・オープンダイアローグは、これら(治療方針)さえも脇において、「ただ対話をする」のです。
・同じ意見だったらいないのと同じですし、いないほうがいいです。
・「もしも〇〇さんがそちらの席に座っていて初めからこの話を聞いていたとしたら、〇〇さんは何と言ったと思いますか?」
・「私がどのように思ったかを話してみたいと思いますが、いいでしょうか?」
「私の思ったことは間違っているかもしれません。違うと思ったときは教えてください」
・「私はあなたの考えをもう少し理解したいと思っています。どうしてそのように思ったのかをお聞きしていいでしょうか」
・「いま〇〇さんのお話をお聞きして、私もいろいろなことを感じました。そのことを話してみたいと思うのですが、いいでしょうか」
「私の考えが正しいという思いで話すのではありません。この短い時間のなかで何かを判断するというのは難しいことだと思っています」
・もし自分の考えを話すことに慣れていない支援者がいたら、ぜひ「聞く準備はできている」というメッセージを伝えてみてください。きっと、その人は話すことができて、対話が生まれていくと思います。
・オンラインで参加する人とが混在してもいいように思います。対話の途中で招待したい人が思い浮かんだら、その人に電話をして動画で参加していただくこともいいでしょう。
・4つの質問をしてみる
①あなたの困りごとを知っている人は誰か?
②あなたのことを心配している人は誰か?
③あなたが一緒に話したいと思う人は誰か?
④当日参加してくれる人は誰か?
・なによりも「対話が終わったあとも対話が続くのを信じる」という感覚を大切にしています。
・診断名でものごとを考えてしまうと、ご本人たちの苦悩をちゃんと聞くことができなくなるように思います。
・妄想というものは困難な事態に関する本人なりの状況理解であり、幻覚は本人の人生のかかわった何かなのだとわかってきます。
・リフレクティングチームがやってはいけないことがあります。それは対話を止めてしまうことです。強い言葉によって傷つけられたときや、無視されたと感じて話す気を失ってしまうと、対話は止まります。
たとえば、分析、客観的事実っぽい話、批判、ジャッジメントなどは、それを一方的に聞かされる人たちをひどく傷つけます。
・アバウトネス(~について考える)とは、自分たちと切り離されたこととして扱う話し方で、ウィズネス(~と一緒に考えること)というのは、自分たちのことを扱う話し方です。
・対話が困難になった関係性のなかで対話を聞く-ただそれだけを大切にしているのがオープンダイアローグだと私は思います。
はじめに
序章 オープンダイアローグはこうして生まれた
診断と治療だけでは助けにならなかった
オープンダイアローグの根源
ケロプダスがオープンダイアローグを知らなかった頃
オープンダイアローグが生まれた日
Need-Adapted Treatmentと何が違うのか
ビルギッタの一言
ゴールは「対話そのもの」
医学から対話へ
まずは病棟で話を聞くことから
話したい場所で聞く
最初の調査
オープンダイアローグは1日で誕生する
Column 「私たちのやり方を真似しないでください」
第1章 ふたつの土台
実際の「対話セッション」の様子1
1 その人のいないところでその人の話をしない
申し送りも相談も「その人のいるところで」
「支援する/される」という力関係が対話を阻害する
困っているそのスタッフが「本人」
子どものことで相談している家族が「本人」
2 1対1で話さない――専門スタッフは2名以上
専門職の意見が一致しないことが大切
ひとりで対話をする工夫――私のやり方
Column 7つの原則をどう考えるか
第2章 つねに意識しておきたいこと
1 一人ひとりが特別
「接遇」以前のこととして
話す機会を公平にする
優劣のない関係性を守る
「現場で決めていけないこと」だけを決める
垂直の関係性を意識する
相手の考えはつねに自分の理解を超えている
「理解しようとする」態度そのものが助けになる
2 ポリフォニーを意識する
不安が声を押さえ込んでしまう
自分の楽器を持ってジャズのセッションに参加する
スタッフもまたひとりの奏者として
3 不確かさの中に留まる
すぐに答えに飛びつかない
こう言って不確かさに留まる――私のやり方
プロセスを信頼する
4 透明性を保つ
自分がどう思ったか話す「責任」が専門職にはある
質問さえ脅威になる
リフレクティングと透明性
専門職がひとりのときにはどうするか
Column 話すスペースをつくる
第3章 対話の場を設定する
1 いつ行うか
即時に応答する
電話を受けることに集中できる体制をつくる
電話口にはシフト表――その場で決める
2 誰を招くか
招待するという感覚
4つの質問をしてみる――ソーシャルネットワークが見えてくる
最初から参加も、途中から参加も
対話の場に医師が参加することは少ない
担当スタッフはずっと同じ
3 準備はしない
事前の打ち合わせ、事後のカンファレンスはしない
すべては「その場」で考える
「いないところで話す」必要があったらどうするか
対話中はメモをとらない
4 どこに座るか
本人が話したいと思う場所にする
輪になって話す
座る席を選んでもらう
5 時間はどうする
60分でさえ難しい……
対話のあとに対話が続くことが大事
必要があれば連日開く
時間差で対話する
Column 精神科訪問看護を利用してみよう
第4章 セッションを始めよう!
1 オープニング
チェックインを確認する
自己紹介を2回するくらいのていねいさ
対話の場を温めるための準備運動
最初に経緯と期待を聞く
2回目以降はどう聞くか――私のやり方
2 全員の声を聞く
なぜ全員に聞くのか
それぞれの必然性に従った「公平」
ひとりで話したいと言われたら――私のやり方
3 リフレクティング
4 クロージング
細心の注意が必要
最初に終わりの時間を確認する
残り15分でどうするか
最後は本人たちの声で終える
むずかしい対話場面の終え方
次を決めることでチェックアウト
Column 統合失調症の患者数はさらに減る
第5章 対話を促進させる工夫
1 話すことと聞くことを分ける
たとえばこんな言い方をする
話す順番の決め方
誰が話者なのかを明確に示す
2 話したいことを話せるように
臨床でよくある場面
ジャッジされたら二度と話さなくなる
話したいことと話したことは違うかもしれない
話を聞くことで精神状態が不安定になるとは?
3 話し手が自分の声を聞くのを助ける
話していることをいちばん聞いている人は誰か?
間にはさまざまなものが生まれる
沈黙に戸惑ったら聞けばいい
聞いたことを繰り返してみる
4 精神医学的問題をどう扱うか
診断名はいったん脇に置く
妄想は結果
最初の3回は抗精神病薬を処方しない
ケロプダス病院での薬の位置づけ
抗精神病薬をやめるときは慎重に
睡眠薬は最初から数日間処方することがある
「そのように感じたのはいつからですか?」
Column 暮らす場所によって薬の量は変わる
第6章 リフレクティングを身につける
実際の「対話セッション」の様子2
1 リフレクティングはなぜ必要なのか
専門職の意見は聞きたいが……
リフレクティングという工夫
2 リフレクティングの基本的な考え方
内的会話と外的会話
「話す」と「聞く」を構造的に分ける
3 リフレクティングに役立つ小さな工夫
やってはいけないこと
アバウトネスではなくウィズネスで
話された言葉をそのまま使う
話されなかったことは話さない
ちょうどよい差異を意識する
リフレクティングチームの話は短めに
参加者は聞いていなくてもいい
2回目の中断があったらリフレクティングはやめる
視線は合わせない
4 リフレクティングの始め方と終え方
始めるタイミングは?
ていねいな言葉で始める
本人たちの声で終わる
Column あるリフレクティング
第7章 対話的な組織になるために
1 対等に対話をする試み
先生と呼ぶのをやめてもらった
スタッフ間での会議を対話的にした
私自身が対話のトレーニングを行った
2 組織としてのチャレンジ
仲間づくり
対話トレーニングプログラムをつくった
話し合い続ける
Tolerance of Uncertainty(あきらめない)
Column 1回目は意思決定をしない会議
おわりに
感想;
実際の不登校の男子生徒にオープンダイアローグを行っている、言葉が紹介されており、オープンダイアローグの全体像が伝わってくるようでした。
対話をすることで、良くなることが実際にあるのは驚きです。
薬より、まずはオープンダイアローグを試してみる方が効果が大きいように思いました。
薬は症状を抑えるだけで解決にはなりません。
場合によってはたくさん飲むことで、その人らしさが消えてしまいます。
かつ副作用も伴います。
患者さんが眠れないときは睡眠導入剤を処方することはあっても、すぐには精神のお薬は処方しないようです。
電話での話を聴くのは短くして、実際に会って対話をするようです。
電話応対にこのオープンダイアローグの考え方を導入することは出来ないだろうかと思います。
傾聴は大切ですが、対話でもって本人の気持ちを聴くことができるように思います。
ナラティブセラピーもそうですが、オープンダイアローグの言葉の魔術を垣間見るように感じました。