カンボジア経済

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ACLEDA銀行 AIIBから1億ドル借入へ 中小企業金融向け

2023年07月11日 | 経済
 6月30日、カンボジアの商業銀行最大手ACLEDA銀行は、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank: AIIB)から、1億ドル(約144億円)を借り入れると発表しました。今回の借入金の使途は、カンボジア国内の中小零細企業への融資の原資とする計画です。ACLEDA銀行では、今回の借入について、銀行の計画に基づいて長期資金を借り入れて、戦略的成長や資金源の多様化を図るためとしています。借入の条件は、期間5年で、金利は手数料を含めて年8.8~11%とのことです。実際の貸付実行は、今年12月となる見込みです。
 AIIBについては、中国共産党に支配されていると非難してカナダ人幹部が辞任したことを受け、カナダ政府は6月14日、AIIBとの取引を全面停止し、同行への中国共産党の影響力を調査すると発表しています。調査の結果によっては脱退する可能性もあることを示唆しているとのことです。
 AIIBは日米が主導する世界銀行やアジア開発銀行などに対抗する形で、2016年に中国主導で設立されました。2023年6月時点で世界92カ国・地域が加盟していますが、日本や米国は運営が不透明であること等を理由として加盟していません。当初は、日本もAIIBに加盟すべきだとの意見が野党や経済界からありましたが、今となっては加盟していなかったことは妥当であったとの意見が多数派となっているものと見られます。
 カンボジア(政府及び民間企業)は、これまでAIIBから5件、総額3億6000万ドルを借り入れています。親中派の国としては、貸付金額が伸び悩んでいるものと見られます。また、カンボジア政府の借入残高に占めるAIIBのシェアも、0.02%と微小です。
 中国の一帯一路政策や過剰な貸付により、いわゆる「債務の罠」に陥る国々もある中で、カンボジアは、日本や国際機関からの譲許的借入を活用することで債務の健全性を保っています。引き続き慎重な対外債務コントロールが継続されることが期待されます。
(写真は、ACLEDA銀行本店)

ACLEDA銀行の発表(英文です)
https://www.acledabank.com.kh/kh/eng/ir_td20230630


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