっている事多し。こういう線虫を持ってくる場合は、乾燥しないように便ごとラップでくるむか、虫をセロハンテープに挟み込んで持ってきていただくと有難いんです。
 蟯虫は子ウサギに多いのだが、大量寄生例では死亡したケースも診ている。盲腸内に虫体ぎっしり(盲腸の中にそうめんが詰まってるように見えましたっけ)、という特異なケースではありましたけど、そのせいでうっ滞が起きて死亡という。一種の盲腸閉塞だったと思われますが。
 当時はなかなかいい薬がなかったが、今は色々あるので、とにかく駆虫、が最強で最善の選択になります。で、付随して出てくる症状について対応すると。

 最恐の虫、エンセファリトゾーンについては次回。
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ウサギの病気

2024年04月26日 | 仕事
はまだまだあって、とにかく治療が大変。その一つが生殖器疾患で、メスウサギは、まず確実に罹る、といっていいんじゃないかと思う。
 小型草食の哺乳類で、多産なタイプの動物(まあほぼ全部そうでしょうけども)は、基本オスの方が長生きしがちで、その大きな理由がこの疾患。メスウサギが4・5歳になるともう危ない、子宮疾患をやること確実、で、これが死因になること多し。
 子宮疾患には蓄膿症・内膜炎、まあ色々ありあますが、犬や猫にはほとんど起きない、のは若いうちにさっさと避妊手術をするから。婦人科系の病気の防止は、単純に取っちゃえばよし、なんですが、メスウサギの避妊手術は、どうなんでしょうか?

 当院は基本受けていません。手術自体も術後も不安要素が多すぎ。他の病院はどうなんでしょうか?

 ウサギの手術の怖い点は、まず、内臓が柔らかくて簡単にちぎれそうになる、という扱いの難しさがある。術後の怖い点は、手術の時縫合した糸を自分で食いちぎる事。犬猫ならエリザベスカラーでもつければいいんですが、ウサギやハムスター等々、もうすり抜けが得意ですからねえ、全く付けられない。首を締めあげるくらいにしても、外しちゃうんですよ。
 ウサギには、術後服なんかも着せられない。体に何か付着するのをすごく嫌う生き物で、発狂して大暴れして2次災害、になりかねない。でね、上手い事脱いじゃうんですよ、無理に着せても。
 じゃあどうするのか?当院では「皮内縫合」という奥の手を使います。この方法を採用するようになってから、皮膚離開は0。技術料はマシマシになりますけどね。
 しかし、ウサギの手術はこれで安心、ではないのだ。術後、痛いなあ、それだけで排便が止まる。消化管うっ滞が起こりやすくて、これが再起動できるかどうか、もう一つのキーになる。再起動できなければオダブツ確定。
 前述したけど、抗生剤も使いにくいし。

 こんなんで安易に避妊手術なんか受けられません。

 だから結局、子宮疾患と診断した時点で、どうするか、を話し合う、んですが・・・・。判断にぐずぐずしてて、そのうちオダブツで終了、もよくある話です。飼主の迅速で、腹をくくった判断が求められる、んだけど、それができない方が多いのだ。まあ、ウサギの治療費は、犬猫に比べてどんどん高額になるし、それで治るかどうかの確証もなし、痛い目に遭わせたくない、とかなんとか(病気を抱えてる方がしんどいと思うんですけども)、で、もめているうちにすぐ1週間くらいたっちゃうんですよ。
 だから、ウサギを飼うにあたっては、ある程度突き放して客観性を持っていただきたいんですが。
 
 ちなみに、子宮疾患は、内科的な治療でうまくいくケースがあまりない。薬を飲ませても飲ませてもうまくいかず、結局手術、となるのが大半。一種ホルモン疾患でもあるから「元から絶たなきゃダメ」という事なんですよね。犬猫でもそうなりがち、抗生剤を使いにくいウサギでは、ますますそう。だから、どこかで腹をくくってもらうしかない、と思うんですが、もう、無理に説得なんかできませんわねえ、判例が出ちゃっている以上。
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学校飼育動物

2024年04月25日 | 仕事
に、ウサギが選ばれがちなのはなぜ?飼いやすいからガッコで飼われてるんじゃないの?違います。つうか、違うんだろうなー、と。文科省の考えてることが分からんから。
 学校飼育動物の条件の第1は「子供が危害を加えられない」に尽きるんじゃないかと思う。咬まれたり、蹴られたりというのは困る、というより絶対に避けなければならない。動物っていうのはその辺容赦ないですから。
 で、一番子供に対する危険性が低い生き物ってことでウサギが選ばれがちなんでしょう。非常に不幸なことです、ウサギにとっては。

 学校飼育動物の問題点は多々あるけど、一番大きいのは、「ちゃんと予算をかけてマトモな飼育をしよう、という機運ができたとしても、すぐ尻すぼみ」だと思う。ボランティアでガッコウサギの面倒をみて、時々病院に連れてらした方が言ってたのは「熱心な先生がいるうちは良かったんですけど、数年で異動、で次の人がぜーんぜんやる気なしで・・・」というもの。教師ってなんなんだ?と思うんですが、まあ、やる気ない方がデフォでしょうね。ガッコの教師が「飼い方教えてほしい」なんて来たことも一回もないし。
 餌一つとっても、牧草だのフードだの、そんな予算はアリマセン、じゃあ、どうやって飼うというのだ、いや、給食の残り野菜でもあてがっときゃいいんでないの?って、昭和かよ~~。でも、こんな調子の教師しかいないんじゃないかと疑ってんですよ。
 
 という事で、基本的な餌でこんな調子だもの、飼ってるんじゃなくて「飼い殺し」ですよね。文科省は、この辺りをどう考えているのか?時たま、まれにちゃんとやろうってセンセが現れても、結局やれ予算がない、時間が取れない、で、そのうち異動になって、引き継ぎも何もなし、というのが公立ガッコのあるある話。

 ウサギはとにかく健康管理が非常に難しい。でなくとも生き物なんだから病気だってするに決まってるでしょうが、そのときどーすんの?に対してなんも考えてない、頭悪いとしか思えない。こういうのが「教育」とか言うな!!と強く思ってるんですがね。責任取れなきゃ、最初から飼うな、それと反対の事をガッコがやってるって、どうなの?

 ガッコウサギを連れてらした方は、病気の治療費も自費で持つとおっしゃる。あの~~、ウサギって、犬猫の比じゃなく治療費がかかりますよ、で、結果が芳しくないのもよくある話、いいんですか?大丈夫なんですか?何回も確かめさせていただいたんですけど、「いいです」と。「ほっとくのは心情的に無理ですよ~~」と。

 こういう優しい方に付け込む方法を子供に仕込むのがガッコかよ。と、教師共には言いたいわけよ。

 あ~~、子供の頃から教師は嫌いだが、ちっともそれを挽回してもらえないんだもん、やんなるよ。こうなると、不登校、いいんじゃないですか?と思っちゃう。こんなしょーもない事を仕込まれるくらいならね。 
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ラビットフード

2024年04月23日 | 仕事
は、では、何のためにあるのか?
 これ、結構不思議で、以前栄養分析等調べてみたことがある。分かってきたのは、やはり「家畜として効率よくパパっと成長して肉になったり毛皮になってほしい」が目的だったみたいです、元来。
 この件は、家畜草食獣全般の食餌について中心的な考え方で、例えば牛にも本来必要ない高栄養の濃厚飼料を与えないと乳質や肉質を保てない、そうすると今度は胃消化管の不健康を招く、という矛盾した現象が起きている。まあ、健康を害した時点で屠畜、という解決策(問題だあという話も出てはいますけどね)でオシマイにできるけど、ペットとなると、そうはいきませんわね。

 ラビットフードにはもう一つ大きな問題がある。「歯をろくに使わずに食べ込めてしまう形状」ですね。
 これはドッグフードやキャットフードも同じで、犬や猫はろくに噛まずに飲み込んでいる事が多い。これは別に問題ない、その理由は、犬猫の歯は、「噛み砕く」能力がないから。飲み込んだって、フードは胃の中でうまい具合にふやけて消化しやすくなってくれる。
 しかーし、ウサギは、本来歯を徹底的に使って硬い草を噛み切り、さらに咀嚼して食べる生き物。使いまくるから、歯が生涯伸び続ける仕様になっている。ラビットフードはしかし、前歯でちょこっとつまんでテキトーに噛んでそのままゴックンしてOKなんです。動物はすぐ「楽ちん」に走る性質があるから、この食べ方になじんでしまうのも早い。で、歯が伸び過ぎたり、咬み合わせがずれたり、ろくな結果にならない。
 これを抑制するために木を齧らせましょう、と齧り木なんかも売ってますが、ガジガチ齧って木片を食べ込むと、今度はそれが胃炎の原因になる。ダメじゃ~~~~ん。こういう齧り木って、歯をまんべんなく使うことができないしね、結局歯の異常につながってしまう。
 ってことで、ラビットフードは、与えるにしてもせいぜいおやつ程度にしときましょう。となってしまうんです。
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ウサギの食餌

2024年04月22日 | 仕事
 について。胃内うっ滞等々、とかく消化器病が多いウサギに何を与えればいいんでしょうか?との質問には「牧草だけ」というつまらない答になってしまうんですが。
 牧草だけで栄養は大丈夫なのか?これは、まあ、大丈夫だと。そこら辺が草食獣とそれ以外との大きな違いです。草食獣の消化管内に存在する腸内細菌叢は我々雑食~肉食獣のそれよりめっちゃ大量で、上等の機能を持っている。だから、かさかさした植物繊維を消化することができるわけ。この機能Maxなのが反芻獣で、彼らの糞便は、もう「土」レベルに近いところまでになっちゃってる。
 多分ウサギの消化システムはそれに次ぐのではないか?2段階に分けて消化して、コロコロ糞にまでしちゃうわけで。象や馬等は、ちょっと効率が悪い。糞便中に繊維が残るので、糞便が原料の「紙」を作れたりするんんですよね。

 この辺も「家畜」としての優秀さにつながっているのだけど、ペットには不向きなんですよねえ・・・・・。人間はどうしても、「何か」やりたくなってしまうらしいんですよ。世の中には、それを当て込んだ「ウサギ用」と称するおやつだのフードだの、ゴマンと売ってます。わざわざ購入して、食べさせて、ウサギの健康を害する結果に、という例が後を絶たない。
例えば
 とか とか
あたり。
何がダメか?これ全部、盲腸の細菌叢をぶち壊す恐れがあるから。
ウサギに与えていけないものは
  1. 糖質
  2. 炭水化物
  3. 穀類
盲腸内で、植物の線維は善玉菌による「発酵」でもって消化されるんだけど、こういうものを与えてしまうと悪玉菌が大量発生して、発酵じゃなくて「腐敗」に簡単に変質してしまう。体内で食物が腐る→そりゃ腹痛くらい起こしますよね。で、オダブツと。
 もう一つ、特にメスウサギにこの傾向が強いのだけど「甘くておいしい(と感じる物)」に固執して、偏食してしまうのが困る。ウサギの偏食はもう凄くて、改善が全くできず、飼い主が音を上げてしまう事が多々あるのだ。だったら、最初から与えなきゃいいでしょうが、そうはいかないようなんですよ・・・・。ペットショップにこういうのが並んでいると、与えていいのかな、とも思うし、まさか、その後ドライフルーツしか食べなくなる、なんて思いもしないのね。
 要は、ウサギを飼う、というよりは「ぬか床を飼う」つもりで管理してほしい、と飼主にはお願いしてるんですが・・・・。

 ついでに言うと、ウサギをはじめとする「草食獣」全般には、この腸内細菌叢の問題があって、抗生物質が非常に使いにくい。我々や犬猫に通常使うタイプの抗生物質をウサギに投与すると、軽く死にます。抗生物質によって腸内細菌叢が攪乱されてしまう=敗血症→オダブツ、というコース。ここも、本当に治療がしづらい、不利な特性ですね。
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ウサギの胃うっ滞

2024年04月19日 | 仕事

は、起きた時点でもう危ない疾患、といえる。何が危ない?命が、です。病態生理としては、要は胃に入ったものが腸に流れていかない。胃で行き止まりになっちゃって、それ以上進まない。従って食欲がパタッとなくなる。

 この時点で速攻で病院に来ていただきたいんですけど、特に初診の方はつい様子を見ちゃう。「家族」の食欲がなくて何日も様子を見るか?と不思議でしょうがないのだがなのに様子を見てしまう原因は、「便は出る」から。これは、実は盲腸に入ってる食渣が「在庫」になってて、そこから便がだらだら出てくる、という事。便も出なくなった頃はもう、にっちもさっちもいかない事態に陥ってる。

 では、胃に詰まっているものはなんなのか?一番多いのが「毛」。胃うっ滞が胃内毛球症とも呼ばれるのは、そのため。「胃内毛球症は猫にもあるのでは?」いや~~~、当院では猫で診た事1例もなし。そりゃそうで、猫はたまった毛玉を吐き戻すから。「嘔吐ができない」ウサギにしか起こらないんです。

 ウサギの胃内毛球症が起こる原因を箇条書きにすると

  1. 嘔吐できない特性
  2. 毛玉ができやすい、もつれやすくてハンパに長い毛質
  3. ヒマな生活
  4. ラビットフードの悪影響
  5. 体格(矮小)
が挙げられます。
1は前回書いた。2.は、結局「毛皮用」という家畜用途が裏目に出ている。なのに、長毛種なんぞまでわざわざ作出しちゃって、もう殺してるようなもんですよね。実際、長毛種は長生きしにくい。
3.野生のウサギって、多分年がら年中・1日24時間、気を張って生活してると思う。いつ何時、敵にやられるか分からんから。だから、身づくろいだっておそらくはマジ安全だよね、って時に集中してパパっとやってるんでしょう。なのに、ああ、ペットのウサギは安全極まる場所(しかし狭くてなにもできない)でごろごろ、なーんにもすることない、ヒマでヒマで・・・。こうなるともう、身づくろいくらいしかやることないんですよ。鳥だったら、地頭がいいので芸の一つや二つ仕込んで、というヒマの潰し方ができるのだけど、ウサギはそれもできないし・・・。
 今の換毛期はそんなわけで、1年の間で最も危険な時期といえる。飼主さん達はせっせせっせとスリッカーで毛を抜くんですけどね・・・・。
4.これも大弱りしている事なんですが。結論から言うと「ウサギにはラビットフードを与えるな」になっちゃうんです。
胃うっ滞を起こしたウサギを胃切開すると、内容物は大体「毛とラビットフードが丸まって団子状態」というもの。ここで、5の「矮小」が災いしてくる。特に小腸の口径が狭いので、毛玉を腸に送って排泄して、ができないのだ。
 ラビットフードには、この病態を警戒して「グルテンフリー」タイプもある。団子になってしまう原因はグルテンにあるのでは、というのは一理ある。でも、実際にはグルテンフリーでも何でも、毛玉はできてしまうようなのだ。ラビットフードを、あの形状に固めているなにかが悪さをしてるような気がしますけど。結局は、絶対に団子にならない「牧草」だけ食べさせてください、という事になってしまう。
 
 ところでスリッカーですが。ウサギの毛質は柔らかいので、スリッカーでないと毛を抜くことができない。櫛なんかじゃ到底無理。しかし、スリッカーにもあれこれあって
 
こういう金属製のものは、皮膚を傷つけちゃうので✖。向いているのは
または、金属製ではあるけれど
これは、先端がプラでコーティングされているので、皮膚刺激が少ない。
ウサギを飼うなら絶対に持っていた方がいい道具ではありますが、これで完全に防げるわけではない。何もしないよりマシという程度。だから、ウサギの体格は大きい方がいいんですよね。毛玉がつるっと腸に流れてくれる程度の腸口径が必要なんです、本来は。

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ウサギの消化器病

2024年04月19日 | 仕事

は、ウサギの疾患全般のうち、多分6~7割を占めているんじゃなかろうか(当院比)。飼主が比較的気付きやすいのは歯牙疾患と便秘ですけど、なんか知らんがついつい「様子を見る」人が多い。で、オダブツ、あるいは病院に来た時すでに「オダブツ寸前」という状況になってしまっていること多し。で、飼い主逆ギレという・・・・・。ワタクシどもはカウンセラーじゃないんですけど。

 草食獣全般にいえることだけれども、消化管の構造が我々人間や犬猫等々の雑食~肉食獣とは抜本的に異なる。でなければ、あんなカサカサした牧草なんかでむくむく太れる筈がない。哺乳類でいえば、牛や鹿等々のいわゆる「反芻獣」と、ウサギや馬・バク・象のような草食獣は構造が異なるのだが、ウサギの消化管を簡単な図版にすると、こんな感じ。

とにかく盲腸がでかい。腹部臓器の3~4分の1を占めている。ウサギは胃や小腸で直接草を消化できているわけではなく、一旦盲腸内の細菌でもって草の線維等々を分解する。で、それが「盲腸便」という軟便で出てくる、のをもう一回食べて(こんなことを夜な夜なコッソリやってるんですよ)それを改めて消化吸収している。小腸は非常に長い。こんな巨大な消化管を腹部に押し込めているから、腹が大きくなるんですね。ので、胸腔が常に圧迫されてて狭い。これは、手術の際に呼吸を確保するのに大きな障害となる。矮小になればなるほど、危険が増すわけ。

 もうひとつ、ウサギの重大な消化管の問題は、ズバリ「嘔吐できない」です。吐き戻しができないから、一旦飲み込んでしまった物は排泄するよりか排出方法がない。これが、ウサギの主たる消化器疾患である「胃うっ滞」の大きな誘因になってます。

また次回。

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矮小ウサギ

2024年04月19日 | 仕事

は、今や日本のペットウサギの大半を占めていて、本当に困っている。小さい治療できることはどんどん減る、という事実にいい加減気が付いていただきたいんですけども。

 アメリカでもウサギをペット目的で飼っている人はいて、ウサギの医療に関する教科書もあります。しかし、とにかくサイズが全然違う(アメリカのウサギはおおむね体重5㎏以上)から、そこに書かれている医療行為がデキマセン、ということが多いのだ。例えば採血。「耳の動静脈から採血しましょう」とか「耳の静脈で血管確保できます。そこから静脈輸液しましょう」。これ、日本の矮小種(体重おおむね1~2㎏未満)では至難の業。一番細い静脈針の直径より、血管の直径の方が下手すりゃ細いんだもの。無理に静脈カテなんぞ入れたら、その先が血行不良起こして壊死する、なんて危険すら出てくる。耳自体もペラペラで、ちょっとでも動かれたら(ウサギを完全に保定なんかできちません)針が耳を突き抜けたり、なんてことは普通に起こりえる。ウサギは、勝手に耳をパタパタ動かすことができますしねえ。これで針を吹っ飛ばして終了。も珍しくない。

 小さいことはとにかく不利を招く。消化管もそうで、これが、ウサギ特有の消化器病を招くのだ。

それは次回。

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日本

2024年04月17日 | 仕事

のペット用ウサギの体格上の問題点はあれこれあるのだけど、最悪なのは「矮小」。次いで「口吻がどんどん短くなっている」。この2点。

 口吻の問題から。

 この写真は「ニホンノウサギ」

 あまり可愛くないなあ、という印象はどこから?毛色もだけど、顔がずぬっと長いから。

 で、「もっと可愛く」ってな飼主の要望に応えてなのか、最近のペットウサギは、総じてこんな顔です。

人間はどうしても、「丸まっこい顔」に可愛らしさを感じるんですよね、だもんでこんな顔つきのウサギが大半になってしまった。このせいで、歯並び等に問題が起きやすい。こんな小さい顎にびっしり臼歯を並べてる、下手すると目にまで問題が波及することもあるくらい。

一方、涙を鼻の奥に流す役割を果たす鼻涙管(人間だと、鼻涙管があると分るのは、点眼液をさした後、しばらくするとなんか点癌液の味が戻ってくるでしょ、あれです)が狭窄したり、曲がっちゃって詰まりやすくなる。で、いつもいつも涙目、とか、眼瞼炎とか、になりやすくなってしまう。

 歯は特に草食獣にとっては超重要な消化器官なのだけど、それを外見のために犠牲にするもんだから、トラブルが起こるし、いってみれば先天性なので、治しようがない、という事になるわけ。

これは、秋田県で飼育されている食用のジャンボウサギなんですが、自分的には、これをペットにしてよ、と思うんですよ。顔つきは可愛くないけど、でっかくてモフモフしてて、この「ザ・ウサギ」感がいいですよね。矮小じゃないから、健康面もトラブルが少なくて済むと思う。

 矮小の問題は、次回。

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ペット

2024年04月17日 | 仕事

としてのウサギはどうか?となると、前二回に書いた事がどうも悪い方に振れるんですよね。

 ペットについて、飼おうとする人が求める事はあれこれあるでしょうけど、まずは「その子が健康で長生きして、そこそこコミュニケーションがとれればいいな」という希望があると思う。これを結構裏切ってくるわけですよ。健康管理も難しい・長生きできるかはバクチ状態・全然懐いてくれない、とまあ、こんな感じの印象を持ってがっかり、という方が多いのだ。今までの経験では、100匹いて99匹位はぜーんぜん懐かない。で、新米飼主さんが愚痴る「YOUTUBEで(またはブログで)可愛くて人懐こいウサギを見て、これならと思ったのに~~。騙されたー!!」。そりゃね、YOUTUBEがレアなんですよ、と前2回書いた事を話すのだけど。。。。

 面白いのだが、人間側に、時々「ウサギ遣い」っぽい人が現れるのだ。なぜか、ウサギが懐く。犬みたいに迎えに出たりしてくるんだそうです。だから、動物と人間の関係というのも、なかなか相対的なものだと思うのだが、自分がそうなれるかどうかは、飼ってみないと分からないですよね。まず、普通は「ない」と。そうなると、ウサギは「観賞用」になってしまうことが多いし、実際、見ている分には可愛らしいしぐさ等、その辺は飼いがいがある、のかもしれない。ただ、コミュニケーション等々、飼主が期待しているようには、まず、ならない、らしいんですよね・・・・。その辺をきちっと理解して割り切って飼えるかどうか。

 なぜに懐かないか、はやっぱり家畜として飼われ始めた「目的」でしょうね。肉だ毛皮だ、となると、別に人間に懐いてくれる必要性なんかないし。人間に「行動」で貢献して家畜になった犬・猫・馬とは根本的に違う。

 で、日本のウサギには、体構造上、生存に不利な独特の状況がある。これがさらに、ウサギの寿命を縮めてしまっているんだけど、それも「飼主側の要望」にブリーダーが応えちゃった結果、と言えなくもない。

また次回。

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ウサギ

2024年04月16日 | 仕事

の話の続き。

 ウサギの動物としての特徴なのだけど、こんな感じ。

1.交尾排卵だから、交尾すりゃまず、100%妊娠してしまいます。だからポコポコ増える。ついでに言うと、メスはもうしょっちゅう発情を繰り返している。これは、メスウサギの寿命の短さと直結している。後述しますが。

2.野生状態でも、家畜としても寿命は短い。野ウサギの寿命ってせいぜい3年位なのでは。で、みんなの食糧源になってる。家畜としてもそう。だから、どうも、「長生き」を前提とした体構造になってないフシがある。ウサギについては、個々の命の価値なんか極めて薄くて、その代わり、旺盛な繁殖力でもって「種族」を維持する、方にたけてる。この辺は食物連鎖低位のげっ歯類グループ等々は総じてそんな感じなんだけども、ウサギの場合、寿命的なものがハンパに長めだから、ペット扱いした時に面倒が起こりやすいのだ。ハムスターなんかは寿命たってせいぜい3年あるかないか、だから割り切れる、らしいんですが。

3.そのせいもあるかと思うんだけど、非常に地頭が悪い。多分名前も覚えないんじゃないかな。そりゃそうで、なまじ頭がいいと、自分の仲間がある日急にいなくなった(野生だと、多分食われてる、家畜でも肉になったり毛皮になったり)、一々気にしていたら、ノイローゼで死んじゃいますよ。そういうのに感傷を持たない程度にぼーっとしてるから、生き延びられるんですよね、おそらく。

4.頭の悪さが災いしているんだか、病気をまず、飼い主に分からせない。本人も分かってないんじゃないか?とすら思わせられるんですが。で、治療すると急に調子よくなった風に見せたり。要は「just now」な生き物で、これが非常に治療を混乱させる原因になるし、飼主を振り回す元凶にもなる。

 今まで診たケース中、一番大変だった例。メスウサギで、跛行してる、と飼主は言う。レントゲンを撮って分かったことは「子宮蓄膿症」。全然違うやん。しかーし、飼主は全く納得しないのだ。跛行と腹部の異常が全然繋がらないから。開腹手術してみたら(これを納得してもらうのに大苦労しましたよ~~~)、なーんと、子宮破裂を起こしていた。なのに、主症状が「跛行」じゃあねえ。跛行=腹痛の意味だったんでしょうけど、飼主が理解できるはずもない。それどころか、切除した現物を見ても納得して下さらなかった。ホント、一歩間違えば、こっちも訴訟を起こされた可能性があったんですよ。

続きます。

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