英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第七局①

2008-12-21 17:33:58 | 将棋
 世紀の一局となった竜王戦第七局の指し手について言及するのは非常におこがましいのですが、『感想』を述べているということで、大目に見てください。


 第1図、渡辺竜王は第六局に引き続いて、急戦矢倉を採用する。後手番の矢倉が渡辺竜王の過大だと考えられていたが、竜王が最強の挑戦者を迎えて無策であるはずがなく、用意の作戦であったと考えられる。
 第六局、第七局となっての採用は非常に効果的で、策戦家の竜王らしいが、それは考えすぎだろう。第二局は普通の後手番矢倉。後手番ながらも積極的に仕掛けたが、羽生名人に押さえ込まれてしまった。まず、普通に戦ってみたかったのかもしれないし、急戦矢倉の研究が不完全だったのかもしれない。
 第四局は羽生名人が相掛かり戦を選択したため、当然急戦矢倉とはならなかった。この一局は、自玉の打ち歩詰めを読みきって、△8九飛と踏み込んだのが勝因となった。何度もあきらめかけた竜王、「当然のことながら、この一局が大きかった」と述べている。
 そういう経緯で、運命のいたずらか、第六、第七局と急戦矢倉と秘策の登場となった。振り駒で、後手番となったのも、因果を感じる。第六局で完敗を喫した羽生名人が、どういう対策を見せるかも興味深く、序盤から緊迫感が高まる。
 そう言えば、中原16世名人が大山15世名人を破った名人戦は、追い込まれた中原挑戦者が、第六局、第七局と大山名人のお株を奪う振り飛車を連採している。


 △5五同角(第2図)の局面で羽生名人が手を変える。「第六局の▲7九角はあまり面白くなかった」とBS『囲碁将棋ジャーナル』の自戦記解説で述べている。


 第3図、△3三銀の新手。羽生名人が手を変えた直後だけに、渡辺竜王の研究の網にかかっているのではないかと、羽生名人はともかく、私は危惧した。
 この△3三銀は藤井九段の解説によると
「棋は対話なりで、後手が5筋で角を捌きつつ歩の交換を果たしたのだから、先手は2筋の交換をさせてくださいと言ってきたのに対し、いいえ、それは許しませんと、それを拒否した手です。だから、先手としては怒って動いてくるはずです。そうしないと先手の作戦負けになります」
という手だ。
 また、『囲碁将棋ジャーナル』で羽生名人は、
「後手の△3三銀は5五の角の退路を狭めた手で、危険な意味がある」
と、述べている。
 それに加えて、銀が4二から3三に動いたため、中央が薄くなっている。2筋の交換を拒否された先手としては、中央に動きを求めて▲6五歩。以下△9二飛(第4図)まで進む。

 この手順の他に、4八の銀を5七に上がって、じっくり盛り上がるなどの順も考えられた。本譜は是非はともかく、早急な感があり、怒っているのではないかと考えてしまった。
 4八銀の形が第六局を思い出させ、不吉な予感がした。
コメント (2)
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