カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

花を求めて平標山・後編

2010-07-06 | ヤマのこと

つづきです。

夜中は土砂降りの雨で何度か目が覚めた。
でも、5:00頃には雨も上がり、昨日見えていなかった苗場方面の山々が・・・


幻想的な山の朝。何度見てもいいものです。



なんと青空まで見えてきて、仙ノ倉山までクッキリと見えました。
予定変更してもう一度登っちゃおうか?とも思ったのですが・・・



小屋の前からは天気が良ければ八ヶ岳、浅間山、富士山も見えるそうです。
木々の間には初めて見る独特の形の「苗場山」がくっきり。
以前「遊仙閣」がまだ営業している頃は、屋根の上に布団を干しているのが良く見えたんですよ。
と寂しそうに小屋番さんが話してくれました。

さてそろそろ出発しなければ間に合わない。
今日は群馬県側へ降りる予定。
以前から一度行ってみたかった温泉へ降りるルート。
そこの温泉の日帰り入浴は午前中しかやっていない。
だからどうしてもここを降りて行きたかった、去年からずっと暖めていた企画だった。


ところが昨夜、宿帳記入した後、オーナーさんが素泊まり小屋にやってきて、
「そっちにおりるの?あのね、そのルートはヒルがいるんだよ・・・」
「えっ!ヒ・・ヒルですか・・・いるんですか・・・こっちにも?」
「いるなんてもんじゃね~んだよ、そりゃ~もうわんさかと
「え~~どうしよう・・・・ほかのルートもいるんですか?」
「うん。このエリアは全部いる。新潟県側はいない、群馬県側だけにいるんだ。
だからね、絶対立ち止まっちゃダメだ。ヒルは震動と人の体温で起き上がる
足をドン、っと降ろしたらヒュッ、て起きて、ペタン、とくっつくから。
一気に駆け下りるんだ休んでいいのは橋の上だけ。橋が3本架かっているからね、その橋の上だけ

地図を広げ、丁寧にあっちだ~こっちだ~と教えてくださいました

そんな話を聞いた昨晩、作戦会議。
車道を歩いて帰ろうかとも相談したのですが、とりあえず行って見よう。
どうしても行きたいコースなんだから。



6:00、覚悟を決めて出発です。
青空も出発前にはまたガスの空に変わってしまいました。
 

 
こちら側は比較的緩やかなコース。上信越自然歩道(中部北陸自然歩道)というらしいです。
小屋の奥さまが「三国山方面はそろそろキスゲが咲いてるかな~」と仰っていたのですが、
なるほどちらほらとキスゲの姿が。



大源太山(河内沢ノ頭)への分岐で休憩。誰にも合わない静かな朝の登山道。



(三角山山頂)
それでも小さなアップダウンを繰り返しながら進んでいくと、
こんな天気にも関わらず、登ってくる人とすれ違うようになりました。


 
いくつかの小ピークを越え、今日最後のピーク「三国山1636m」到着。
ここからは眺めが良いそうなのですが、全く何も見えません!!残念。


三国山から下がキスゲのお花畑らしく、つぼみがたくさん
まだちらほらしか咲いていなかったので、見頃はあと1週間くらい先でしょうか・・・


 
(右:三国権現)
三国峠1300mまではず~~~~っと木の階段を降りていきます。
雨で滑るし、ナナメになったところもあったりで、気を使います。
登ってくるのも大変そうですが、皆さんキスゲを目指してこられている様で、
悪天候にも関わらず、7、8組の方々とすれ違いました。

 
車道に出ました・・・
一旦車道を歩き、上越橋を渡りすぐ右手に沢沿いに下りる道があります。
ここから1時間弱が恐怖のヒルヒルロード・・・一旦休憩して・・・


急げ~~!夕べの作戦通り、間を空けずに歩くんだ~~
前を歩く人が起こしたヒルを後ろでキャッチしないように!写真撮ってる場合じゃないよ!



と歩き始めると、なんとさっきまで霧雨だったのに、薄日が差してきました。
本当なら沢沿いの清清しく美しい登山道だと思うんですけど・・・

歩き始めて10分、湿った葉っぱの塊の場所から・・・でてきました

「ぎゃぁ~~~~でたぁ~~~ヒルッち!!」

前を行くダンナに「早く歩いてよ!」と言ってるのに、
俺には見えない、とか言っちゃっていつもより歩くの遅いじゃん(昨日の仕返しか)


(イメージイラスト)
ダンナの振動で今まさに起き上がったヒルっちが、
地面から、石の上から、にゅ~~っとユラユラつやつやと光りながら揺れているその様ったら・・・
もう鳥肌立ちっぱなしです。


皆さんはヒル経験ありますか?



・・・・・・・・・・・・・・・?



では、せっかくなので経験ない方の為に・・・。



注:ここからは「しゃくとり虫系」大丈夫な方だけご覧下さい。



お待たせしました♪これがヒルっちです


 
(左:靴にぺっとり   右:橋の下にポイしたのに、数秒で這い上がってきた!)

立ち止まらなかったのに、やっぱり付いてた!!(でもこれは小さいほう。大きいのは全長4cmくらいあった)

でも二度目になると不思議とちょっと冷静。手で掴んで、ポイッ、です。
いるのが解っているから気づくの早いので、靴とカッパの上にしかいませんでした。
食われなかった~~ヨカッタ。


 
そんなスッタモンダを終えると、乾いた砂利道になり一安心。
なんとなく観光地っぽい滝があるなー、と思ったら・・・


10:50、お目当ての「法師温泉」に到着しました。



さすがに歴史のある温泉、秘湯の風情一杯でいい感じです。
宿もひなびた感じなのですが、手入れ良く、大事にされているのが解る宿でした。


 
ヒルがついていると警戒されているので、ザックも靴も外に置き去りにしたまま中へと入ります。

本当はこの「長寿館」の目玉は国登録有形文化財指定されている「法師の湯」
建築されてから1世紀以上経っている浴槽で、純度100%の源泉が、
下に敷き詰めた玉石の間からポコポコ自然湧出しているそうです。

但しここは混浴(タオル等使用不可)。女性専用時間は夜間のみで日帰りでは入れません。
最初は日曜の朝から混んでないでしょ~、と入る気満々で来たのですが甘かった。
人気があり入浴客が多すぎてさすがにムリ・・・諦めて脱衣所から覗くだけとなりました、残念!

お湯は硫黄泉でぬるめ、軟かい肌触り。

旅人たちや土地の人が、温かい湯に体身をゆだね心を癒した遠い昔の風景が、
浮かんでくるような素晴らしい温泉でした。

群馬もいい温泉一杯ありますね♪


帰りはバスがないので宿でタクシーを呼んでもらい、猿ケ京温泉まで(約¥3300)
バス待ち時間に地元の食堂で昼食を食べ、「後閑駅」までバスに揺られ、
湘南新宿ラインで帰りました。



その昔、越後と関東を結ぶ重要な街道であったというこのルート。
その一部ではあるけれど去年から歩いてみたかった、そしてどうしても入りたかった温泉
ヒルというアクシデントはあったけど、念願かなってシアワセな二日間でした。



今回歩いたルート。
黄色の点線内がヒルヒルエリアです。ご参考までに。



【交通】往路:東京駅6:32(新幹線たにがわトクだ値30%割引¥4560)→越後湯沢駅8:04 南越後交通バス8:20→平標登山口8:50¥580
復路:法師温泉から猿ヶ京(タクシー15分¥3300)関越交通バス猿ヶ京13:25→後閑駅13:55 JR後閑駅→高崎駅→新宿(高崎より湘南新宿ライングリーン使用)¥2520+グリーン料金¥750



※スイマセン、お花は書ききれませんでした。別ページにて。