カンボジア経済

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カンボジア銀行監督年次報告書 2019

2020年05月21日 | 経済
 4月27日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行 (National Bank of Cambodia:NBC)は、銀行監督報告書2019を発表しました。この報告書は年1回発表されますが、カンボジアの銀行セクターについて詳細なデータも含んでおり、大変参考になります。
 2019年も、カンボジア経済の好調の波に乗り、カンボジアの銀行セクターは引き続き順調に成長しました。2019年末の商業銀行47行・特殊銀行15行の総資産は、2018年末から23.2%増加して172.1兆リエル(約422億ドル:約4兆5200億円)に達しました。2019年末の貸付残高は、前年比25.4%増の102.5兆リエル(約252億ドル:約2兆6900億円)となりました。預金残高も、前年末比16.8%増の103.6兆リエル(約254億ドル:約2兆7200億円)となっています。
 貸付先をセクター別シェアで見ると、小売15.4%、住宅(個人向け)11.4%、卸売11.0%、建設9.5%、個人向け8.7%、不動産8.4%、農林水産業7.3%等となっています。不動産セクター(住宅、建設、不動産)向けは、2018年からは増加しています。
 商業銀行・特殊銀行の平均不良債権比率は、2018年末の2.2%から若干減少して、2019年末は2.0%となっており、引き続き問題ない水準にあります。
 NBCでは、金融の安定性、持続可能で包括的な成長を確保するため、国際的監督基準等に配慮しつつ、効果的な銀行監督を強化したいとしています。今後の課題として、電子取引等の増大に伴う技術的リスクの監理強化、カンボジア信用機構(CBC)による個人・企業与信情報管理、国家金融包摂戦略の推進、金融リテラシーの向上等を挙げています。また、消費者保護拡充、銀行監督能力の向上、リエルの使用促進等にも取り組んでいくとしています。
 なお、この報告書は2019年の状況を取りまとめたものです。2020年のカンボジアの銀行セクターは、新型コロナの影響で、不良債権比率の上昇、業績悪化等は避けられない状況にあるものと見られます。新型コロナの影響については、今後の状況・報告に留意を続けることが必要と見られます。

カンボジア中央銀行のサイト(英文です)
https://www.nbc.org.kh/english/publications/supervision_annual_reports.php



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