Mr.Dashのぶろぐ館

奈良・大阪・日本アルプスの山々が大好きな、Mr.Dashのブログです。

2008年10月11日(土)~13日(月)北ア・笠ヶ岳で、錦秋を満喫

2008年10月17日 | 山登りの記録
3連休。金曜日に当座の仕事を夜叉か雷神のごとく片付けて、土曜日を確保。
実は、ちょっと危なかったが、火事場の馬鹿力。
馬鹿ついでに馬鹿登りの笠新道経由で、今まで登り残していた笠ヶ岳に向かう。

メンバーは、Mr.Dash、ともちゃん、N尾クン、T橋クンと、
桑名のT中奥さん。5名という、行動しやすい人数になった。

T中奥さん、登りの標高差1800m、下りは1900mというハードさに
かなりビビっておられたが、Mr.Dashは、時間さえかけたら必ず
登頂できるはずと信じていた。
結局、実際にはT中奥さんの心配は杞憂であり、往復とも、時間をかけるどころか、
単独行の健脚ハイカー以外にはほとんど追い抜かれない、むしろ他のパーティを
抜くほうが多いようなペースで見事、歩ききることになる。


11日は、アプローチのみ。新穂高温泉から、ワサビ平小屋まで僅かな道のり。
午前中はあいにくの雨であったが、新穂高温泉に着くと、雨はあがっていた。ラッキー。
穴毛谷の方向をみると、紅葉はかなり期待できそうだ。

時間はたっぷりある。途中の高さ2mあまりの岩でボルダリングに興じる。
N尾クンが、乏しいホールドを巧みにとらえ、最後はマントリング気味に
エイッと登る。すごい。Mr.Dashは右手を奥のホールドになんとか
届かせるが、右足が上がらずフォール。悔しいが、坐骨神経痛の右足は
無理がきかない。こういう時に、自分が病気持ちであることを突然思い出す。

ワサビ平小屋は、混雑しているとのことだったが、ひとり90cmの幅なら十分。
ビールを飲んで、夕食を済ませ、日本酒を飲んだら、早々に爆睡とあいなった。

12日は快晴。10分ほど戻り、急登で悪名高い笠新道にとりつく。
のっけから、ブナの黄葉が美しい。

急登というが、ちゃんとつづら折になっていて、歩きやすい。焼岳や乗鞍が見えてくる。


しばらく登り続けて、ふと振り返ると、穂高連峰が丸ごとドカンと展望できた。
標高を稼ぐにつれ、槍ヶ岳も見え始め、色づいた森とのセットに有頂天になる。

ブナ帯が切れ、針葉樹が出てきたなと思ったら、もうダケカンバとナナカマドの
林に変わっている。登り続けているのだから、それもそのはず。
森林は、垂直分布にじつに忠実である。潅木帯になると、槍ヶ岳から穂高までの
ギザキザの3000m級の巨大な屏風が迫力を増す。


やがて杓子平に乗っ越す。ネコは見当たらない杓子平。
眼前に、目指す笠ヶ岳が姿を見せる。この春、イエティ氏が山スキーでここから
穴毛谷に滑り降りたというが、信じられん。
尾根には薄氷、霜柱、ちょっとした”つらら”もあり、季節を実感する。

しばらくの平坦なトラバースを経て、標高約2500mくらいから勾配が急になる。
空気が薄くなることもあって、このあたりが一番苦しいところか。
どのパーティも、足取りが重い。

しかし、途中でかわいい3羽のライチョウのパーティ(!?)に遭遇したり、
県警のヘリがぐるぐる回っていたりして、なかなか飽きさせない。


抜戸岳のピークに寄り道。ほんの少し、足を伸ばすだけで一つピークを稼いだぞ。
360度の見事な眺望を得られる。もっと人気が出てもいいくらいの山だ。
ほとんどのハイカーが直接、笠ヶ岳に行ってしまうのを勿体ない気持ちで眺めた。

抜戸岩を経て、最後の登り。節理で薄い板のようになった岩が、巧妙に敷き詰め
られている。長年、小屋のスタッフが誠実に整備してきた証で、妙に心に響く。


笠ヶ岳山荘に着く。小屋前の無料双眼鏡で、槍から穂高をなめるように観察する。
槍の穂先に登山者がいっぱいいるのが見える。
「おお~、ヒトがゴミのようだ」と天空の”笠”からのたまう。

ここで遅い昼食。Mr.Dashとともちゃんは、早弁を
済ませてしまっていたので、小屋の「播隆ラーメン」を注文。
素朴なショウユ味が美味かった。


荷物をデポし、笠ヶ岳の山頂にお散歩。少し肌寒くなってきたが、
展望の良さは天下一品。結構、長い時間、山頂で憩う。
T中奥さんも、充実感たっぷりの満足げな表情。がんばった甲斐があった。


山荘に戻ると、県警のヘリが、まるでハイカーへのデモンストレーション飛行の
ように山荘のすぐ脇を周回し始めた。山荘の裏でホバリング。
これは、イザという時のための練習なのかな。小屋前のテラスでめいめい
時間を過ごしていたハイカーたちはこぞってカメラをヘリに向ける。
狭い石組みの上に、見事に着陸を決めたとき、どこからともなく拍手が
沸き起こった。窓の中から、クルーが手を振って声援に応える。
なんとも愉しいコミュニケーションだった。

この日は4人スペースに5人詰められての就寝。
「もう、寝ましょ。明日、いっぱい下りなきゃ…」と早々に寝る。
しかし、寝返りを打つと、T橋クンの身体に当たってしまう。その逆もう、
夜中に何度か目が覚めた。


13日の朝が来た。結局、よく寝た自分をほめてあげたい。
北穂ドームのヨコから太陽が顔を覗かせた。今日は、クリヤ谷ルートを下山する。


防寒具を着て、再び笠ヶ岳のピークへ。笠ヶ岳の三角の影が、西の虚空に
浮かびあがる。幻想的な瞬間。これも、山の神からのご褒美か。


ぐんぐん標高を下げ、親子のライチョウが山の斜面を歩いているようにも見える
ライチョウ岩を過ぎる。

尾根西側のトラバースを終えると、東側斜面に転じ、ぐっと急坂を下りる。
森林限界が終わり、ササヤブとダケカンバ帯を抜けると、やがて紅葉・黄葉の
天国に突入した。まさに錦秋!


錫杖岳の険しい岩稜と、雲ひとつない青空、そこへ真紅のカエデ、
オレンジに光るブナ、黄色が映えるクロモジ、黄緑が異彩を放つコシアブラ。
すべて原色系に近い鮮やかさで、目が痛くなりそうだ。
カメラのシャッターを切るのに忙しく、なかなか下山のペースが上がらない。


黄葉帯がようやく終わり、杉の植林となる。鉄製の看板が、杉の幹に
飲み込まれてしまいそうなユニークな光景にも遭遇。


クリヤ谷最大の難関とされる沢の渡渉も、水量が少なく、何の苦もなく渡れた。
ある意味で、ここを苦労してシュリンゲ等を駆使して渡るのも愉快だろうなと
思っていただけに、肩すかしだった。

昼過ぎには槍見旅館の裏手に、無事下山。
舗装道をクルマを取りに戻り、そのまま深山荘の内湯にドボン!
これがいい具合の湯で、秋の刺激で脳内麻薬でいっぱいの身体が、
落ち着きを取り戻してくる。ゆるゆるとした、至福の時間だ。

皆、「しんどかったが満足」という見解で一致。
今年の秋は、本当に、久々の「大当たり」だった。


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