カンボジア経済

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経済財政省 公的債務統計報告書2022第1四半期 債務状況は問題ないレベル

2022年07月04日 | 経済
 6月9日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第14号を公表しました。2022年3月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。これまで、この報告書は、年1~2回の発行でしたが、初めて4半期別が発行されました。
 2022年3月末の公的対外債務残高は、90億1469万ドル(約1兆2170億円)と2021年12月末の95億272万ドルから5.1%の減少となっています。これは、最近の急速なドル高によって、ドル以外の通貨(円、ユーロ、元等)建ての債務の評価額が減少したためと見られます。国別では、中国が最大で39億2908万ドル(全体の43.6%)、以下、アジア開発銀行18億5245万ドル(20.5%)、日本7億9997万ドル(8.7%)、世界銀行6億8229万ドル(9.6%)、韓国4億5709万ドル(5.1%)等となっています。
 債務持続性分析を見てみると、2022年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.9%(基準値40%)、同対輸出比率33.9%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.1%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 多くの途上国が、新型コロナ対策で多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/download-counter?post=7962


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