英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season14 第15話「警察嫌い」

2016-02-11 23:42:16 | ドラマ・映画
「流石だ!見事としか言いようがない。優秀なる諸君に、惜しみない拍手を贈ろう。(パチパチパチ)
 この短時間に、自白を引き出すとは。しかも、被疑者全員から」(内村刑事部長)
「3人とも犯行を認めさせてどうするぅ!犯人は一人だけで充分なんだぁ!」(中園参事官)

 “優秀”という言葉が使われたが、この“優秀さ”、警察組織にとっての“優秀さ”と一般市民にとっての“優秀さ”とは違うようだ。
 今話のタイトルにもなっている「警察嫌い」は、今回の事件の目撃者・青木(浅利陽介)の感情なのだが、どうして警察嫌いになったのかは不明(父親が警察官だったらしい)。しかし、警察組織が求める“優秀さ”に大いに関係があるように思える


・誰でも疑う猜疑心の強さ。今回は3人も疑いを掛けた。
・さらに、厳しい取り調べで3人とも自白を引き出した(3人共謀でなければ、必ず2人は冤罪)
・事件解決の為には、ずかずかと職場に乗り込んでくる(青木の言葉を借用すれば、「うんこ(事件)に群がるハエ」)
・証拠を手に入れる為、強引に罪状(今回の場合、“盗撮”)を作り、捜査令状で証拠物を押収する


何故か捜査に消極的で、正攻法を取らない右京
「いずれにしても、彼女の交友関係を丹念に当たっていけば、そう時間は掛からずに、“犯人検挙”ということになるのではありませんかねえ。
 我々の出る幕はないということですよ。
 少なくとも僕はキミ(冠城)のように、遊園地のアトラクションにでも参加するような了見で事件に参加することはできませんねえぇぇ」

 絞殺事件の被害者の女子大生の父親が暴力団の組長ということで、事件に興味を持った冠城に誘われて、殺人現場で事件の検証をした際の右京の言葉である。
 普段は頼みもしないのに捜査に首を突っ込む右京が、今回はなぜか乗り気でなく、捜査一課に任せればよく、興味本位で捜査しようとする冠城をたしなめていた。(右京も人をたしなめるような日頃の行いではないと思うが)
 
 それでも、事件の目撃者・青木(浅利陽介)に到達する右京たちだが、「警察に協力する義務はない」と証言を拒否(後に、撮影映像もあることが判明)。
 
 一課は一課で、容疑が強い3人を取り調べていた。
 花の里で幸子に「で、どうなさるんですか?」と水を向けられたが
「僕がしゃしゃり出るまでもなく、早晩、犯人は絞り込まれますよ。そのための取り調べですから」
と傍観の姿勢。


 頑なに、証言や証拠物の提出を拒む青木を見て、
「協力を拒んでいる目撃者を当てにせず、右京さんなら、得意の推理で別の強力な証拠を上げる正攻法を採るのではないか(警察が困っているのを見て喜んでいるのだから、相手にすればするほど、向こうの思う壺)」(冠城)
「確かに君の言うとおりですが、あからさまにああいう態度を取られると、“意地でも一泡吹かせたい”、そういう気分になりますねえ」
 と、大人げない態度。
(一晩、考えて、大人げないと反省したらしい)
 普段の右京なら、2人もの冤罪状態を見過ごさず、更に、真相究明に全力を注ぐのではないだろうか?


私情(興味)から、画策する冠城
 捜査一課の証拠品の押収の為の令状取りを妨害したのは冠城だった。
「何の罪もない一般市民に別件容疑を掛けて、証拠物件を押収するのは間違っているので、悪いことはしたと思っていない」
「令状が降りて、あっさり証拠物件が押収されてしまうと、右京さんの出る幕がなくなってしまう(右京が青木に一泡吹かせるのを見たかった」


 右京に断られて、被害者の父親の組長を引っ張り出し、脅迫まがいの行動を取る冠城
 この行為に右京も小言を言おうとするが、代わりに、角田課長が激怒。
「やくざに捜査協力を頼んで、どうするのぉ!洒落にならんよ
 今は、組の名前出すだけで、脅迫になりかねない。奴らも危うい立場なんだから」
 暴対法絡みで、普段から注意を払っている組対五課課長、証拠を提出しない目撃者に対して、組が何をするかわからないと怒るのも無理はない。
 さらに、
「あんたもあんただよ!勿体ぶってないで、とっとと今回の件にケリつけろ!
 でないと、この先生(冠城)、何、やらかすか分からんぞぉ!連帯責任だよ」
と右京にも怒鳴りつける。

 冠城の狙いは、角田課長を怒らせて、右京を動かすことだったようだ。

右京の謀略「時間差立体的面通し」
 拝み倒して写真による面通し(実は組対五課の三人の写真)のあと、立ち去っていく青木の横を、被疑者の三人がすれ違う。虚を突かれた青木が、真犯人の顔を見て驚き、真犯人が判明する


知らなかった「証拠隠滅罪」の真実
「証拠隠滅罪」は犯人以外に適応される。犯人は証拠を隠滅しても罪にはならない。むしろ、“犯人がそうするのは当たり前”という考え方らしい

 まあ、証拠隠滅を計れば、悪質であるとして罪が重くなる可能性はありそうだが。


面白かった演出
・組長が角田課長に被害者が自分の娘だと告げた直後、周囲の皆が驚き立ち上がる(全員組員)
・最後の面通しで、犯人が判明し、連行すると同時に、席についていた客が全員立ち去る(全員刑事)
・真犯人に対して、他の容疑者への取調官も押し寄せ、総出での取り調べ
・面通しのフェイク写真も笑えた


異質な展開で、残り10分ちょっとで、角田課長に怒られている右京。どうなることかと思った。
警察の傲慢さ、右京と冠城の確執、証拠隠滅罪に関する驚きなど、盛りだくさんで面白かった。
暴走気味の冠城も面白かった。ただ、右京の消極性に違和感を感じた。



【ストーリー】番組サイトより
殺人事件発生!!…しかし唯一の目撃者は捜査協力を完全拒否!?
3人の被疑者と警察嫌いの目撃者が捜査を翻弄する!

 マンションの一室で女子大生・色川真子(澄音)が絞殺される事件が発生。真子は、広域暴力団の組長・伊縫(上杉祥三)が愛人に産ませた娘で、伊縫は組対五課の角田(山西惇)から情報を引き出そうとするなど、不穏な動きを見せる。
 一方、事件に興味を持った亘(反町隆史)は、強引なやり方で右京(水谷豊)を捜査に引っ張り出す。亘と共に現場にやってきた右京は、向いのマンションから男性が現場を注視しているのに気づく。気になって事情を聞きに行くと、男性は青木(浅利陽介)という公務員で、犯行の一部始終を目撃したが、警察の捜査に協力する義務はないと、一切の証言を拒否してしまう。
 そんな中、捜査一課が3人の被疑者を拘束する。しかし、状況証拠を見るとそれぞれが極めて怪しく、犯人の特定は難航。改めて、“目撃者”である青木の存在が重要になってくるが…!?

警察嫌いの目撃者が証言を拒否し続ける本当の理由は?
3人の被疑者の中に真犯人はいるのか、それとも…!?
さらに今回の事件が、右京と亘の関係に大きな波紋をもたらす!

ゲスト:浅利陽介

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
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臨床犯罪学者 火村英生の推理 第4話「ダリの繭」

2016-02-11 14:21:47 | ドラマ・映画
……チグハグな犯行の痕跡……
一刻も早く現場から逃げたいはずの犯人が
 何故、衣服を奪ったか?
 何故、フロートカプセルの中に遺体を隠したか?
 何故、わざわざ髭を剃ったのか?



事件のポイント
・死亡推定時刻は金曜日午後11時~深夜2時
・鈍器で頭部を滅多打ち
・リビングで殺害された後、フロートカプセルに入れられた
・髭を剃られていた
・下着だけ残され、その他の衣服や靴もなし(自宅なのに?)
・金品が奪われた形跡なく、社長・秀一に深い恨みを持つ犯人と思われる
・弟の堂条秀二と吉住則夫、秘書の鷺尾優子、デザイナーの長池伸介、皆、アリバイはない

吉住の告白
・社長にデザインのことで叱責され、フロートカプセルに入り、出てくると、自分の衣服が血だらけになっており、リビングに社長が殺害されていた。
・疑われると思い、社長の衣服を脱がせそれを着て、自分が来た痕跡(指紋など)を消した。フロートカプセルに社長を入れたのは、自分が入った痕跡を消すため。

 鍋島刑事「俄かには信じ難い」
 小野刑事「いい加減な言い逃れにしか聞こえない」
しかし、吉住の言葉は、冒頭のチグハグさの謎のうちの2つに説明がつく

凶器の発見
・現場から500mの地点で、凶器と2足の靴が発見された
・その凶器は、社員旅行(鳥羽)で長池が買った女神像と同種のものだった。

長池への聴取
・女神像は長池が所持しており、凶器の女神像は別のモノだった(瞳の部分の真珠の形が違う、後に女神像は2作しか作られていないことが判明)
・吉住の小細工だと主張し、吉住には芸術センスがなく、今回もデザインをベースの色からやり直すことになったとぼやく

今週の大家・時絵のヒントタイム
「ふたりともいつもと全然違いますやん。
 いつもの挨拶がない、いつもの返事がない、いつもの反応がない
 ずっと一緒に居てたら、そんなん、すぐ気づきます。
「いつもないもんがあるんと同じぐらい、いつもあるもんがないのも違うて見えるんです」

 ぴ~ん!ぱ~ぱらぱ~♪…これまでの映像や台詞がフラッシュバック……
  ………「この犯罪は美しくない」


「時絵さん、ありがとう」
 火村、時絵をがっしりとハグ。
「わお~」

「いつもないこともありました」


推理のピースがすべて揃った 
女神像が凶器に使用された
    ↓
女神像を購入した者が犯人
    ↓
購入時に変装 ← 社長の髭が剃られていた(実は、自ら剃った)
    ↓
≪秀一の計画≫
社長が自宅で長池を殺害し、後に長池家に遺体を運び、長池家にあった女神像を回収すれば、犯行現場は長池家ということになる。アリバイ証言に利用するため吉住を呼んだ。
社長のターゲットは長池(吉住がデザインのダメ出しを知っていた)

≪秀一、返り討ちに遭う≫
長池が逆襲し、社長を殺害。何度も殴打していたので殺意は否定できない
逃げる時間を稼ぐため、吉住の服を汚し、凶器と靴を持ち去り処分。社長の付け髭はもみ合ううちに服に付き、処分。

「楽しいですか?あなたの推理で、彼と私の人生は大きく変わってしまった。
 いつもそんなことして、楽しいですか?」(優子)
「こうするしかないんです」(火村)
「悲しい生き方ですね」(優子)


悲しみの淵に沈む優子を、懸命に救い上げようとする有栖川に
「有栖川さんは優しい人ですね」

 このシーンは疑問。
 鷺尾有栖川の切ない恋を重ねていて、それの着地点となっていたが、優子が火村をなじるのは逆恨み近い(推理ショーみたいなことをした火村にも原因があるが)。
 火村と有栖川の対比という意味もあるが、今回の殺人は、社長の嫉妬心と長池の優子への思いの強さが招いた悲劇で、過去3話とは異常性は低い。そのため、火村が「悲しい生き方ですね」となじられるシーンが欲しかったのかもしれない。

火村と有栖川にとっての繭
 高校時代の苦い恋の想い出が、有栖川が小説の世界に没頭するきっかけになった……小説が有栖川を守ってくれる繭となった。
「おまえにもそんな繭、あるか?」(有栖川)
「ある。学問にかこつけて、人を狩ることだ」(←「こうするしかないんです」「悲しい生き方ですね」)



今週の火村&有栖川漫才
【その1】
「あのカナリヤ、どうした?
「ああ、とっくに返したでぇ。ほんで、返すときなぁ、お隣さんがもみじまんじゅ…」
分かった!少し黙ってくれ
 すべてがチグハグだ…………
 ……何か言いたそうだな……黙ってないで、何か言ってみたらどうだ。
 いつものように、デタラメに思ったことを」
「言う気なくすわ」
早く言え!
「遺産が目的なら、犯人は弟の秀二か吉住。ただ、俺は吉住はウソついてへんと思う。
 そして、小町(小野刑事)さんが言っていたことが本当なら……鷺尾さんもいる。
 社長とデザイナー・長池の諍い。ただ、仮にそうやったとしても、鷺尾さんは全く悪くな…」
分かった!少し黙ってくれ」 
「“おまえが言え”言うたんやろぉ」

【その2】
 翌朝、火村が準備した朝食を見つめ
「まるで新婚家庭の朝食やないか」(有栖川)
「俺も新妻になったような気がしている」(火村)
グッと顔を近づけ、見つめ合う
「なんだ?あんまり見つめるな。新婚ごっこはお終いだ」(火村)
「あほか」
「冷める前に食え」
「知っとるかぁ……俺なあ……」≪暗転≫


今週のどうでもいい感想
不憫な岩城滉一
 ふざけた髭を付けさせられて、マザコンで、嫉妬心に駆られて殺害計画を立て、返り討ちに遭い、頭を滅多打ちに殴られ、裸にされて変な浴槽に入れられてしまう……
不憫その2・難波検事
 毎回、シャングリラ十字軍の指導者・諸星沙奈恵を賺し脅すが、ほとんど無視。
 今回は頭突きを食らい「あふぅ~」と悲鳴
不憫その3・女神像
 あまり魅力を感じない女神像だった。
 2体しか作られず、ようやく売れたと思ったら、凶器に使用されてしまった。


【ストーリー】番組サイトより
 火村(斎藤工)とアリス(窪田正孝)は、宝石商の堂条秀一がレストランで女性と一緒にいるところを見かける。 画家のダリを思わせる個性的なヒゲを生やす秀一は、テレビ等に出演して名の知られる存在だった。連れの女性を見た火村は、彼女がアリスの理想のタイプに違いないと言い出す。火村に胸の内を言い当てられて動揺するアリス。確かにアリスは、その女性に自分の思い出を重ねていた。
 数日後、秀一が殺害される。火村とアリスは、事件現場である秀一の自宅へ向かった。遺体の第一発見者は秀一の弟・堂条秀二と、秀一の秘書・鷺尾優子。優子は、火村とアリスがレストランで見た、秀一の連れの女性だった。
 秀一の遺体は、彼が“繭”と呼んで愛用するフロートカプセルの中に入れられていた。そのカプセルには特殊な液体が満たされ、秀一はしばしば中に入ってリラックスしていたという。金品が盗まれた形跡はなく、犯人は秀一に強い恨みを持つ人間か知人とみられた。火村は、秀一の遺体が裸にされてヒゲを剃られた状態だったことに違和感を覚える。
 火村は、秀一が優子に特別な感情を抱いていたのではないかと推測。しかし優子は、秀一とは仕事上の関係しかなかったと主張する。彼女は、宝飾デザイナー・長池伸介との関係も噂になっていた。
 秀一には秀二の他に、吉住則夫という弟がいた。吉住は、火村とアリスの大学時代の同級生で、アリスの友人でもあった。吉住にも容疑がかかるが、吉住は無実を訴える。火村は吉住に「本当に何もやっていないのなら、すべてを話した方がいい」と告げる。
 事件を追う一方、優子のことが気にかかるアリス。火村の差し金で優子と二人きりになったアリスは、今まで誰にも話していなかった自分の過去を語るのだった。
 そんな中、アリスは、吉住に呼び出される。火村とともに吉住のもとへ駆け付けたアリスは、秀一の血が付いた服を見せられる。決定的な証拠が見つかり、吉住が犯人と思われたが…。


原作:「ダリの繭(KADOKAWA)1993年」

脚本:佐藤友治
演出:浅見真史
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