「毒殺」と言われて、まずイメージするのは何ですか?
青酸カリ、ヒ素、トリカブト、そんな感じでしょうか。
今回は、普通ではちょっと考えつかないような変わった毒を用いて、殺人が行われました。
ドアや窓はもちろん、あらゆる隙間をすべて塞がれたこの部屋は、まさに蜘蛛の子一匹通れない状態です。とすると、いったい犯人はどこに消えてしまったのか?
ヒントになるか分かりませんが、ひとつ言えるのは、人は様々な情報や経験から思い込みで物事を判断しがちだということです。
その思い込みを捨てないかぎり、決して答えを見つけることはできないでしょう。
という前説だが、これ、一本取られていた。
このフレーズでの「犯人」とは、毒蜘蛛だったのだ!
少し文脈が変だと思ったんだ。
そもそも毒殺の場合、密室があまり意味を持たないことが多い。本人に毒を飲ませる細工さえすれば、密室であっても殺害は可能。特に、今回の場合、犯人は鍵を持っていた。
この話では、被害者を毒蜘蛛に咬ませる仕掛けと直接の犯人(毒蜘蛛)がどこに行ったのかが鍵だったのだ。
まさに蜘蛛の子1匹通れない密室というのが、証拠(犯人の蜘蛛)が部屋のどこかに必ずいるはずというポイントに繋がるのである
★『三毛猫ホームズの推理』のコンテナを持ち上げて落下距離を稼ぐトリックに匹敵するトリック
コンテナ持ち上げトリック同様、かなり実行が難しそう。タランチュラを殺して中身を空っぽにして、その皮を毒蜘蛛に被せて、被害者にタランチュラと思わせた……って、できるのか?そんなこと。(蜘蛛好きの被害者が気づく可能性もある)
そんな有り得そうもないトリックなので、大盤振る舞いのヒントだった。
ヒント
①土足OK
②蜘蛛にえさを与えない妻
③毒蜘蛛は2匹いた
④餅の中身のアンコが違っていた
⑤毒蜘蛛に咬まれたら、助けを呼ぶのが普通
⑥食糧備蓄の話+蜘蛛とコオロギの絶食耐久時間
⑦蜘蛛を冬眠状態にするやり方
⑧タランチュラに咬まれた芹沢を見て慌てる妻
特に④と⑥は取って付けたようなヒントで、2時間サスペンスのベタなヒントシーンを見るようだった。
でも、これはこれでいいと思う。ドラマとしては唐突すぎる展開でも、謎解きのヒントを視聴者に提示するサービスと考えた方が良い(それほど、今回はあり得ないトリック)。訳のわからない単語を並べられ、解読していくのを眺めるだけの『ATARU』とは対照的だ。
それに、今回は逆転の構図が面白かったことだし。
★逆転の構図
①何より、美香の変貌が面白かった。殺しの動機は離婚問題だったが、離婚したがっていたのは妻ではなく、夫(被害者)の方だった。
追求された妻・美香(白石美帆)が、フッと笑って、
「何それ、笑える。
あんな女に何言われたって、私は痛くも痒くもないんですよぉ。
桑島(夫)の事も、キャッシュディスペンサーのようなものだと思えば、腹も立ちません。いい暮らしが出来るんだから、多少の事には目を瞑らないと」
「お金目当てで結婚したってことですか?」
「決まってるじゃないですか。蜘蛛マニアの気持ち悪い男と好き好んで結婚する訳ないでしょう」
「離婚される前に殺して、遺産を相続しようとしたんです。そうだろ?」
「そうですよ。人の戸籍を汚しておいて、慰謝料だけで済まそうなんて都合のいい事を言いだすからです。……それのどこが悪いんですか?だいたい、打算のない純粋な愛情だけで結婚する女なんて、本当に存在するんでしょうか?あなたは自分がそうだって言い切れる?……私と世の中の女達のどこが違うってわけ?誰か教えて~よ!」
皆、無言。
まあ、結婚に打算が入ることは否定しないが、「私と世の中の女達のどこが違うってわけ?」という問いには、これは「まるっきり違う」って言って欲しかった。タランチュラの中身を取り出して、殺人に利用するって女、なかなかいないと思う。
それにしても、豹変ぶりと、性悪ぶり、言葉が丁寧なだけに怖かった(笑)。あまりの性悪ぶりで、気持ちいいぐらいだった。
姑(かとうかず子)もかなりの根性悪だったが、嫁の性悪さは見抜いていた。性悪女は性悪女を知る。
ラストで、青砥(戸田恵梨香)が「美香さんの告白にはショックでした。同じ女性として、自分の中にもああいう狂気があるのかなあって」という言葉に
「ないでしょう。……青砥さんにはないでしょう」
と言って、少し照れる榎本(大野智)がよかった。
★もうひとつの逆転の構図
犯人(毒蜘蛛)はどこに消えたのか?
コオロギに食べられていた!
多勢に無勢で、捕食者と被捕食者(獲物)が逆転していた。
★やはり面白い芹沢弁護士(佐藤浩市)
・美人に弱いが、青砥の危機?に、美人編集者を置き去りにして駆けつける人の良さもあり、蜘蛛に咬まれるなどやはり酷い目に会う。(これまでも、金庫に閉じ込められたり、容疑者扱いされたり)
・割と臆病
・青砥の部屋に入り込み、好き放題だった。
・ときどき、鋭いことを言う(ヒント⑤)
ただ、初回に比べて、パワー不足なのは残念だが、青砥の所へ駆けつける時の走り方が少し変。
少し変と思っていたら、予告では、凄く変だった。
予告は見ないようにしているが、面白いドラマだと、つい見てしまう。ネタばれの危険性もあるが、安心してください。(誰が?)
あの走りしか、覚えていません。
【疑問点】
・古溝の爪をかむ癖は何だったのか?思わせぶり?
・まだトリックが分からない時点で、榎本がこの件が殺人だと思った根拠は?
【ストーリー】(番組サイトより)
榎本径(大野智)は、青砥純子(戸田恵梨香)と芹沢豪(佐藤浩市)から、純子が住むマンションで起こった事件について聞く。
先日、和菓子店の社長・桑島が亡くなり、桑島が借りていた部屋にペットが残された。
しかし、桑島の妻・美香(白石美帆)はその世話を拒否、桑島の友人で生物系雑誌のライター・古溝(松尾諭)が申し出た引き渡しも拒んでいるという。困った古溝は通りがかりの純子に相談を持ちかけ、交渉の結果、美香は古溝が桑島に預けていた二匹については引き渡すと約束した。
引き渡しの日、純子と芹沢は、美香、古溝とともにペット部屋にやってきた。そこは、窓が閉め切られ、水槽が並ぶワイヤーシェルフで埋め尽くされた異様な空間だった。
水槽を見てペットが熱帯魚だと早合点した純子の前に、古溝が差し出したのはタランチュラだった。しかも、桑島は飼っていたクロドクシボグモという猛毒グモにかまれて死亡したという。警察は、水槽内の土に刺さっていたピンセットから、桑島は猛毒グモにエサをやろうとして指を咬まれたと推測した。
それらの話を聞いた榎本は、猛毒グモを扱うにしては桑島が不注意すぎると指摘。芹沢も、猛毒グモに咬まれて慌てて手を引っ込めたなら、ピンセットが土に刺さっていたのはおかしいと疑問を呈す。
芹沢は一連の話を、自分を取材に来た雑誌記者・矢口(浅見れいな)に得意げに聞かせる。事件に興味を持っていた矢口は、事前に聞き込みをしていて、美香が桑島とも姑(かとうかず子)とも険悪の仲で離婚の噂も出ていたらしい、と話した。
そんな折、水城里奈(能年玲奈)が古溝から電話だと芹沢に告げる。古溝は、美香がすべてのクモの引き渡しに応じることになったので芹沢にも立ち会って欲しいと頼む。
その頃、榎本はペットショップで雑誌に載ったクロドクシボグモの写真を見ていた。それは、古溝が桑島の部屋で撮ったもので、そこにはふたつ並んだ水槽に、一匹ずつのクモがいた。
翌朝、純子に頼まれた榎本ほか、関係者がペット部屋に集まった。早速、古溝は水槽からクモを取り出し、個別のケースに入れ始めた。すると、桑島が気に入っていた「キャメロン」というクモがいない、と声を上げた。それを聞いた美香は、そのクモは桑島が亡くなる数日前に死んだ、と答えた。
その後、床にかがんだ古溝が、棚の下に手を入れ何かを掴んだ。芹沢は、それが殺人に関する証拠品だと思い、何を取ったのか、と詰め寄る。古溝は、「金太郎」というクモだと言うが信じず、取ったものを奪おうとする。そして、もみ合ううち、芹沢は「金太郎」に指を咬まれてしまう。驚いた美香は救急車を呼ぼうとするが、古溝がそれを制する。「金太郎」に咬まれても死ぬことはなく、消毒すれば大丈夫だからだという。それでも、必死に救急車を呼ぼうとする美香に、古溝はクモの毒性について知っているはずだろう、と諭した。
部屋の様子をじっと観察していた榎本は、犯人が密室を利用してどんな罠を仕掛けたかわかった、やはり桑島は殺されたのだ、と言った。
犯人は美香で、まず「キャメロン」を殺し、死骸から中身を抜き取りその皮をクロドクシボグモに被せたという。何も知らない桑島は、猛毒グモを「キャメロン」だと思い、手に取ってしまったため咬まれ死亡した。美香は、桑島の死亡を確認し、ピンセットを水槽のなかに立てると、猛毒グモを回収しようとした。しかし、クモを見つけることができなかった。そのため、芹沢がクモに咬まれたとき、猛毒グモと思い、大慌てしたのだ。美香は、それなら「キャメロン」の皮をかぶった猛毒グモを連れて来い、と榎本に迫った。榎本がクモのエサ用に飼われているコオロギの水槽を示すと、そこに、猛毒グモの死骸があった。エサを求めて水槽に入ったが、逆に多数いたコオロギのエサになってしまったのだ。追い詰められた美香は、ついに犯行を認めた。
青酸カリ、ヒ素、トリカブト、そんな感じでしょうか。
今回は、普通ではちょっと考えつかないような変わった毒を用いて、殺人が行われました。
ドアや窓はもちろん、あらゆる隙間をすべて塞がれたこの部屋は、まさに蜘蛛の子一匹通れない状態です。とすると、いったい犯人はどこに消えてしまったのか?
ヒントになるか分かりませんが、ひとつ言えるのは、人は様々な情報や経験から思い込みで物事を判断しがちだということです。
その思い込みを捨てないかぎり、決して答えを見つけることはできないでしょう。
という前説だが、これ、一本取られていた。
このフレーズでの「犯人」とは、毒蜘蛛だったのだ!
少し文脈が変だと思ったんだ。
そもそも毒殺の場合、密室があまり意味を持たないことが多い。本人に毒を飲ませる細工さえすれば、密室であっても殺害は可能。特に、今回の場合、犯人は鍵を持っていた。
この話では、被害者を毒蜘蛛に咬ませる仕掛けと直接の犯人(毒蜘蛛)がどこに行ったのかが鍵だったのだ。
まさに蜘蛛の子1匹通れない密室というのが、証拠(犯人の蜘蛛)が部屋のどこかに必ずいるはずというポイントに繋がるのである
★『三毛猫ホームズの推理』のコンテナを持ち上げて落下距離を稼ぐトリックに匹敵するトリック
コンテナ持ち上げトリック同様、かなり実行が難しそう。タランチュラを殺して中身を空っぽにして、その皮を毒蜘蛛に被せて、被害者にタランチュラと思わせた……って、できるのか?そんなこと。(蜘蛛好きの被害者が気づく可能性もある)
そんな有り得そうもないトリックなので、大盤振る舞いのヒントだった。
ヒント
①土足OK
②蜘蛛にえさを与えない妻
③毒蜘蛛は2匹いた
④餅の中身のアンコが違っていた
⑤毒蜘蛛に咬まれたら、助けを呼ぶのが普通
⑥食糧備蓄の話+蜘蛛とコオロギの絶食耐久時間
⑦蜘蛛を冬眠状態にするやり方
⑧タランチュラに咬まれた芹沢を見て慌てる妻
特に④と⑥は取って付けたようなヒントで、2時間サスペンスのベタなヒントシーンを見るようだった。
でも、これはこれでいいと思う。ドラマとしては唐突すぎる展開でも、謎解きのヒントを視聴者に提示するサービスと考えた方が良い(それほど、今回はあり得ないトリック)。訳のわからない単語を並べられ、解読していくのを眺めるだけの『ATARU』とは対照的だ。
それに、今回は逆転の構図が面白かったことだし。
★逆転の構図
①何より、美香の変貌が面白かった。殺しの動機は離婚問題だったが、離婚したがっていたのは妻ではなく、夫(被害者)の方だった。
追求された妻・美香(白石美帆)が、フッと笑って、
「何それ、笑える。
あんな女に何言われたって、私は痛くも痒くもないんですよぉ。
桑島(夫)の事も、キャッシュディスペンサーのようなものだと思えば、腹も立ちません。いい暮らしが出来るんだから、多少の事には目を瞑らないと」
「お金目当てで結婚したってことですか?」
「決まってるじゃないですか。蜘蛛マニアの気持ち悪い男と好き好んで結婚する訳ないでしょう」
「離婚される前に殺して、遺産を相続しようとしたんです。そうだろ?」
「そうですよ。人の戸籍を汚しておいて、慰謝料だけで済まそうなんて都合のいい事を言いだすからです。……それのどこが悪いんですか?だいたい、打算のない純粋な愛情だけで結婚する女なんて、本当に存在するんでしょうか?あなたは自分がそうだって言い切れる?……私と世の中の女達のどこが違うってわけ?誰か教えて~よ!」
皆、無言。
まあ、結婚に打算が入ることは否定しないが、「私と世の中の女達のどこが違うってわけ?」という問いには、これは「まるっきり違う」って言って欲しかった。タランチュラの中身を取り出して、殺人に利用するって女、なかなかいないと思う。
それにしても、豹変ぶりと、性悪ぶり、言葉が丁寧なだけに怖かった(笑)。あまりの性悪ぶりで、気持ちいいぐらいだった。
姑(かとうかず子)もかなりの根性悪だったが、嫁の性悪さは見抜いていた。性悪女は性悪女を知る。
ラストで、青砥(戸田恵梨香)が「美香さんの告白にはショックでした。同じ女性として、自分の中にもああいう狂気があるのかなあって」という言葉に
「ないでしょう。……青砥さんにはないでしょう」
と言って、少し照れる榎本(大野智)がよかった。
★もうひとつの逆転の構図
犯人(毒蜘蛛)はどこに消えたのか?
コオロギに食べられていた!
多勢に無勢で、捕食者と被捕食者(獲物)が逆転していた。
★やはり面白い芹沢弁護士(佐藤浩市)
・美人に弱いが、青砥の危機?に、美人編集者を置き去りにして駆けつける人の良さもあり、蜘蛛に咬まれるなどやはり酷い目に会う。(これまでも、金庫に閉じ込められたり、容疑者扱いされたり)
・割と臆病
・青砥の部屋に入り込み、好き放題だった。
・ときどき、鋭いことを言う(ヒント⑤)
ただ、初回に比べて、パワー不足なのは残念だが、青砥の所へ駆けつける時の走り方が少し変。
少し変と思っていたら、予告では、凄く変だった。
予告は見ないようにしているが、面白いドラマだと、つい見てしまう。ネタばれの危険性もあるが、安心してください。(誰が?)
あの走りしか、覚えていません。
【疑問点】
・古溝の爪をかむ癖は何だったのか?思わせぶり?
・まだトリックが分からない時点で、榎本がこの件が殺人だと思った根拠は?
【ストーリー】(番組サイトより)
榎本径(大野智)は、青砥純子(戸田恵梨香)と芹沢豪(佐藤浩市)から、純子が住むマンションで起こった事件について聞く。
先日、和菓子店の社長・桑島が亡くなり、桑島が借りていた部屋にペットが残された。
しかし、桑島の妻・美香(白石美帆)はその世話を拒否、桑島の友人で生物系雑誌のライター・古溝(松尾諭)が申し出た引き渡しも拒んでいるという。困った古溝は通りがかりの純子に相談を持ちかけ、交渉の結果、美香は古溝が桑島に預けていた二匹については引き渡すと約束した。
引き渡しの日、純子と芹沢は、美香、古溝とともにペット部屋にやってきた。そこは、窓が閉め切られ、水槽が並ぶワイヤーシェルフで埋め尽くされた異様な空間だった。
水槽を見てペットが熱帯魚だと早合点した純子の前に、古溝が差し出したのはタランチュラだった。しかも、桑島は飼っていたクロドクシボグモという猛毒グモにかまれて死亡したという。警察は、水槽内の土に刺さっていたピンセットから、桑島は猛毒グモにエサをやろうとして指を咬まれたと推測した。
それらの話を聞いた榎本は、猛毒グモを扱うにしては桑島が不注意すぎると指摘。芹沢も、猛毒グモに咬まれて慌てて手を引っ込めたなら、ピンセットが土に刺さっていたのはおかしいと疑問を呈す。
芹沢は一連の話を、自分を取材に来た雑誌記者・矢口(浅見れいな)に得意げに聞かせる。事件に興味を持っていた矢口は、事前に聞き込みをしていて、美香が桑島とも姑(かとうかず子)とも険悪の仲で離婚の噂も出ていたらしい、と話した。
そんな折、水城里奈(能年玲奈)が古溝から電話だと芹沢に告げる。古溝は、美香がすべてのクモの引き渡しに応じることになったので芹沢にも立ち会って欲しいと頼む。
その頃、榎本はペットショップで雑誌に載ったクロドクシボグモの写真を見ていた。それは、古溝が桑島の部屋で撮ったもので、そこにはふたつ並んだ水槽に、一匹ずつのクモがいた。
翌朝、純子に頼まれた榎本ほか、関係者がペット部屋に集まった。早速、古溝は水槽からクモを取り出し、個別のケースに入れ始めた。すると、桑島が気に入っていた「キャメロン」というクモがいない、と声を上げた。それを聞いた美香は、そのクモは桑島が亡くなる数日前に死んだ、と答えた。
その後、床にかがんだ古溝が、棚の下に手を入れ何かを掴んだ。芹沢は、それが殺人に関する証拠品だと思い、何を取ったのか、と詰め寄る。古溝は、「金太郎」というクモだと言うが信じず、取ったものを奪おうとする。そして、もみ合ううち、芹沢は「金太郎」に指を咬まれてしまう。驚いた美香は救急車を呼ぼうとするが、古溝がそれを制する。「金太郎」に咬まれても死ぬことはなく、消毒すれば大丈夫だからだという。それでも、必死に救急車を呼ぼうとする美香に、古溝はクモの毒性について知っているはずだろう、と諭した。
部屋の様子をじっと観察していた榎本は、犯人が密室を利用してどんな罠を仕掛けたかわかった、やはり桑島は殺されたのだ、と言った。
犯人は美香で、まず「キャメロン」を殺し、死骸から中身を抜き取りその皮をクロドクシボグモに被せたという。何も知らない桑島は、猛毒グモを「キャメロン」だと思い、手に取ってしまったため咬まれ死亡した。美香は、桑島の死亡を確認し、ピンセットを水槽のなかに立てると、猛毒グモを回収しようとした。しかし、クモを見つけることができなかった。そのため、芹沢がクモに咬まれたとき、猛毒グモと思い、大慌てしたのだ。美香は、それなら「キャメロン」の皮をかぶった猛毒グモを連れて来い、と榎本に迫った。榎本がクモのエサ用に飼われているコオロギの水槽を示すと、そこに、猛毒グモの死骸があった。エサを求めて水槽に入ったが、逆に多数いたコオロギのエサになってしまったのだ。追い詰められた美香は、ついに犯行を認めた。