2010.4.10(土)~11(日) 吉野山へ念願の千本桜を見に行ってきました。
東京を朝出発したのではどう頑張っても吉野へ到着するのがお昼頃。
混雑必須のこの時期、早くスタートしなければ満足に見ることは無理だろう、と夜行バスで奈良入り。
金曜日、23:10新宿駅発の奈良バスなら奈良駅に着くバス(JRバス他)よりも、
吉野に近い場所で下車できるのでこれを使うしかない、と満席のバスに乗り込みました。
明朝6:00、夜行バスは近鉄・天理駅に到着。
天理→平端→橿原神宮前→吉野 と乗り継いでいきます。
まだ早い時間帯のおかげか?電車には何の混雑の気配なし。
外の景色が大和路らしく変わっていくのを眺めながら、ゆるゆる進みます。
7:56、吉野駅到着。駅前から見える山肌にもう桜が!この時点でワクワクです!
が、何かあるだろう、と途中駅で朝食を取らずにここまで来てしまい、
駅前に何もないことに焦る私たち(~_~;)
まだ開店準備中っぽい食堂に聞くと、Okとのことでお蕎麦をいただき出発準備が出来ました。
近鉄はsuicaが使えないので、日帰りなら帰りの切符を買っておかなければなりません。
この先、コンビニもATMも何もない様なので、現金を持ってないと泣く羽目になりそうです。
今日はバスもロープウエイも使いません。
時間はたっぷりあるので、吉野山を丸ごと堪能するつもりです。
8:30、ロープウエイ下千本駅の右脇の遊歩道を歩いていきます。
すぐに「下千本」の「七曲坂」に出ました、ここから車道歩きです。
車道といえども、のっけから桜・桜・桜のお出迎え。
吉野山の桜はソメイヨシノではなく、そのほとんどがシロヤマザクラ。
山野に自生する野生種、淡紅色~色白の小さい桜です。
ソメイヨシノと比べると、なぜか奥ゆかしさを感じます。
★1 七曲坂の途中からの眺め
思わず足を止めてしまう景色。スタートしてまだ30分もあるいてないのですが・・・
七曲坂を登りきり、赤い「大橋」を渡ると・・・
9:00、目の前に「黒門」が見えてきました。
金峯山寺の総門、木造の門で黒く塗られていることからこの名がついたそうです。
ここから「金峯山寺」までの参道両脇にみやげ物店が軒を連ねています。
帰りにゆっくり見ようね、と、とにかく奥千本を目指します。
目の前にどーんと「金峯山寺」の「仁王門」
南向きの本堂が「山上ヶ岳」からの巡礼を迎えるのに対し、この門は北を向いて、
大阪や京都から逆峯(ぎゃくふ)入りする信者を迎えるためのものだそうです。
勝手神社の脇の坂道を登っていきますが、この時間帯はまだ車がいて、
狭い道、人と車のすれ違いが大変です。
9:00~19:00まで車両通行止めとなります。
土曜日は天気予報が好転して、太陽燦々降り注ぎ、暑いです!
汗をかきかき坂を登ると左手に広い駐車場があり、中に入ってみると素晴らしい眺めが。
★2 大きな一本のしだれ桜の先は「中千本」
(残念ながらこれより下を写すと余計なものが入ってしまうのでカット)
★2 これは9:20頃、逆光の「中千本」風景です。
「竹林院前バス停」到着。バスを待つ人の長蛇の列、この時点で約1時間待ち。
「歩いたほうが早いよ~」なんて思ったのは・・・間違いと後で気づきます。
この後もず~~~っと坂道の登りが続きます。
でもだんだん土産物店も少なくなり、参詣道らしい静かな雰囲気になって行きます。
九十九折に登り、桜を裏から眺めたりいろいろな角度から楽しみます。
だんだんこんな風景になってくるとここは「上千本」
★3 そして絶景ポイントの「花矢倉」へ到着。
眼下に上千本、中千本、蔵王堂を見下ろせ、金剛・葛城・二上山を遠望できます。
義経の忠臣、佐藤忠信がこのあたりで敵を防いだと伝わっています。
写真中央に「蔵王堂」が見えますか?あそこからここまでずっと桜の中を歩いて来て、
今、上から見下ろしています。
写真ではとても収めきれない、ため息の出るほどの絶景でした。
さて吉野の桜はなぜこれほどに日本人の心を打つのでしょう。
日本全国の多くの桜の名所では、近代になってから桜並木を整備したり、
古くからある古木を大切に保護したり、
いわゆる「花見」のために桜を植栽・管理しているのに対し、
吉野の桜は「花見」のためではなく、山岳宗教と密接に結びついた信仰の桜として、
現在まで大切に保護されてきたそうです。
吉野山の自然が織り成すこの絶景、人工的なものとは一線を画しているから、
というのもあるのかもしれません。
さあ、ここから最後の「奥千本」へ。
バスで来る人もここで下車、ここからは全ての人が徒歩になります。
最後の坂を上がると「金峯神社 拝殿」吉野山の地主神を祭る修験道の行場のひとつ。
約1300年前、当時は「山々には神が宿る」とされ、
吉野は神仙の住む理想郷として認識されていました。
のちに修験道の開祖と呼ばれる役行者(えんのぎょうじゃ)は、「山上ヶ岳」に深く分け入り、
一千日の難行苦行の果てに憤怒の形相もおそろしい蔵王権現を感得し、
その尊像こそ濁世の民衆を救うものだとして桜の木に刻み、
これを「山上ヶ岳」と「吉野山」に祀った、とされているそうです。
その後、役行者の神秘的な伝承と修験道が盛行するにつれ、
本尊を刻んだ「桜」こそ「御神木」としてふさわしいとされ、
またそれと同時に蔵王権現を本尊とする「金峯山寺」への参詣もさかんになり、
御神木の献木という行為によって植え続けられ、
約3万本といわれる吉野桜となったそうです。
そんな太古の昔を想いながら、神社の脇から「奥千本」への道を進みます。
やはり土の感触は心地よい。
石仏の見守るその先が「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」
いつか熊野まで歩いてみたいと山地図を買ったものの、最低でも1週間はかかる、
大変厳しい修行の道・・・(女人結界有) 私にとってはこの先は別の世界。
山に入るとすぐに分岐が現れ、右へ行くと「百貝岳」方面。
左へ進むと、徐々にまだ蕾の桜が見えて・・・
観光コースでは終点の「奥千本」到着。まだ咲き初めでほとんど花は見られません。
東屋があったり、広場になっています。皆さん寝転がったり思い思いに楽しんでいました。
私の想像とは違い「奥千本」というこの場所は山中の窪んだ位置にあり、
今まで見てきたようなどこからも眺められる桜ではないので、
ここの桜の開花に照準を合わせてしまうと、桜が山肌を染め上げる様を見るには遅すぎてしまう、
ということが解りました。
桜の開花時期は誰もが予想できませんが、今回いつが見ごろか?
を判断するのが一番難しかったです。
遠いからしょっちゅう行ける訳ではないですし・・・
過去の開花状況を調べ、4月の第二週と第三週のどちらか?を予定していました。
3月より毎日開花情報とにらめっこし、
満開予報>奥千本4/15 上千本4/10 中千本4/7 下千本4/5
という情報で10日前にGO、となりました。
上~下までの桜が全て見れて良かったなぁ、と思いました。
この粘着性格の賜物でしょうか(笑)そして雨オンナもこの日だけは返上できました。
一休みし、先へ進みます。
「西行庵」は西行が俗世から離れ、3年間過ごした庵、
「苔清水」は今も湧き水がわく、松尾芭蕉が一句詠んだ場所だそうです。
「奥千本」でしっとりとした風情を味わい、来た道を戻ります。
数年来の願いだった世界遺産・吉野山の、とりあえず奥千本まで来れてとても充実した気持ちでした。
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吉野駅からここまで徒歩約2時間45分、山として考えると高尾山よりちょっときついかな?
奥千本は標高約800m、ずっと登りで観光にしては少し辛いかな、という印象でした。
シャトルバスに乗りたい気持ちも少しわかる気がしました。(でももったいない・・)
さあ、もうそろそろお昼。お腹がすいたけど実は食べるものを持っていない・・・
昼食は「柿の葉寿司」を買おうと思って来たのに、タイミングを失い買いそびれてしまったのです。
土産店があまりに多かったので先へ進んでもあるだろう、と思ったのが間違い。
「中千本」を過ぎるともうほとんど食べるものは売っていなかった。
調べてこないほうが行けないんですけどね、今回は全て調べつくしてくるんじゃつまらない、
一期一会で行こう!と決めてきたので・・・(言い訳)
この失敗が思わぬ展開へと・・・
つづく。