なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

週刊現代

2016年11月30日 | 仕事
の今週号の医療記事、なぜか獣医療記事に化けている。

 面白そうなので購入。この手の週刊誌を買うのは本当に久しぶりだ。

 こういうのを読むと、男の人の脳内を覗いている気分になる。ごっちゃごちゃなんだなあ。社会問題と健康情報とエロ情報が混然一体になってるし。で、「裏で何かやってる人」とか「裏事情を知ってる人」とか「裏で牛耳ってる人」が好きなのね。今更児玉なんとやらなんて人物を紹介してるんか。あんな人生のどこが楽しいかねというテーマじゃなさそうで。

 で、ヤブ獣医記事。まあ正しいと思う事もあるけど。若干反論を。

予防接種
打つ必要がない、というのは大間違い。そういうのは、伝染病の恐ろしさを知らない奴が言ってる。ついこないだまで、これでバタバタ死んでたのを見ているので、必要がないとは到底言えません。じゃあ、ベストな「打つ間隔」はどうか?実はついこの間、犬の伝染病については、「現時点の血液中にある伝染病抗体価」を測定できるキットが発売された。どうしても気になる人は、これを使えばよし。このキットは但し、ワクチン自体よりも高くつきますが。当院では原則2年に1回にしている。この方法に変更して以来、伝染病の発生もなく、ワクチンの副反応が出た経験もない。要は適切な打ち方をせよということ。

抗生物質
確かに、他の動物病院で2・3か月以上抗生剤を飲まされてました、という患者さんのお話はよく聞く。こういう漫然とした処方は「治す気がない」ということ。ただ、勝手に切られても困る。特に尿路疾患は、きっちり飲まないと再発どころか、腎炎に移行してしまう危険性も出てくる。不安なら、病院に聞くことです。聞きづらい病院なら、通う意味はあまりない。コミュニケーションが取れないという事だから。

カルドメック
これは伝染病ワクチンの話とも通底するが。「疫学」というのがあります。実際、入間市ではフィラリアはほぼ撲滅されていると思う。なぜそうなったか、というと、皆さんがきちんと予防して下さったからです。じゃ、予防をやめたらどうなるか?フィラリアはすぐに周辺から入り込んできて、あっという間に元通りになっちゃうのさ。デング熱やジカ熱のおかげで行政が蚊の分布を調べてくれたわけだが、相変わらず驚くほど蚊は多い。撲滅状態を守るために、継続した予防は是が非でも必要なんですよ。磯部さん、極論を吐くな。

ウルソ
あーこれは確かに全く効果なし。肝臓が悪いとか言われて他院で処方された、と持ってくる患者さんが多いんだけど。利胆薬だから、別に肝臓自体をどうこうする薬じゃないのだ。ただ、飲んでて副作用が、ってほどでもない。どーでもいい薬、というか。

フォルテコール
フォルテコールというのは商品名。ウルソも商品名でしたっけ。商品名じゃなくて、成分名で記事を書くべきではないですか?成分のベナゼプリルは慢性腎不全には確実に有効な薬剤なので、使って当然です。「慢性腎不全の末期」=尿毒症ということで、これについては透析以外方法はないし、動物には透析は不可能だから、そうならないように、こうした薬で対応する必要があるのだ。「投与すべきでない」じゃなくて、「投与しても意味がないくらい状態が悪くなってる」ということ。患者さんを混乱させるな。

ステロイド
副腎皮質ホルモン剤の事。椎間板ヘルニアのような「整形」系の疾患に使う意味は確かにあまりない。但し、免疫が関与する病気では使わなくてはならない薬剤である。副作用だが、基本的に「使えば何が起こるか」がはっきり分かっているので、患者さんに説明しやすいし、対応もし易い。びくつかずに適材適所で使うべき薬。

NSAIDs
人間こそ使い過ぎじゃないか、と思ってるんですがね。ロキソニンだのバンテリンだの、ぜーんぶこの薬。現在は副作用も小さい非常に使いやすい薬が出てきているから心配せずにバシッと使ってOK.当院では長期連用もしている。もちろん、その必要性がある、と判断した上での事。副作用だが、この薬も副作用の内容が分かっているから、そこだけチェックしてもらっていれば大問題にはならない。つまり「吐いたり下痢したら投与を中止して連絡」を徹底してもらう、フィラリア予防開始の時期に、ついでに血液検査を検査屋さんのおトクなキャンペーン価格でやってもらえば、肝機能や腎機能だって調べがつく。ちなみに、今まで長期連用していて肝・腎障害が出たケースは0.腎機能については、飲水量のチェックで予測がつくことが多い。なんでもこまめに相談して先回りすればいいんです。

 にしても、猫の避妊手術、うちは安すぎるな~。手抜きなんかしてませんけどね。

 動物病院の治療費のからくりについて。街道沿いで、従業員が多くて、CTがあります、とか言ってる病院はバカッ高くて当たり前なのだ。健康保険システムがない動物病院は、患者さんからいただくお金が収入の全て。動物健保は、患者さんと保健会社の間の契約であって、動物病院が取りもっていても、こっちに回ってくる金はほぼ0だし。検査機器や治療機器の価格だが、レントゲンの撮影装置が180万、CRだのDRだのといったデジタル造影機器が大体200万以上、気化麻酔装置100万、血液検査機器が200万、超音波で150万、CTだと1000万以上、ってな感じ。治療機器でも、白内障の手術に使う水晶体を壊す装置は中古で800万、当院が使っているレーザーは中古を買って300万。こういう機器を揃えたら、売上が月300万じゃ全然足りない。で、街道沿いだと土地代だの、固定資産税だの、賃貸ならかなりの額の借賃料に人件費が加算される、治療費が高くなるに決まってるんです。つまり、患者さんが払っているのは、治療費じゃなくて、機械代だの人件費だの土地代だの、ということになる。自営業としてはつくづくいびつな業務体系になっちゃってるわけ。払わせるために、一番いい方法は「不安を煽る事」。今の獣医関連の講演会も、実際には2年に一回あるかないか、みたいな疾患についての内容ばかり、よって普通の病気を診る能力が全くない獣医が増えている。そういうセンセイは吐いても下痢しても「癌じゃないか」と言って検査する。ガンという言葉は、患者さんをガーン!!とさせるいい病名なんです。それに、癌は実際対応が難しい疾患の一種だから、(しかし現代さん、近藤誠じゃあるましいし、つうか、こいつ、獣医療にまで首を突っ込んできてるみたいですけどさ。放置とはどういうことだ?ふざけなさんなよ)癌と診断しておけば、その後の治療がどんなんでも文句を言われにくいんです。

 ま、こんな感じかな。患者さんに年収を聞いてくる病院が以前近所にあって、呆れてたんだけど。最近はどこかに引っ越して、2次診療だとかエラソーなことをぬかして埼玉県中の気の毒な患者さん達から金を吸い上げているなあ。こっちは3次診療だ。おたくの尻拭いをしてるから。
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航空ショー

2016年11月11日 | 
の写真。やっぱり彩の森公園が穴場でございます。

 そこが穴場だって皆がだんだん気付き始めている。今年は屋台が出てるわ、シート敷いてる家族は山ほど、テントまで張ってる人も。なんだか凄い~~。
 で、観覧ツアーらしき大型バスが、去年は路駐なんかしてた。危ないなあと思ってたら、今年は駐禁の張り紙が出てる、そしたら、ずう~~~っと近辺を走り回ってるわけ。それもどうなんだか・・・・・・。市役所さん、市役所の駐車場を開放してみたらいかがでしょう?モチロン、大金をふんだくるんですよ、貧乏シティーだから、そうやって外貨を稼ぐって悪くないアイディアじゃないかと思うんですが。

ということで、写真を。









 これでもか~~!!ってくらいの快晴でようございました。
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