いよいよ第6局です。
先手番は羽生名人。相矢倉、第4局をなぞるように進んでいきます。
手を変えたのは、後手の森内九段、

第4局は△3五桂と打ち、私見ですが、後手が指せていたように思いました。それを敢えて、自分から修正したのですから、深い研究と自信があると考えられます。それを裏付けるような森内九段の消費時間です。

第2図は、15時25分頃の局面ですが、消費時間は▲羽生4時間15分、△森内31分。なんと、消費時間に3時間44分の差がつきました。
100局を超える対局がある、羽生名人と森内九段は将棋の呼吸が合うというような事が良く言われますが、私は違うと思います。
森内九段は、研究を基に戦型や指し手のプランを練り、その想定内に進んでいるうちは、その研究内容を確認するだけで、それを踏襲し、余分な時間やエネルギーの消費を少なくしようとしているように感じます。
羽生名人も、事前の研究やプランを練ると思いますが、対局中は研究との照らし合わせはしますが、それ以上に新たな発見や工夫がないか、更なる最善の道を探求しているように感じます。本局も、第4局を踏襲しているにもかかわらず、長考を重ねています。もちろん、森内九段の研究や新手(新工夫)を警戒している点もあるとは思いますが、先述した羽生名人の将棋への姿勢を考慮しても、不可解な気がします。
勝負だけの観点からすると、序盤から長考を重ね、消費時間に差がついてしまうのは、損なのではないか?それに、羽生名人の長考を利用して森内九段は考えることができ、自分の持ち時間を減らさないという工夫もできる。
正直言うと、タイトル戦、特に名人戦ではあまり汲々とした指し方はして欲しくないのです。
もし、対局者が共に森内九段タイプだったらどういう事態になるのでしょうか?本局を例にとると、69手目で森内九段の消費時間が31分だったので、第4局から変化した66手目までは30分弱、先手も同様な時間の使い方をしたとしたら、対局開始から1時間弱でそこまで進んでしまうことになります。そこから、消費時間が増えるとしても、午後の早い時間に勝負どころを迎え、封じ手の時点で既に大勢が決してしまっているということもあり得ます。
そういった事態を避けるために、午後に入ってからどちらかが、或いは両対局者が長考するということも考えられますが、なにか薄っぺらいモノを感じてしまいます。名人戦の深みは感じられない気がします。
そういう事態を想像すると、第1日の開始時間を遅らせるか、終了時間を早めるかして、第1日自体を短くしてしまわないといけないのかなあという気さえしてきます。
さて、それはともかく、封じ手の局面の形勢はどうなのでしょう?

BS中継では解説の阿久津七段や立会人の島九段は先手が良いのではないかという形勢判断でした。
①先手玉は穴熊で一方的に先手が攻める展開となっていて、後手の香得だけでは釣り合わない
②先手の攻めは角・桂・歩と持ち駒の銀、更に飛車も働く可能性があり、1五の香も補充できる
封じ手としては、A△8六歩、B△2三銀、C△1一歩が考えられますが、Aの△8六歩は利かない可能性があるとのこと。△8六歩に手抜きで、▲1五角と香を取り、以下△8七歩成▲同金△9五桂に▲8三歩△同飛▲2三歩△同金▲2六香△2四歩▲同香△同金▲同角△3二玉▲1二歩成が一例。香を補充したことにより、△8七歩成▲同金の時、△同飛成を防いでいます(▲8八香がある)。
後手としては、この△8六歩が利かず、先手の穴熊玉がほぼ健在のまま、先手の攻めを受け続けなければならなく、後手を持つ気にはなれないみたいです。
Cの△1一歩は逆に利かされで、先手に悠々▲1五角と香を取られると、本当に一方的に攻め潰されそうです。
というわけで、Bの△2三銀ということになりますが、先述したように先手玉に嫌みのないまま攻め続けられるというので、後手としては面白くない展開という控室の評価だそうです。
しかし、私の棋力では、△2三銀と受けられると、先手としても相当急かされます(1四の桂が取られてしまう)。
BS中継では、この後の展開はほとんど触れられなかったです。また、インターネット中継では、「△2三銀以下、▲1二歩成△同玉▲1三銀△2一玉▲4二角成△同飛▲2二銀△同金▲同桂成△同飛▲同銀成△同玉▲4一飛が検討されている。こう進むと「攻めきるか受けきるか」の際どい勝負になるようだ」とあります。
羽生ファンとして、先手の立場で見ると、やはり△8六歩を利かされずに△2三銀は少しホッとします。と言っても、△2三銀にどのように攻めを繋ぐかはわかりません。ただ、先手は4枚以上の攻めなので、第4局の終盤みたいに、うまく攻めをつないでいけるのではないかと見ています。
森内九段は封じ手に2時間17分の長考。消費時間の通計は羽生4時間28分、森内3時間22分となっています。
★ここまで書いた後、サイトを見ると控室の棋士たちの封じ手予想が載っていました。有料中継なので、あまり詳細に書くのは気が引けるので、気になった点だけ。
「個人的には△8六歩を推したいですね。△8六歩に▲1五角の変化は、ほかの棋士と検討した結果、先手が少し攻めきれないのでは、という結論になりました」(阿部四段)
先手番は羽生名人。相矢倉、第4局をなぞるように進んでいきます。
手を変えたのは、後手の森内九段、

第4局は△3五桂と打ち、私見ですが、後手が指せていたように思いました。それを敢えて、自分から修正したのですから、深い研究と自信があると考えられます。それを裏付けるような森内九段の消費時間です。

第2図は、15時25分頃の局面ですが、消費時間は▲羽生4時間15分、△森内31分。なんと、消費時間に3時間44分の差がつきました。
100局を超える対局がある、羽生名人と森内九段は将棋の呼吸が合うというような事が良く言われますが、私は違うと思います。
森内九段は、研究を基に戦型や指し手のプランを練り、その想定内に進んでいるうちは、その研究内容を確認するだけで、それを踏襲し、余分な時間やエネルギーの消費を少なくしようとしているように感じます。
羽生名人も、事前の研究やプランを練ると思いますが、対局中は研究との照らし合わせはしますが、それ以上に新たな発見や工夫がないか、更なる最善の道を探求しているように感じます。本局も、第4局を踏襲しているにもかかわらず、長考を重ねています。もちろん、森内九段の研究や新手(新工夫)を警戒している点もあるとは思いますが、先述した羽生名人の将棋への姿勢を考慮しても、不可解な気がします。
勝負だけの観点からすると、序盤から長考を重ね、消費時間に差がついてしまうのは、損なのではないか?それに、羽生名人の長考を利用して森内九段は考えることができ、自分の持ち時間を減らさないという工夫もできる。
正直言うと、タイトル戦、特に名人戦ではあまり汲々とした指し方はして欲しくないのです。
もし、対局者が共に森内九段タイプだったらどういう事態になるのでしょうか?本局を例にとると、69手目で森内九段の消費時間が31分だったので、第4局から変化した66手目までは30分弱、先手も同様な時間の使い方をしたとしたら、対局開始から1時間弱でそこまで進んでしまうことになります。そこから、消費時間が増えるとしても、午後の早い時間に勝負どころを迎え、封じ手の時点で既に大勢が決してしまっているということもあり得ます。
そういった事態を避けるために、午後に入ってからどちらかが、或いは両対局者が長考するということも考えられますが、なにか薄っぺらいモノを感じてしまいます。名人戦の深みは感じられない気がします。
そういう事態を想像すると、第1日の開始時間を遅らせるか、終了時間を早めるかして、第1日自体を短くしてしまわないといけないのかなあという気さえしてきます。
さて、それはともかく、封じ手の局面の形勢はどうなのでしょう?

BS中継では解説の阿久津七段や立会人の島九段は先手が良いのではないかという形勢判断でした。
①先手玉は穴熊で一方的に先手が攻める展開となっていて、後手の香得だけでは釣り合わない
②先手の攻めは角・桂・歩と持ち駒の銀、更に飛車も働く可能性があり、1五の香も補充できる
封じ手としては、A△8六歩、B△2三銀、C△1一歩が考えられますが、Aの△8六歩は利かない可能性があるとのこと。△8六歩に手抜きで、▲1五角と香を取り、以下△8七歩成▲同金△9五桂に▲8三歩△同飛▲2三歩△同金▲2六香△2四歩▲同香△同金▲同角△3二玉▲1二歩成が一例。香を補充したことにより、△8七歩成▲同金の時、△同飛成を防いでいます(▲8八香がある)。
後手としては、この△8六歩が利かず、先手の穴熊玉がほぼ健在のまま、先手の攻めを受け続けなければならなく、後手を持つ気にはなれないみたいです。
Cの△1一歩は逆に利かされで、先手に悠々▲1五角と香を取られると、本当に一方的に攻め潰されそうです。
というわけで、Bの△2三銀ということになりますが、先述したように先手玉に嫌みのないまま攻め続けられるというので、後手としては面白くない展開という控室の評価だそうです。
しかし、私の棋力では、△2三銀と受けられると、先手としても相当急かされます(1四の桂が取られてしまう)。
BS中継では、この後の展開はほとんど触れられなかったです。また、インターネット中継では、「△2三銀以下、▲1二歩成△同玉▲1三銀△2一玉▲4二角成△同飛▲2二銀△同金▲同桂成△同飛▲同銀成△同玉▲4一飛が検討されている。こう進むと「攻めきるか受けきるか」の際どい勝負になるようだ」とあります。
羽生ファンとして、先手の立場で見ると、やはり△8六歩を利かされずに△2三銀は少しホッとします。と言っても、△2三銀にどのように攻めを繋ぐかはわかりません。ただ、先手は4枚以上の攻めなので、第4局の終盤みたいに、うまく攻めをつないでいけるのではないかと見ています。
森内九段は封じ手に2時間17分の長考。消費時間の通計は羽生4時間28分、森内3時間22分となっています。
★ここまで書いた後、サイトを見ると控室の棋士たちの封じ手予想が載っていました。有料中継なので、あまり詳細に書くのは気が引けるので、気になった点だけ。
「個人的には△8六歩を推したいですね。△8六歩に▲1五角の変化は、ほかの棋士と検討した結果、先手が少し攻めきれないのでは、という結論になりました」(阿部四段)