英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

名人戦第6局 その1 「森内九段の策戦」

2011-06-11 23:19:19 | 将棋
 今日の記事は、先日の『名人戦第六局 第1日』と重複しているところが多いです。ご了承ください。

 森内九段は、第4局に続いて、後手矢倉8五歩型を採用しました。先手に穴熊に組ませ、先手からの攻めを受けて立つという通常の棋士なら避けたい戦型と言われていて、「なぜわざわざ、森内九段は連採するのだろう?」と疑問視される向きもあります。
 しかし、第4局の△3五桂から△4七桂成の流れは先手苦しかったように感じました。(△4七桂成では、△27桂成とする方が有力で実戦数も多いのですが、こちらの変化も先手自信ありません)
 第4局を踏襲して進んだ第6局は、両対局者がこの戦型をどう捉え、どのような修正、改良を重ねてきたのか、非常に興味を持って観ていました。
 羽生名人は、第4局型(△3五桂~△4七桂成)、更に本流型(△3五桂~△2七桂成)の両方に対策を練ってきたはず。更に、8五歩型のみならず9五歩型にも備えてきたかもしれません。
 森内九段は、このシリーズ、かなり勝ちに来ている気がします。第3局のゴキゲン中飛車に角道止め型、第4局の傍流とされている後手矢倉8五歩型の採用。あまり研究がされていないような主流でなく傍流、もちろん不利な変化ではなく、研究してこれでも指せると判断した戦型に羽生名人を引き込んでいる感があります。
 そういった森内九段の戦略を、そして、その研究の綿密さを肌で感じているのが羽生名人で、第六局、第四局を踏襲しているにもかかわらず、考慮を積み重ねているのは、森内九段の研究ワールドに引き込まれないよう用心を重ねている、そんな気がしました。
 逆に森内九段は、想定した局面に迷いなく進めます。そして、奥の手△5六歩(第1図)を繰り出します。

 この手を指す時も、ほとんど時間を使っていません。(この手の3手後の69手目の時点で、森内九段の消費時間は31分、羽生名人は4時間15分)
 とにかく、想定内に進んでいるうちは、余分なエネルギー、時間を極力消費しない方針なのでしょう。勝ちに来ています。

 最終局、羽生名人が先手番になった場合、矢倉を指向すると、たとえ、第4、6局と別型の矢倉戦を採用しても、傍流変化手を繰り出され、森内ワールドに引き込まれ苦戦するような気がします。
 森内ワールドに引き込まれないような力戦型が有効だと思いますが、自分の型を崩した時点で負けなのかもしれません。独断と偏見で推奨すると、早石田系でしょうか。……【続く】
コメント (2)
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