英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

愛すべき佐藤康光

2008-12-07 16:53:38 | 将棋
 幸いにも将棋ファン以外の方もここに来てくださる方がいらっしゃいますので、将棋ファンにとって周知のことかもしれませんが、書かせていただきます。

 まず、Wikipediaより引用させていただきます。
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 プロ将棋界を代表する強豪棋士の一人。いわゆる「羽生世代」の一人である。タイトル獲得数は多く、すでに歴代6位である。永世棋聖の称号を保持する。棋士番号182。田中魁秀九段門下。京都府八幡市出身。國學院高等学校卒業。

【棋風】
 「緻密流」と称され、「1秒間に1億と3手読む」と形容されるほどの深い読みに定評がある。
 攻めの棋風で、後手番の角換わりといった守勢になりやすい戦法でも、千日手を狙わず果敢な攻め合いを選ぶ。羽生善治の柔らかさに対比して剛直な指し手が多く、危険な変化でも踏み込む傾向がある。先崎学には「緻密ではなく野蛮」、河口俊彦には「自玉が危険にならないと力が出ず、混戦に滅法強い」と評されている。
 若手時代は既存の定跡形を多く指していたが、2005年前後からは敢えて定跡にない作戦や、実戦例の少ない戦法を選ぶことが多くなっている。一般的にそうした将棋は型に嵌らない「力戦」と(あるいは俗に「変態戦法」とも)呼ばれることが多いが、本人の談によれば、それらの作戦はすべて論理的に考えた帰結であるので、力戦と呼ばれることには抵抗感があるそうである。

【エピソード】
 将棋マガジン(日本将棋連盟)の1996年2月号の企画で、目隠し五面指し(目隠しした佐藤が目隠ししていない5人のアマチュアと同時に対局)に挑戦し、反則なしの五戦全勝で見事に成功した。それに加え、NHK-BS2で毎年正月に放映される将棋バラエティ番組「大逆転将棋」でも、「脳内対局」(プロ同士の目隠し10秒将棋)で不敗を誇っており、佐藤が驚異的な頭脳の持ち主であることを実証している。

 熱血漢でアツくなり易いという一面を持っており、対局で負けたときは涙を流して悔しがることもある。
 第11期銀河戦の決勝では、記録係の島井咲緒里が「怖くて近寄れなかった」というほど気合を漲らせていた。
 第51期王将戦では、おやつに大量のキウイフルーツを食べつづけ、羽生善治から王将を奪取したことから、2ちゃんねるなどで「キウイ」と呼ばれた。インターネット上で話題になったことについて本人は「話題になったので意地になって食べ続けた」と語った。

【獲得タイトル】
(2008年7月18日現在)

竜王 1期(第6期)
名人 2期(第56期 - 57期)
棋聖 6期(第73期 - 78期) - 永世棋聖(史上5人目)
棋王 2期(第32 - 33期)
王将 1期(第51期)

登場回数33回 獲得合計12期

【一般棋戦の優勝歴】
銀河戦 1回(第11期)
NHK杯テレビ将棋トーナメント 2回(第56回、第57回)
日本シリーズ 2回(第25回、27回)
早指し新鋭戦 2回(第9回、10回)
オールスター勝ち抜き戦(5勝以上) 1回(第19回)

優勝合計 8回

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 う~ん、なんだか、Wikipediaを読めば、充分という気がしてきました。(他にも詳細に解説されていますので、興味のある方は読んでみてください)

 現在の地位(タイトル)的には、羽生名人、渡辺竜王に次ぐナンバー3ですが、読みの量と精密さや構想力は羽生を凌ぐのではないかと言われています。
 特に集中力はすごく、読みに没頭するとまったく周りのことは目や耳に入ってこなくなるらしい。席上対局(公開対局)で、解説者が佐藤棋王をからかうように話しかけたが、2、3秒後に「は、何か?」とまったく聞こえてなかった様子に、場内は爆笑。

 彼の指し手や行動は、彼の論理的な思考の積み重ねの結論として決断されるようで、本人は論理的と思っているようですが、周囲からは理解されないことが多いようです。ここら辺は『スタートレック』のミスタースポック(バルカン星人と地球人のハーフ)を髣髴させます。

 最近の印象的な出来事は、昨期の順位戦最終日、負ければA級陥落の危機という一局、優勢に進めていた佐藤棋王でしたが、対戦相手の木村八段の追い上げに合い、逆転される。
 この日の順位戦の模様は、NHKのBS放送で生中継されていましたが、苦戦に陥った佐藤棋王の、なりふり構わぬ読みに集中し苦悩する様やその悲壮感は、胸を打つものがありました。
 とにかく苦悩振りがすごく、死んじゃうんじゃないかと思えるほどでした。たまたま、一緒に見ていた娘(将棋は分からない)も、深夜にもかかわらず最後まで見ていました。

 とにかく、棋士の中で一番将棋が好きなのではないかと私は思っています。


 と、ここまで読んでくださった方(佐藤棋王を知らなかった方)は、佐藤棋王って、将棋の鬼のように思われるかもしれませんね。
 ところが、普段の佐藤棋王は、非常に誠実でサービス精神も旺盛です。先日のBSの『囲碁将棋ジャーナル』の解説を担当し紹介された時も、開口一番「ボンジュール」です(その時は、パリで行われた竜王戦第一局の解説だった)。


 最後に、私が彼のファンになったエピソードを紹介します。
 もう随分前の話です。パソコンもかなり普及し、インターネットの便利さも認知されてきていました。まだ、ブログは広まっておらず、将棋のネット中継もほとんどなかった頃だったと思います。
 将棋が思考のほとんどを占めている佐藤棋王は、当然、インターネットにはまることはなかった。と言うより、パソコンを購入使用とも思わなかった。
 それでも、「将棋の研究(データの整理や詰め将棋の検証)に役に立つし、インターネットやメールも便利ですよ」という後輩の勧めに、パソコンを購入した。
 機種はもちろん、初期設定などもその後輩に任せきり。(収入は十二分にあったから相当高価なのを買った(買わされた)と想像されます)

 一応、起動方法やメールボックスの開き方も教わったようです。数日後、佐藤棋王が届いたメールを読むことに成功したようです。
 ところが、メールを読むことができても、メールを送ることは教わってなかったようです。送り方がわからない。
 後輩に教わることも考えたが、電話で聞いて実行するのも難しいかもしれない。後輩の手を煩わせるのも気が引けるし、悔しい。そこで、彼のとった行動は?



 郵便局へ行き、メールの送り主にその返事を速達で送ったのでした。


 なんとも愛すべき佐藤康光なのです。
コメント (7)
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