英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『鍵のかかった部屋』 第4話「黒い牙」

2012-05-08 22:21:12 | ドラマ・映画
「毒殺」と言われて、まずイメージするのは何ですか?
青酸カリ、ヒ素、トリカブト、そんな感じでしょうか。

今回は、普通ではちょっと考えつかないような変わった毒を用いて、殺人が行われました。

ドアや窓はもちろん、あらゆる隙間をすべて塞がれたこの部屋は、まさに蜘蛛の子一匹通れない状態です。とすると、いったい犯人はどこに消えてしまったのか?

ヒントになるか分かりませんが、ひとつ言えるのは、人は様々な情報や経験から思い込みで物事を判断しがちだということです。

その思い込みを捨てないかぎり、決して答えを見つけることはできないでしょう。


 という前説だが、これ、一本取られていた。
 このフレーズでの「犯人」とは、毒蜘蛛だったのだ!

 少し文脈が変だと思ったんだ。
 そもそも毒殺の場合、密室があまり意味を持たないことが多い。本人に毒を飲ませる細工さえすれば、密室であっても殺害は可能。特に、今回の場合、犯人は鍵を持っていた。
 この話では、被害者を毒蜘蛛に咬ませる仕掛けと直接の犯人(毒蜘蛛)がどこに行ったのかが鍵だったのだ。
 まさに蜘蛛の子1匹通れない密室というのが、証拠(犯人の蜘蛛)が部屋のどこかに必ずいるはずというポイントに繋がるのである

★『三毛猫ホームズの推理』のコンテナを持ち上げて落下距離を稼ぐトリックに匹敵するトリック
 コンテナ持ち上げトリック同様、かなり実行が難しそう。タランチュラを殺して中身を空っぽにして、その皮を毒蜘蛛に被せて、被害者にタランチュラと思わせた……って、できるのか?そんなこと。(蜘蛛好きの被害者が気づく可能性もある)
 そんな有り得そうもないトリックなので、大盤振る舞いのヒントだった。

ヒント
①土足OK
②蜘蛛にえさを与えない妻
③毒蜘蛛は2匹いた
④餅の中身のアンコが違っていた
⑤毒蜘蛛に咬まれたら、助けを呼ぶのが普通
⑥食糧備蓄の話+蜘蛛とコオロギの絶食耐久時間
⑦蜘蛛を冬眠状態にするやり方
⑧タランチュラに咬まれた芹沢を見て慌てる妻

 特に④と⑥は取って付けたようなヒントで、2時間サスペンスのベタなヒントシーンを見るようだった。
 でも、これはこれでいいと思う。ドラマとしては唐突すぎる展開でも、謎解きのヒントを視聴者に提示するサービスと考えた方が良い(それほど、今回はあり得ないトリック)。訳のわからない単語を並べられ、解読していくのを眺めるだけの『ATARU』とは対照的だ。
 それに、今回は逆転の構図が面白かったことだし。

★逆転の構図
①何より、美香の変貌が面白かった。殺しの動機は離婚問題だったが、離婚したがっていたのは妻ではなく、夫(被害者)の方だった。

 追求された妻・美香(白石美帆)が、フッと笑って、
「何それ、笑える。
 あんな女に何言われたって、私は痛くも痒くもないんですよぉ。
 桑島(夫)の事も、キャッシュディスペンサーのようなものだと思えば、腹も立ちません。いい暮らしが出来るんだから、多少の事には目を瞑らないと」


「お金目当てで結婚したってことですか?」
「決まってるじゃないですか。蜘蛛マニアの気持ち悪い男と好き好んで結婚する訳ないでしょう」

「離婚される前に殺して、遺産を相続しようとしたんです。そうだろ?」
「そうですよ。人の戸籍を汚しておいて、慰謝料だけで済まそうなんて都合のいい事を言いだすからです。……それのどこが悪いんですか?だいたい、打算のない純粋な愛情だけで結婚する女なんて、本当に存在するんでしょうか?あなたは自分がそうだって言い切れる?……私と世の中の女達のどこが違うってわけ?誰か教えて~よ!」

 皆、無言。

 まあ、結婚に打算が入ることは否定しないが、「私と世の中の女達のどこが違うってわけ?」という問いには、これは「まるっきり違う」って言って欲しかった。タランチュラの中身を取り出して、殺人に利用するって女、なかなかいないと思う。
 それにしても、豹変ぶりと、性悪ぶり、言葉が丁寧なだけに怖かった(笑)。あまりの性悪ぶりで、気持ちいいぐらいだった。

 姑(かとうかず子)もかなりの根性悪だったが、嫁の性悪さは見抜いていた。性悪女は性悪女を知る。


 ラストで、青砥(戸田恵梨香)が「美香さんの告白にはショックでした。同じ女性として、自分の中にもああいう狂気があるのかなあって」という言葉に
「ないでしょう。……青砥さんにはないでしょう」
と言って、少し照れる榎本(大野智)がよかった。

★もうひとつの逆転の構図
 犯人(毒蜘蛛)はどこに消えたのか?
 コオロギに食べられていた!
 多勢に無勢で、捕食者と被捕食者(獲物)が逆転していた。

★やはり面白い芹沢弁護士(佐藤浩市)
・美人に弱いが、青砥の危機?に、美人編集者を置き去りにして駆けつける人の良さもあり、蜘蛛に咬まれるなどやはり酷い目に会う。(これまでも、金庫に閉じ込められたり、容疑者扱いされたり)
・割と臆病
・青砥の部屋に入り込み、好き放題だった。
・ときどき、鋭いことを言う(ヒント⑤)

 ただ、初回に比べて、パワー不足なのは残念だが、青砥の所へ駆けつける時の走り方が少し変。
 少し変と思っていたら、予告では、凄く変だった。
 予告は見ないようにしているが、面白いドラマだと、つい見てしまう。ネタばれの危険性もあるが、安心してください。(誰が?)
 あの走りしか、覚えていません。

【疑問点】
・古溝の爪をかむ癖は何だったのか?思わせぶり?
・まだトリックが分からない時点で、榎本がこの件が殺人だと思った根拠は?



【ストーリー】(番組サイトより)
榎本径(大野智)は、青砥純子(戸田恵梨香)と芹沢豪(佐藤浩市)から、純子が住むマンションで起こった事件について聞く。

先日、和菓子店の社長・桑島が亡くなり、桑島が借りていた部屋にペットが残された。
しかし、桑島の妻・美香(白石美帆)はその世話を拒否、桑島の友人で生物系雑誌のライター・古溝(松尾諭)が申し出た引き渡しも拒んでいるという。困った古溝は通りがかりの純子に相談を持ちかけ、交渉の結果、美香は古溝が桑島に預けていた二匹については引き渡すと約束した。

引き渡しの日、純子と芹沢は、美香、古溝とともにペット部屋にやってきた。そこは、窓が閉め切られ、水槽が並ぶワイヤーシェルフで埋め尽くされた異様な空間だった。

水槽を見てペットが熱帯魚だと早合点した純子の前に、古溝が差し出したのはタランチュラだった。しかも、桑島は飼っていたクロドクシボグモという猛毒グモにかまれて死亡したという。警察は、水槽内の土に刺さっていたピンセットから、桑島は猛毒グモにエサをやろうとして指を咬まれたと推測した。

それらの話を聞いた榎本は、猛毒グモを扱うにしては桑島が不注意すぎると指摘。芹沢も、猛毒グモに咬まれて慌てて手を引っ込めたなら、ピンセットが土に刺さっていたのはおかしいと疑問を呈す。


芹沢は一連の話を、自分を取材に来た雑誌記者・矢口(浅見れいな)に得意げに聞かせる。事件に興味を持っていた矢口は、事前に聞き込みをしていて、美香が桑島とも姑(かとうかず子)とも険悪の仲で離婚の噂も出ていたらしい、と話した。

そんな折、水城里奈(能年玲奈)が古溝から電話だと芹沢に告げる。古溝は、美香がすべてのクモの引き渡しに応じることになったので芹沢にも立ち会って欲しいと頼む。    

その頃、榎本はペットショップで雑誌に載ったクロドクシボグモの写真を見ていた。それは、古溝が桑島の部屋で撮ったもので、そこにはふたつ並んだ水槽に、一匹ずつのクモがいた。

翌朝、純子に頼まれた榎本ほか、関係者がペット部屋に集まった。早速、古溝は水槽からクモを取り出し、個別のケースに入れ始めた。すると、桑島が気に入っていた「キャメロン」というクモがいない、と声を上げた。それを聞いた美香は、そのクモは桑島が亡くなる数日前に死んだ、と答えた。

その後、床にかがんだ古溝が、棚の下に手を入れ何かを掴んだ。芹沢は、それが殺人に関する証拠品だと思い、何を取ったのか、と詰め寄る。古溝は、「金太郎」というクモだと言うが信じず、取ったものを奪おうとする。そして、もみ合ううち、芹沢は「金太郎」に指を咬まれてしまう。驚いた美香は救急車を呼ぼうとするが、古溝がそれを制する。「金太郎」に咬まれても死ぬことはなく、消毒すれば大丈夫だからだという。それでも、必死に救急車を呼ぼうとする美香に、古溝はクモの毒性について知っているはずだろう、と諭した。


部屋の様子をじっと観察していた榎本は、犯人が密室を利用してどんな罠を仕掛けたかわかった、やはり桑島は殺されたのだ、と言った。

犯人は美香で、まず「キャメロン」を殺し、死骸から中身を抜き取りその皮をクロドクシボグモに被せたという。何も知らない桑島は、猛毒グモを「キャメロン」だと思い、手に取ってしまったため咬まれ死亡した。美香は、桑島の死亡を確認し、ピンセットを水槽のなかに立てると、猛毒グモを回収しようとした。しかし、クモを見つけることができなかった。そのため、芹沢がクモに咬まれたとき、猛毒グモと思い、大慌てしたのだ。美香は、それなら「キャメロン」の皮をかぶった猛毒グモを連れて来い、と榎本に迫った。榎本がクモのエサ用に飼われているコオロギの水槽を示すと、そこに、猛毒グモの死骸があった。エサを求めて水槽に入ったが、逆に多数いたコオロギのエサになってしまったのだ。追い詰められた美香は、ついに犯行を認めた。
コメント (4)
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『平清盛』 第18話「誕生、後白河帝」

2012-05-08 00:01:23 | ドラマ・映画
やはり……落胆の脚本………

★なかなか良いことを言い、立派なことをしようとする清盛だが
①藤原家成(佐藤二朗)の養子の師光(加藤虎ノ介)の皮肉を軽く受け流す
②崇徳院(井浦新)に組みすることはできないと断る
③雅仁親王(松田翔太)ぼ「一介の武士に頼る崇徳院を落ちぶれた」の言に「変わったのは崇徳院ではなく武士の立場が変わったのだ」と言い切る
④平氏一門の皆の議論をじっくり聞き、「鳥羽院と崇徳院の仲を取り戻させるのが平氏の仕事」という結論を出す
⑤その意志で、鳥羽院(三上博史)を説得、心を動かす

 このうち②は、軽率ではないかと。
 確かに、平氏は鳥羽院とつながりが深い(らしい)ということ、さらに世話になった家成の頼みもあったからであろう。この家成の懇願のシーンを入れたのは微妙なところ。
 即答で崇徳院の要請を断ったのは、家成への義理もあったからであろう。これを、少し勘ぐった目で見ると、後の結論「鳥羽院と崇徳院の仲を取り持つ」と矛盾した行動を取ったことの言い訳に思えてしまう。


 そもそも、家成が清盛に鳥羽院の事を託すのにも違和感。まあ、家成は鳥羽院側についていたが、「鳥羽院命」という意志を感じたことはなかった。寡黙だったのでよくわからなかっただけかもしれないが、白河法皇時代からある程度の力を持っていたようなので、財力や立ち回りのうまさで勢力を伸ばしていたように思う。意志を感じるとしたら、従兄弟の宗子(和久井映見)が忠盛(中井貴一)に嫁いだので、平氏を引き立てていたこと。
 もし、自分の死期を悟って、清盛に願うなら、我が息子たちのことを頼むか、(清盛に惚れこんでいて)清盛の念願を果たすため我が息子たちを使ってくれというかだと思うのだが。
 私が脚本家なら、そうしておいて、清盛と崇徳院のシーンは「朕(ちん)にこの醜き世をおもしろう生きよと言うたのは、そちではないか」という心情を聞き、白河法皇の血の因縁から共感(同情)を感じるのみにして、崇徳院への援助の態度を保留させる。

 それはともかく、いい人だったなあ、家成さん。


 …と、忘れるところだった。
 なかなかかっこいいところを見せていた清盛だが、今まで、散々ぐだぐだぐだぐだしてきて、成長をあまり感じさせてもらえなかったせいで、今回の清盛には空々しさを感じてしまった。


★要らなかったような気が………雅仁親王と乙前(松田聖子)の出会い
 番組最後の「紀行」で、後白河帝と青墓宿の繋がりが述べられていたが、このシーンは無理やり挿入感が強い。
 確かに、今回の渦中の中心になってしまったので、何か彼の心情を表現したかったのであろうが、彼は宮中のドロドロした関係や政治の権力争いには興味がないようであった。もしかしたら、興味がない振りをしていただけかもしれないが、私の洞察力の乏しさ故か、察知できなかった。
 確かに、人目を引くような奇行振りであったが、「誰も私を見てくれるものはおらん、声の枯れるほど、歌おておっても」というようには感じなかった。
 また、「あなた様は、その力のやり場を見つけられぬだけ。いつか、あなた様の内から、何かがあふれてくる。それはきっと、世を大いに動かすものでござりましょう」という乙前の言葉も、このシーンに意味を持たせるためのものに思えてしまった。

 さらに、清盛の近衛天皇(北村匠海)の弔問の際、雅仁親王に会い、「生まれることがすでに博打だが、生まれてこなければ勝つも負けるもない」と告げ今様(このドラマのテーマソング)を歌いだす。
 なるほど、乙前との出会いは、これに繋げるためだったのか。少し納得。
 でも、「それはいつか海賊船で耳によみがえった歌。あのときあの歌が聞こえて居なければいきていなかったやもしれぬ」という清盛の言葉はいらない。とにかく運命的なものを描きたい脚本家さんのようだ。
 雅仁親王は権力に無関心だったのに運命の悪戯で、「瓢箪から駒」で天皇になってしまったでいいと思う。

★訳のわからない決着
「重仁を即位させる…いや、上皇を再び即位させてもよいと考えておる。
 朕は、今こそ上皇に詫びたいのじゃ。何の咎もない上皇を、朕は「叔父子」と疎み、政の場から追いやった。
 心より詫び、共に政を行ってまいりたい。それこそが、朕の務めなのじゃ」

 おっ、改心したのか……と思ったら、「共に政を行いたい」って、隠居する気ないのか。

信西(阿部サダヲ)
「今更詫びたところで、上皇様はお許しになるはずもなく、鳥羽の方王様に付く者と上皇様に付く者、国は大きく二つに分かれましょう。
 天下の権を握るは、あくまで鳥羽の法皇様。法皇様は、自在に操れるお方を、帝の座におつけになるべきです。さもなけくば、いずれ天下大乱となるのは、必定でございましょう」

 口が達者だなあ。信西のキャラも変わった気がする。いつ?どこで?

得子(松雪泰子)
「帝は、世を平らかにするを望んでおいででした。どうか、この争いの種を撒くような御裁断は…(なさらないでください)」

 言っていることは良いのだが、この言葉を聞いて、信西はシメシメ(笑)

 争乱を避けたければ、鳥羽院が隠居すれば済むわけで、深く反省している鳥羽院が「共に政治を」と言うのは、厚かまし過ぎて不自然。


 で、崇徳院が再び発狂寸前(死んだのかと思った)になる裁断が下された。
 これこそ「争いの種を撒くような裁断」となった。(直系(父、祖父)しか院政を行えないという決まりがあるのなら、即位順位の規定もあってもよいのでは?)


 今更、鳥羽院に反省させなくてもいいのでは?
 自分の保身のため、雅仁親王を即位させたという方が納得できるんだけど。
 もう、登場人物の心情・信条・人格がブレブレ。


 う~ん、そろそろ限界かも。




【ストーリー】(番組サイトより)
 1154年、近衛天皇(北村匠海)の容体がいよいよ深刻になってきた。母・美福門院得子(松雪泰子)は、一心不乱に祈とうする日々。父・鳥羽院(三上博史)は、崇徳院(井浦新)を遠ざけてきたことの報いではないかと、わが行いを省みる。また、鳥羽院の側近で、平氏とも親しかった藤原家成(佐藤二朗)が病床に臥(ふ)した。見舞いにきた清盛(松山ケンイチ)に、家成は実子・成親(吉沢悠)や養子・師光(加藤虎ノ介)を自分と思い相談するようにと告げ、鳥羽院のことを託した。そして後日、家成は世を去った。
 ある日、清盛は崇徳院に招かれる。崇徳院は近衛天皇が死去した後、わが子・重仁(雄大)が天皇となり、自分が実権を持つ日も近いと考え、清盛に力を貸すよう説いた。しかし清盛は、平氏は鳥羽院とつながりが深いので、崇徳院にくみすることはできないと断る。崇徳院は「朕(ちん)にこの醜き世をおもしろう生きよと言うたのは、そちではないか」と激高。その情熱に、清盛は心動かされる。その直後、清盛は雅仁親王(松田翔太)を見かける。雅仁は、一介の武士に頼る崇徳院を落ちぶれたと非難するが、清盛は崇徳院ではなく武士の立場が変わったのだと言い返した。
 その夜、平氏一門は集まり、崇徳院につくか、鳥羽院につくかを議論するが、収拾がつかない。すると清盛は、鳥羽院と崇徳院の仲を取り戻させると一同に宣言する。
 そのころ、鎮西(九州)にある鳥羽院の所領を、弓矢が達者な巨漢が襲った。源為義(小日向文世)の八男・為朝(橋本さとし)である。素行が悪く鎮西に追放されていた為朝だが、この一件で鳥羽院の怒りを買ったため、為義は右衛門尉(うえもんのじょう)の職をとかれてしまう。為義が頼れるのは藤原摂関家となった。
 ある日、為義は比叡山の悪僧たちを頼長(山本耕史)の前に連行した。僧の一人、鬼若(のちの弁慶:青木崇高)は以前頼長を助けた自分を見逃せと訴えるが、頼長は一切受けつけなかった。綱紀粛正に厳しすぎる左大臣として「悪左府(あくさふ)」という異名までついた頼長を父・忠実(國村隼)はいさめるが、父といえども口出しすれば容赦しないと頼長は宣言した。
 そして、近衛帝の容体が悪い中、関白・忠通(堀部圭亮)は信西(阿部サダヲ)に相談する。子のないまま近衛帝が亡くなったら重仁・崇徳院の親子が権力を持つ可能性が高く、崇徳院と関係が悪い自分は失脚する恐れがあると。信西は忠通の不安に答えず屋敷に帰ると、雅仁が訪れていた。信西は雅仁の乳父であった。意気盛んな崇徳院の近くにいるのが嫌なため、信西の妻・朝子(浅香唯)をともない美濃の青墓宿(あおはかのしゅく)へ行くという。この時勢に京を離れることを止める信西だが、雅仁は関係ないと言い捨て、旅立つ。
 1155年、近衛帝の容体はますます悪化、得子はますます多くの僧を集めて祈とうさせ、義朝(玉木宏)は大きな護摩壇を寄進した。清盛は鳥羽院に謁見し崇徳院との和解を勧めた。鳥羽院の心は大きく動いていた。
 芸事の盛んな場所である青墓宿を訪れた雅仁は、そこで出会った白拍子・乙前(かつての祇園女御(ぎおんのにょうご)/松田聖子)の今様に、強く心を揺さぶられる。雅仁は乙前に「遊びをせんとや生まれけむ」という今様の歌のように、生き生きと生きる男(清盛)を誰もが頼りにするが、自分は誰からも相手にされない、とさびしい真情をさらした。乙前は雅仁の中にみなぎる力がやがて世を動かすといい、雅仁の心を癒やす。
 近衛天皇はついに17歳の若さで世を去った。平氏一門が動揺する中、清盛はこのことは鳥羽院と崇徳院の争いのはじまりではなく、和解のきっかけになると告げた。この数日前、妻を亡くし喪に服していた頼長は次の皇位継承者を決定する会議に出席できなかった。
 会議には鳥羽院や信西、忠通などが集まり議論を重ねた。弔問に訪れた清盛は内裏の一角で雅仁に会う。雅仁は帝の崩御について、生まれることがすでに博打(ばくち)だが、生まれてこなければ勝負にならない、と告げ今様を歌いだす。その今様は清盛がまだ物心つく前に実母が歌っていたものであり、清盛は不思議な懐かしさを感じる。会議では鳥羽院が崇徳院の子・重仁を推し、崇徳と和解し共に政治を行いたいと述べると、信西が猛反対。崇徳上皇が復権すれば鳥羽院を許すはずはなく、大乱になる。あくまで鳥羽院が扱いやすい方を帝にすべきと主張する。そして継承者の行方は予想外の結末を迎える。雅仁が即位し、後白河天皇が誕生したのだった。
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