カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

燕岳・敗退編

2008-09-23 | ヤマのこと

2008.9.20~9.22 燕岳(正しくは燕山荘)へ行ってきました。

月曜に有給を取れば4連休のこの日、上司にイヤミを言われながらも無理やり7月から抑えておいた有給、
初めての縦走計画で楽しみにしていたが、台風の動きに悩まされました。


完全に台風にあたるのなら中止、と思っていたが、
前日の天気予報は土日は曇り一時雨、月曜から晴れ、とのことだったので行くことにした。

当初の予定は
中房登山口⇒燕岳⇒大天井⇒常念岳⇒ヒエ平(各テント泊)
なぜ今回テントにこだわったかと言うと、山小屋二泊+交通費で一人¥43000くらいかかってしまうから(痛)
少しでも安く、と言う作戦だったのですが・・・

意外にも早く台風がそれた為、出発した土曜日の午後は青空が見えていた。
一番最初は夜行バスと思っていたが、どうも台風が・・・
ということで早めにキャンセルした。
二番目は新幹線で行って、土曜のうちに登る予定だったが、
仕事で疲れてしまって早起きが出来そうもない。
出発を遅らせたほうが天気が回復しそう、との予報でその日はキャンプ場で一泊、移動だけと急遽変更した。


中房キャンプ場は登山口のすぐ右手の駐車場だった。
誰もいないので解らなかった。(テント場情報は後日)

がその晩、外人団体が16人キャンプに来ると係りのお兄ちゃんに聞いた。
でもここでキャンプなら山に登るのだろうから大丈夫だろうと思ったら甘かった。
17:00頃到着し、大声で24:00過ぎまで大騒ぎ!
これにはまいった・・・・

耳栓するもなんとなく寝不足な翌朝、夜中から降り始めた雨は止まず、予報も悪そうだ。
「どうする?」
と相談の結果、とりあえず登ることに。明日以降の晴れを夢見て。


6:50出発。日曜でも結構登る、さすが人気ルート。


第一ベンチ=7:34着

雨の中なのでほとんど写真も撮らず進みます。

第二ベンチ=8:12着
第三ベンチ=8:54着
富士見ベンチ=9:44着
ウワサ通りほぼ等間隔にベンチがあるので、その度に5~10分休憩しながら行くので予想よりスムーズに歩けた。


合戦小屋まであと3分の看板にウキウキ


合戦小屋=10:34到着!

スイカまだあるかな・・・あれ?雨だから中かな・・・
小屋の方に恐る恐る聞いてみると、
「スイマセ~ン、昨日(9/20)までだったんです、又来年ヨロシクお願いします」
・・・やっぱりなかったかそういうことを外すの得意な私らしいな。
雨でも汗っかきの私は暑くてカッパの中汗だく。
仕方なくコーラで我慢する。


小屋前のナナカマドの実、真っ赤でしかも大粒だった。


合戦小屋を後にすると、段々景色が変わってきた。
ガスと雨で白と緑しかなかった世界に、赤や黄色の彩が加わって・・・


なんて、キレイなんだろう・・・ここは紅葉のプロムナードだ。


景色も何も見えない雨の中、紅葉が疲れた心を癒してくれた。


さあ、目指そう、イルカさんに会いに行こう。


紅葉に励まされ、ノンストップで登ること1時間、
見えた、燕山荘!

やったー!!!11:34到着!
なんと自分でもビックリのほぼCT通りの4時間40分(休憩時間含む)で来た!
今までテント装備(と言っても14kg、水2l含む)で4時間以上歩いたことがなかったので嬉しかった。

ご褒美ご褒美!
テント代¥600と夕食代金¥2600を払い、早速喫茶コーナーへ案内してもらう。


大ジョッキ¥1000
ぷぅはぁ~~~ウマっ


またここのテラスがステキでした。
雨と汗でずぶ濡れな私たちには天国のような場所。
ストーブがたかれ、光が一杯差し込むテラスで、
「一番いい時期にこられましたね、今年は早いんですよ、紅葉。この見頃は後3日で終わり・・・」
とおねえさんが教えてくれました。

汗も少し引いたところで、寒くならないうちにテント設営。
小屋の外に出ると、雨が止んで写真でしか見たことのなかった風景が広がった。


うわぁ~~~すごい!


これはすごい!!
感動でちょっと泣きそうになった。


さ、早くテント張って、燕岳へ行こうよ!


ところが見る見るうちにガスが湧いて、この美しい景色が見れたのはこの日、コレが最後だった。
私の元気もここまでだった・・・

テントを張り終わったらまた雨が降ってきた。
仕方なくテントの中で昼寝・・・
何度か外を見るけど、ガスは晴れない。
山頂は明日に期待して、今日はもう終わりにした。

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18:00小屋の食事時間になった。(小屋情報は後日)
幸い小雨だったが、小屋に上がる階段のところまで行くと強風で寒い。

小屋に入るとそれはそれは温かく、やっぱり小屋泊まりにすればよかったと猛烈に後悔。
小屋の人はみんな元気だけど、私は着替えてもまだ身体が湿っていてなんとなく不愉快だった。

それにテント場専用のトイレはちょっと遠く、そして暗くて寒い。
なるべくなら行きたくないので、夕食後、小屋のトイレを使わせてもらうと、
当たり前だがキレイで温かい。
小屋とテントの違いを今回痛感した。
飼い猫と野良猫の違いのように感じた。
しかもこの小屋、さすが人気があるだけあって素晴らしい!
人も設備も山小屋とは思えないほどなんだもの・・・

そして真っ暗で冷たく降り続く雨の中、夕食で温まった身体でテントに戻る悲しさ・・・
多分今回の失敗の原因はここだったと思う。
雨の日、2500m以上、初秋のテント泊がどれだけ辛いことだったのか、初めて知った。
経験不足を痛感した。

その後雨が更に激しく、風も強くなった。
幸い思ったほど寒くはなかったが、もう、テントから一歩も出たくなかった。
テントの中もあちこち湿っているし、外には叩きつける雨、気分落ち込む
自分の身体も冷たいまま・・・神様、雨を止ませてくださいとお願いしながら朝を向かえたが・・・


予報は大はずれ、雨が止まない。
止むどころか、横殴りの雨
9/22(月)の予報も変わって、夜まで雨、時々曇り。


出発予定の8:00ギリギリまで待ってみたが、止む気配はなく、
燕山頂方面も全く何も見えない。
この強風と雨の中を大天井まで歩きとおす自信がなかった。
普通の人なら行っているのだろうが、私たちはお互い未経験者。
お互いが心の中に不安を抱えていた。

それでもダンナは行きたがっていたが、私は昨晩からずっと聞き通しだった雨の音に、
もう、気力が途切れてしまったんだと思う。
情けないけど仕方ない、技術も気力もないんだから。
相談の結果、このまま下山することにした。


雨が小止みになるチャンスを待って、テントの中でスタンバイ。
雨の中の撤収作業は10分程度でできたような・・過去最高に早かったのがまた・・・。

下山を始めて15分、うっすら明るくなり、見えなかった町が見えた。
く、悔しい・・・
どんだけ雨オンナやねん、ワタシ・・・



急に足取りが重くなり、後ろを振り返り振り返り、何度も足が停まった。
昨日とは違い、今度は悔しくて悔しくて泣きそうだった。

そんな様子がおかしい私を見て、
「引き返そうか?」
とダンナは言ってくれ、一瞬迷ったけど、
「いや、いいよ、また絶対来る。だからイルカさんに会わずに来たんだから。
重たい荷物を背負ってくれたのに、悪かったね。
次回までにトレーニング積むよ、私。絶対に。」

リベンジを誓ったのだった。

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帰りに又中房温泉「湯原の湯」で汗を流し、生ビールでお疲れさん乾杯。
(温泉情報は後日)
ココのお兄ちゃんが可愛くて(テント泊した日に誰もいなかったので、ゆっくり色んな話をした)
「ただいま~帰ってきちゃったよ~」
と言うと、
「あ、おかえりなさい♪お疲れ様でした、ゆっくりしてください」
と温かく迎えてくれた。

土曜日、客が私たちしかいなかったとき、あちこち掃除をしたり、駐車場にいって案内したり、
甲斐甲斐しく働く彼の姿を見ていて、好青年だな~と思っていた。
若いのに(推定20代前半)えらいなぁ、とオバチャン目線で感心していた。
(夜は19:00頃まで管理して、自宅まで降りて、翌朝はまた5:00には来ていた)

帰り際、
「又来るから、オニイチャンも元気で頑張っててね」
と言ったら、嬉しそうにはにかみながら、深々とお辞儀をした。

まっすぐな瞳の青年に見送ってもらい、悔しくて悲しかったココロが芯から温まった。

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穂高駅に着いたら青空が広がり始めていた。
明日はきっと、晴れだろう。
さっきまでいた山はまだ厚い雲に覆われていたけど、いつかまた必ずここに。
今度はあの上から、この駅を眺めるんだ、と心に誓った。


色んなことを学んだ、今回の旅。
とても大きな価値のあることだったに違いない(と慰める


応援してくださった皆さん、ありがとうございました