カンボジア経済

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中央銀行 新型コロナ影響の借入人の貸付条件変更 期間を延長

2020年11月26日 | 経済
 11月20日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、新型コロナや最近の洪水の影響で返済が困難になっている借入人に対する条件変更を認める特例の適用期間を、2020年末から2021年年央まで延長しました。今年3月27日、NBCは、新型コロナの影響を受けている借入人に対する貸付条件の緩和を求める通達を発出しています。この通達では、商業銀行、マイクロファイナンス機関等のすべての金融機関に対し、返済期限の延長や元本の支払い猶予、金利の引下げ等により、新型コロナの影響を受けている借入人を救済することを求めています。特に4つの優先セクター(観光、縫製、建設、運輸)に最大限の配慮を行うように求めています。
 カンボジアの金融セクターは、このNBCの通達に従い、貸付期間の延長や利息の繰り延べ、利息・手数料の減免等の対応を行ってきました。不良債権比率は、年初の1%程度から2.5%程度に悪化したものの、こうした対応により2%台で留まり、今のところ健全な範囲内にあります。マイクロファイナンス大手のLOLCでは、不良債権比率は2019年9月末の0.61%から2020年9月末には1.19%に、プラサックでも2019年9月末の0.31%から2020年9月末には1.16%になったとのことです。
 金融機関がこうした貸付条件の緩和を行うのは、厳しく取り立てをした場合、多くの借入人が一度に返済不可能となる可能性があり、その場合、金融機関自身も危機に陥る可能性があることが背景にあります。貸付条件の緩和によって、なるべく多くの借入人から粘り強く返済を続けてもらうことにより、各機関の傷を最小限に抑えるとともに、金融システム全体への危機の波及を防ぐことは大変に重要なことです。新型コロナの影響は、当分続くことが予想され、経済状況も不透明な状況が続くと見られます。NBCが条件変更の期間を来年半ばまで延長することは、極めて妥当と見られます。
(写真は、NBCの旧本店。現在建て替え工事中です)


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