7月5日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し四半期改訂版」(Quarterly Update of the ASEAN+3 Regional Economic Outlook)を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
今回の改訂版見通しでは、中国での新型コロナの感染拡大、ロシアによるウクライナ侵略、世界的な金融引き締めといった状況下での2022年~2023年の見通し等について分析しています。
AMROは、今回の見通しで2022年の加盟13カ国のGDP成長率見込みを若干引き下げました。ASEAN+3では、2022年4.3%(前回4月予測4.7%)、2023年4.9%(同4.6%)、ASEAN10か国では、2022年5.1%(同5.1%)、2023年5.2%(同5.2%)と見ています。カンボジアについても若干引き下げ、2022年4.9%(同5.2%)、2023年5.8%(同6.1%)としています。ASEAN主要国については、2022年は回復傾向にあるとして、タイ3.2%、フィリピン6.9%、シンガポール3.9%、マレーシア6.0%、インドネシア5.1%、ベトナム6.3%等と予測しています。
米国でのインフレ進行やウクライナ侵略の影響によるインフレの波及には懸念を示しいています。また、インフレ対策としての世界各国の金融引き締めの影響にも留意が必要と見ています。ASEAN10カ国の物価上昇率予測は2022年6.2%(前回4.1%)と大きく引き上げました。カンボジアについても6.4%(同5.0%)に引き上げています。
AMROでは、「各国政府は、経済成長のモメンタムを維持しつつインフレ圧力に対抗するという難しい課題に直面することとなる。」と指摘しています。
AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施しています。
AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/asean3-poised-for-robust-growth-despite-threats-from-ukraine-war-and-tighter-financial-conditions/
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