カンボジア経済

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ムーディーズ カンボジアの格付け B2を維持 2021

2021年05月27日 | 経済
 5月18日、国際的格付機関のムーディーズは、カンボジアのソブリン発行者格付けを今回も「B2」で変わらずと発表しました。また、今後の見通しも安定的としています。中国や欧米の経済のスローダウンの影響を受けて、カンボジアの2020年の成長率はマイナス3.0%に落ち込みましたが、2021年は2.9%まで回復すると予測しました。しかし、コロナ前のレベルに復帰するのは早くても2022年となるとしています。
 格付けを維持した理由として、一時的なマイナス成長はあるものの、潜在的成長力の強さ、税収の増加、政府対外債務の健全性等があるためとしています。カンボジアの新型コロナ対策に関しては、少なくとも2020年は奏功したと評価しています。貧困・脆弱世帯向け現金支援、失業者向け手当支援等は、経済刺激策として有効であったことに加え、対象の絞り込みが十分で財政への影響も考慮された点も評価しています。しかし、今年2月以降の市中感染の拡大もあり、こうした財政支出は今後も継続が必要となると見ています。財政支出拡大は、財政健全性や対外債務への影響は若干あるものの、概ね妥当な範囲に留まると見ています。対外債務の対GDP比率は、2020年の33%から、2022年には38.7%まで拡大しますが、その後は安定すると見られることや、債務の内容が譲許的なもので負担が少ないことを考慮しています。金融セクターについては、中央銀行主導で、新型コロナで影響を受けた借入人の返済猶予等を行ったことを評価しています。また、中小企業銀行等による中小企業向け金融支援も奏功したと見ています。
 今後の見込みについては、競争力強化やビジネス環境改善のための構造改革が進めば、格付けのアップグレードもありうるとしています。他方、格付けに影響するリスクとしては、成長率低下が予想よりも長引くこと、不動産向け融資等が不良債権化すること、外国直接投資の落ち込みが予想よりも長引くこと等を挙げています。
 なお、ムーディーズの格付けでは、AaaからBaaまでの10段階は「投資適格」、Ba以下は「投機的」と分類されています。カンボジアの「B2」は、「投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け」と定義される「B」のうち中位にあることを示しています。
(写真は、発展が続くプノンペン市内)

ムーディーズのサイト(英文です。レポート本文は有料です)
https://www.moodys.com/research/Moodys-announces-completion-of-a-periodic-review-of-ratings-of--PR_446508


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