http://digital.asahi.com/articles/DA3S11610925.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S116109252015年2月20日05時00分
男性は一部のメールを印刷して残している。届いたメールには女性の顔写真があり、「39歳独身。両親と弟を亡くし(中略)一人暮らしてます」などとある=東京都内(女性の顔写真と個人を特定できる情報にモザイクをかけています)
「出会い系」などの有料メール交換サイトを運営する業者が、悪質な脱税をしたとして告発される事件が相次いでいる。利益を生む背景には、お年寄りの利用者の増加があるようだ。メールの相手は業者が雇った「サクラ」が多いとみられ、お年寄りが詐欺的な手口の標的にされている。
300万円あった貯金は底をつき年金や火災保険も解約。借金を重ね、最後は自宅の電気代やガス代さえ払えなくなった。
東京都内で一人暮らしをしていた無職男性(76)は、昨秋までの3年間で九つの有料メール交換サイトに登録し、計1千万円以上を支払った。
2011年秋。インターネット画面で「車をプレゼントします」という表示をクリックしたのが始まりだ。名前や連絡先を入力してメールを送ると、翌日から、見知らぬ女性からのメールが大量に届き始めた。
「悩み相談に乗ってください」「会いたいです」
興味本位で、女性医師を名乗る相手に「お茶でも飲みますか」と返信した。すると、女性の顔写真が届き、自己紹介を交わして会う約束をした。指定した自宅近くの公園で待ったが、現れない。メールを送ると、「場所を間違えた。ごめんなさい」。その後もやりとりを続けたが、はぐらかされるだけだった。
最初の数通は無料でメールができたが、途中からポイントの購入が必要になった。一通あたり約50ポイント(1ポイントは1円)。男性はポイントが足りなくなるたびにコンビニで電子マネーを買い、そこに書かれた番号をサイトに登録して新たなポイントを入手した。
乳がんを患うという「19歳の女性」とのメールは1年以上続いた。効く薬を調べて伝えたり、「強い意志をもちなさい」と励ましたり。母親と一緒に自宅にお礼に来るというのでケーキを3人分買って待ったが、相手は現れなかった。
無視しても、「見捨てないで」などと繰り返しメールが来ると、つい返信してしまう。「寂しさもあり、のめり込んでしまった」
男性は元証券会社員。妻に先立たれ、3人の子どもたちは成人して家を出た。町内会の役員をつとめ、日中は町内パトロールをしたり、親が共働きの子どもとボランティアで過ごしたりしていた。しかし、夜に1人になると時間を持てあまし、パソコンに向かった。
気づくと朝までメールを送り続けていたことも。お金がなくなると、親戚や近所の人に数万円を借りてメールを送った。昨夏、たまたま実家に帰省した娘が異状に気づき、消費生活センターに相談した。
男性は、こう振り返る。「まさか自分がだまされるとは思わなかった。それでも、すべてがウソだったとは今でも信じたくない」
■業者、「サクラ」50人で返信
「メールオペレーター大募集!」
インターネット上のある求人情報サイトには、こうした募集が約70件も掲載されている。時給は1200円以上。勤務はシフト制で、「超好待遇」をうたう。
しかし、「実態は『サクラメール』の送信者の募集であることが多い」と、被害対策に取り組む石渡幸子弁護士は指摘する。
2013年、警視庁が東京・新宿のメール交換サイト運営業の男らを詐欺容疑で逮捕した。この業者は22の出会い系サイトなどを運営し、売り上げは約2年で116億円、利用者は37万人にのぼったとされる。新宿の商業ビルの一室に長机を並べ、数十台のパソコンを用意。男女約50人が24時間態勢でメールの返信をしていたという。
被害対策弁護団は昨年3月、この業者のサイト利用者19人を原告に、「サクラによる詐欺行為で多額の現金を支払わせた」として損害賠償を求める訴訟を起こした。男は「サクラと断定する根拠がない」などと反論したが、東京地裁は同7月、男らに計7600万円の支払いを命じた。
石渡弁護士は「被害は回復できる。泣き寝入りせず、全国の消費生活センターなどに相談してほしい」と話している。
(伊藤和行)
■脱税容疑で業者告発、増加 2桁台の年も
国税庁によると、有料メール交換サイトの運営業者が脱税容疑で検察庁に告発された事件は、2011年度は全国で6件、12年度は10件、13年度は5件。10年度以前は4件以下で推移しており、近年、増加している。今年度も、東京都内の業者が法人税約1億8千万円を、大阪市内のサイト経営者が所得税4千万円を脱税した疑いで告発されるなどしている。
一方、国民生活センターによると、メール交換サイトに関する相談は13年度、全国で1万3882件。04年度の4万9642件以降、大幅に減っている。しかし、そのうち60歳以上の高齢者の相談は、13年度が1577件で、04年度の393件の約4倍に増えた。支払金額も急増しており、13年度の平均は1人あたり46万円と、04年度の5万円の9倍以上だ。
担当者は「出会い名目以外に、金品の提供をうたったり、悩み相談を持ちかけたりする事例が増え、ネットの知識に乏しい高齢者がだまされる傾向がある。相手は『サクラ』の可能性が高く、誘いに乗らないでほしい」と話している。
感想;
騙す方はますます巧妙になり、あの手この手でお金を巻き上げようとしています。それを防ぐには、上手い話には気をつけることだとわかっているのですが、お金を少しでも増やしたい、寂しいの心の隙間に入って来るのでしょう。
騙せれないためには、こういった詐欺の方法を知っておくことなのでしょう。先ずはお金が絡む話は疑ってかかることが必要なのでしょう。
男性は一部のメールを印刷して残している。届いたメールには女性の顔写真があり、「39歳独身。両親と弟を亡くし(中略)一人暮らしてます」などとある=東京都内(女性の顔写真と個人を特定できる情報にモザイクをかけています)
「出会い系」などの有料メール交換サイトを運営する業者が、悪質な脱税をしたとして告発される事件が相次いでいる。利益を生む背景には、お年寄りの利用者の増加があるようだ。メールの相手は業者が雇った「サクラ」が多いとみられ、お年寄りが詐欺的な手口の標的にされている。
300万円あった貯金は底をつき年金や火災保険も解約。借金を重ね、最後は自宅の電気代やガス代さえ払えなくなった。
東京都内で一人暮らしをしていた無職男性(76)は、昨秋までの3年間で九つの有料メール交換サイトに登録し、計1千万円以上を支払った。
2011年秋。インターネット画面で「車をプレゼントします」という表示をクリックしたのが始まりだ。名前や連絡先を入力してメールを送ると、翌日から、見知らぬ女性からのメールが大量に届き始めた。
「悩み相談に乗ってください」「会いたいです」
興味本位で、女性医師を名乗る相手に「お茶でも飲みますか」と返信した。すると、女性の顔写真が届き、自己紹介を交わして会う約束をした。指定した自宅近くの公園で待ったが、現れない。メールを送ると、「場所を間違えた。ごめんなさい」。その後もやりとりを続けたが、はぐらかされるだけだった。
最初の数通は無料でメールができたが、途中からポイントの購入が必要になった。一通あたり約50ポイント(1ポイントは1円)。男性はポイントが足りなくなるたびにコンビニで電子マネーを買い、そこに書かれた番号をサイトに登録して新たなポイントを入手した。
乳がんを患うという「19歳の女性」とのメールは1年以上続いた。効く薬を調べて伝えたり、「強い意志をもちなさい」と励ましたり。母親と一緒に自宅にお礼に来るというのでケーキを3人分買って待ったが、相手は現れなかった。
無視しても、「見捨てないで」などと繰り返しメールが来ると、つい返信してしまう。「寂しさもあり、のめり込んでしまった」
男性は元証券会社員。妻に先立たれ、3人の子どもたちは成人して家を出た。町内会の役員をつとめ、日中は町内パトロールをしたり、親が共働きの子どもとボランティアで過ごしたりしていた。しかし、夜に1人になると時間を持てあまし、パソコンに向かった。
気づくと朝までメールを送り続けていたことも。お金がなくなると、親戚や近所の人に数万円を借りてメールを送った。昨夏、たまたま実家に帰省した娘が異状に気づき、消費生活センターに相談した。
男性は、こう振り返る。「まさか自分がだまされるとは思わなかった。それでも、すべてがウソだったとは今でも信じたくない」
■業者、「サクラ」50人で返信
「メールオペレーター大募集!」
インターネット上のある求人情報サイトには、こうした募集が約70件も掲載されている。時給は1200円以上。勤務はシフト制で、「超好待遇」をうたう。
しかし、「実態は『サクラメール』の送信者の募集であることが多い」と、被害対策に取り組む石渡幸子弁護士は指摘する。
2013年、警視庁が東京・新宿のメール交換サイト運営業の男らを詐欺容疑で逮捕した。この業者は22の出会い系サイトなどを運営し、売り上げは約2年で116億円、利用者は37万人にのぼったとされる。新宿の商業ビルの一室に長机を並べ、数十台のパソコンを用意。男女約50人が24時間態勢でメールの返信をしていたという。
被害対策弁護団は昨年3月、この業者のサイト利用者19人を原告に、「サクラによる詐欺行為で多額の現金を支払わせた」として損害賠償を求める訴訟を起こした。男は「サクラと断定する根拠がない」などと反論したが、東京地裁は同7月、男らに計7600万円の支払いを命じた。
石渡弁護士は「被害は回復できる。泣き寝入りせず、全国の消費生活センターなどに相談してほしい」と話している。
(伊藤和行)
■脱税容疑で業者告発、増加 2桁台の年も
国税庁によると、有料メール交換サイトの運営業者が脱税容疑で検察庁に告発された事件は、2011年度は全国で6件、12年度は10件、13年度は5件。10年度以前は4件以下で推移しており、近年、増加している。今年度も、東京都内の業者が法人税約1億8千万円を、大阪市内のサイト経営者が所得税4千万円を脱税した疑いで告発されるなどしている。
一方、国民生活センターによると、メール交換サイトに関する相談は13年度、全国で1万3882件。04年度の4万9642件以降、大幅に減っている。しかし、そのうち60歳以上の高齢者の相談は、13年度が1577件で、04年度の393件の約4倍に増えた。支払金額も急増しており、13年度の平均は1人あたり46万円と、04年度の5万円の9倍以上だ。
担当者は「出会い名目以外に、金品の提供をうたったり、悩み相談を持ちかけたりする事例が増え、ネットの知識に乏しい高齢者がだまされる傾向がある。相手は『サクラ』の可能性が高く、誘いに乗らないでほしい」と話している。
感想;
騙す方はますます巧妙になり、あの手この手でお金を巻き上げようとしています。それを防ぐには、上手い話には気をつけることだとわかっているのですが、お金を少しでも増やしたい、寂しいの心の隙間に入って来るのでしょう。
騙せれないためには、こういった詐欺の方法を知っておくことなのでしょう。先ずはお金が絡む話は疑ってかかることが必要なのでしょう。