カンボジア経済

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縫製協会 新型コロナ中の最低賃金凍結を要求

2020年07月02日 | 経済
 6月23日、カンボジア縫製製造業協会(GMAC)は声明を発表し、2021年の最低賃金について、2020年と同額を維持することを求めました。カンボジアの縫製業界は、安い労賃をメリットとして、国際競争力を維持してきました。しかし、新型コロナで主要輸出先の欧米諸国で需要が急減していることに加え、8月からはEUの特恵関税制度EBAの資格停止も適用されるため、厳しい状況に追い込まれています。既に多くの工場が操業停止・廃業し、13万人の労働者が一時帰休・失業に直面しています。
 通常であれば、政労使の三者による労働諮問委員会で来年の最低賃金が検討されますが、こうした状況下では、最低賃金の引き上げは不可能であるとして、GMACは2021年の最低賃金凍結を求めたものです。カンボジアの最低賃金法第11条には緊急事態条項があり、「必要な場合には、最低賃金の検討を延期し、延期している期間中は現行の最低賃金を維持する」としています。GMACでは、新型コロナで前例のない状況にあり、状況が改善するには相当の期間を要するとして、この条項を適用すべきであると主張しています。
 2020年1月1日から適用されているカンボジアの最低賃金は、190ドル/月です。2019年は182ドルで、4.4%の上昇となります。近年の最低賃金の上昇は、2012年61ドルから2013年80ドル(31.1%増)、2014年100ドル(25.0%増)、2015年128ドル(28.0%増)と急激なものがありましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた2016年は140ドル(9.4%増)、2017年153ドル(9.3%増)、2018年170ドル(11・1%増)、2019年182ドル(7.1%増)と上昇幅が落ち着いてきています。
 カンボジアの主力産業である縫製業の動向は、カンボジア経済全体に影響する重要事項です。最低賃金については、政労使三者が納得する結論となることが期待されます。



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