「シュレディンガーの猫」
……確率が50%で毒ガスが発生する中が見えない箱に猫がいて、蓋を開けなければ猫が生きているのか、死んでいるのか分からない。ふたを開ける前は、「猫が生きている世界」と「猫が死んでいる世界」が重なり合った状態。
ふたを開けた時、例えば猫が死んでいれば「猫が死んでいる世界」が確定したことになるが、「猫が生きている世界」もどこかに存在している……といった説明だったと思う。
「確定」と「可能性」………
・いくつにも重なり合っている世界が存在し、確定された世界を選択するだけだ
・可能性がいくつもあるが、どの可能性を選ぶかは、本人の意志である
――堀井准教授に広がるいくつかの世界――
1.山嵜麻美准教授を殺害し、恩師成田教授の復讐を果たした世界
2.右京の機転により、山嵜麻美准教授殺害が未遂に終わり、事なきを得た麻美との会話から、堀井が成田教授の夫が、妻に殺意を抱いていたことを知り、成田・夫を殺害する(成田・夫が堀井に麻美殺害を消し掛けていた)。
1との【分岐点】、猫の位置が少し違っていて、猫の落とした資料を見た右京が、堀井の計画に気づいた。
3.(右京が成田に警告したことにより)成田が抵抗して、堀井が返り討ちに遭う。その際、「成田が妻を殺害しようとした時には、すでに死んでいた」という告白を聞く。
2との【分岐点】、猫が受話器を落としたことにより、成田・夫が堀井と一緒にいることに右京が気づく。
堀井が死ぬ間際の言葉
「僕にはどんな世界が選べたんでしょう。
≪麻美を殺す世界≫≪成田・夫を殺す世界≫≪復讐せずに苦しみを抱え続ける世界≫……
……どれも同じ…(成田)先生はもういない。
どれだけ足掻こうが、僕にあるのは……こんな不幸な世界だけです」
4.成田教授の発見には誤りがあり、成田教授は自 殺だったことが判明する
【分岐点】、右京たちが遺留品を持ってきたが、堀井が留守だと判断し他へ行こうとしたのを、猫が呼び止めた。
堀井教授の遺品ノートの最後に『RT』という表記があるが、『RT』の意味は、「もう一度考え直す」であり、成田教授の発見は誤りがあり、自 殺に至った。
そのことを右京に教えられ、麻美殺害を取りやめる。
成田教授の発見は、堀井の理論が根本にあり、恩師の死の責任は自分にあると考え、毒薬を飲もうとする。(右京たちが制止)
右京が「堀井の才能を守りたかった。未来を託したかった」という成田教授の真意を告げ、
「あなたには別の世界が存在するのではないですか?
≪成田先生の意志を受け継いで、研究を完成させるという世界≫もまた存在するのではないですか?」
【補足:今話の解釈】
4つのパラレルワールドが展開されたが、
「成田・夫が、成田教授の殺害計画を立てたこと」
「成田教授の発見に誤りがあって、実際は教授の自 殺であったこと」
「成田・夫が“麻美の殺害”を堀井にけしかけたこと」
という過去の事実は固定されていた。
その上で、「分岐点が3つあり、その分岐によって、堀井准教授が知る事実に差が出て到達点が変わった」ということなのだろう。
堀井(あるいは右京)が正しい分岐を選んで真実を知り、教授の意志を受け継ぐ“TRUE END”にたどり着くというのが、通常のアドベンチャーゲーム(サウンドノベル)式展開なのだが、今話の場合、猫が行動を変えて分岐選択を行っている。
猫(成田教授の分身)がパラレルワールドを作り、3度やり直して“TRUE END”にたどり着き、堀井が意志を受け継いだことに安心して、猫(成田教授)は姿を消したのではないだろうか。【補足・終】
「物理学者と猫」というタイトルだが、「成田教授の猫」のような気がする。
「思考はそれ自体が目的なの。
あなたは考え続けなさい、この先も」
『RT』は「もう一度考え直す」ではなく、「考え続ける」という意味かもしれない。
面白かったです。
【ストーリー】番組サイトより
ループする時間と一変する事件の結末
“物理学の迷宮”に迷い込んだ特命係の運命は!?
右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、遺留品の返却で帝都大学を訪れる。次世代機器として注目を集めている量子コンピューターの核となる実験に成功した成田知子(大沼百合子)という物理学者の遺留品だった。
彼女は、実験中のアクシデントで死亡し、警察ではそれを事故死として処理していた。道すがら遺留品の中にあった古いノートを見ていた右京は、数式のかたわらに『RT』という文字が書かれているのが気になる。そこで、知子と交流のあった准教授・堀井(正名僕蔵)から話を聞いてみようと研究室を訪ねると、中には一匹の黒猫の姿も。
物理学者と猫という組み合わせに、『シュレディンガーの猫』という現代物理の考え方を連想した右京。それは、猫を中が見えないケージの中に入れた場合、「猫が生きている世界」と「死んでしまった世界」の両方が同時に存在し、蓋を開けた瞬間にどちらの世界になるか決まるという考え方。
右京、亘、そして堀井がそんな話をしていた午前9時20分。突然、学内の非常ベルが鳴り、右京たちは“ある人物が死んでしまった世界”へと進む。しかし、その世界は、“午前9時20分を境に同時並行的に存在する世界”のひとつに過ぎなかった。
繰り返される世界は、妄想か、異世界か、それとも時間遡行か!?
ノーベル賞級の発見をした女性物理学者の死の真相とは?
迷宮を抜け出した先に驚きの真実が待ち受けていた!
ゲスト:正名僕蔵 中丸新将 大沼百合子
脚本:徳永富彦
監督:兼涼介
……確率が50%で毒ガスが発生する中が見えない箱に猫がいて、蓋を開けなければ猫が生きているのか、死んでいるのか分からない。ふたを開ける前は、「猫が生きている世界」と「猫が死んでいる世界」が重なり合った状態。
ふたを開けた時、例えば猫が死んでいれば「猫が死んでいる世界」が確定したことになるが、「猫が生きている世界」もどこかに存在している……といった説明だったと思う。
「確定」と「可能性」………
・いくつにも重なり合っている世界が存在し、確定された世界を選択するだけだ
・可能性がいくつもあるが、どの可能性を選ぶかは、本人の意志である
――堀井准教授に広がるいくつかの世界――
1.山嵜麻美准教授を殺害し、恩師成田教授の復讐を果たした世界
2.右京の機転により、山嵜麻美准教授殺害が未遂に終わり、事なきを得た麻美との会話から、堀井が成田教授の夫が、妻に殺意を抱いていたことを知り、成田・夫を殺害する(成田・夫が堀井に麻美殺害を消し掛けていた)。
1との【分岐点】、猫の位置が少し違っていて、猫の落とした資料を見た右京が、堀井の計画に気づいた。
3.(右京が成田に警告したことにより)成田が抵抗して、堀井が返り討ちに遭う。その際、「成田が妻を殺害しようとした時には、すでに死んでいた」という告白を聞く。
2との【分岐点】、猫が受話器を落としたことにより、成田・夫が堀井と一緒にいることに右京が気づく。
堀井が死ぬ間際の言葉
「僕にはどんな世界が選べたんでしょう。
≪麻美を殺す世界≫≪成田・夫を殺す世界≫≪復讐せずに苦しみを抱え続ける世界≫……
……どれも同じ…(成田)先生はもういない。
どれだけ足掻こうが、僕にあるのは……こんな不幸な世界だけです」
4.成田教授の発見には誤りがあり、成田教授は自 殺だったことが判明する
【分岐点】、右京たちが遺留品を持ってきたが、堀井が留守だと判断し他へ行こうとしたのを、猫が呼び止めた。
堀井教授の遺品ノートの最後に『RT』という表記があるが、『RT』の意味は、「もう一度考え直す」であり、成田教授の発見は誤りがあり、自 殺に至った。
そのことを右京に教えられ、麻美殺害を取りやめる。
成田教授の発見は、堀井の理論が根本にあり、恩師の死の責任は自分にあると考え、毒薬を飲もうとする。(右京たちが制止)
右京が「堀井の才能を守りたかった。未来を託したかった」という成田教授の真意を告げ、
「あなたには別の世界が存在するのではないですか?
≪成田先生の意志を受け継いで、研究を完成させるという世界≫もまた存在するのではないですか?」
【補足:今話の解釈】
4つのパラレルワールドが展開されたが、
「成田・夫が、成田教授の殺害計画を立てたこと」
「成田教授の発見に誤りがあって、実際は教授の自 殺であったこと」
「成田・夫が“麻美の殺害”を堀井にけしかけたこと」
という過去の事実は固定されていた。
その上で、「分岐点が3つあり、その分岐によって、堀井准教授が知る事実に差が出て到達点が変わった」ということなのだろう。
堀井(あるいは右京)が正しい分岐を選んで真実を知り、教授の意志を受け継ぐ“TRUE END”にたどり着くというのが、通常のアドベンチャーゲーム(サウンドノベル)式展開なのだが、今話の場合、猫が行動を変えて分岐選択を行っている。
猫(成田教授の分身)がパラレルワールドを作り、3度やり直して“TRUE END”にたどり着き、堀井が意志を受け継いだことに安心して、猫(成田教授)は姿を消したのではないだろうか。【補足・終】
「物理学者と猫」というタイトルだが、「成田教授の猫」のような気がする。
「思考はそれ自体が目的なの。
あなたは考え続けなさい、この先も」
『RT』は「もう一度考え直す」ではなく、「考え続ける」という意味かもしれない。
面白かったです。
【ストーリー】番組サイトより
ループする時間と一変する事件の結末
“物理学の迷宮”に迷い込んだ特命係の運命は!?
右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、遺留品の返却で帝都大学を訪れる。次世代機器として注目を集めている量子コンピューターの核となる実験に成功した成田知子(大沼百合子)という物理学者の遺留品だった。
彼女は、実験中のアクシデントで死亡し、警察ではそれを事故死として処理していた。道すがら遺留品の中にあった古いノートを見ていた右京は、数式のかたわらに『RT』という文字が書かれているのが気になる。そこで、知子と交流のあった准教授・堀井(正名僕蔵)から話を聞いてみようと研究室を訪ねると、中には一匹の黒猫の姿も。
物理学者と猫という組み合わせに、『シュレディンガーの猫』という現代物理の考え方を連想した右京。それは、猫を中が見えないケージの中に入れた場合、「猫が生きている世界」と「死んでしまった世界」の両方が同時に存在し、蓋を開けた瞬間にどちらの世界になるか決まるという考え方。
右京、亘、そして堀井がそんな話をしていた午前9時20分。突然、学内の非常ベルが鳴り、右京たちは“ある人物が死んでしまった世界”へと進む。しかし、その世界は、“午前9時20分を境に同時並行的に存在する世界”のひとつに過ぎなかった。
繰り返される世界は、妄想か、異世界か、それとも時間遡行か!?
ノーベル賞級の発見をした女性物理学者の死の真相とは?
迷宮を抜け出した先に驚きの真実が待ち受けていた!
ゲスト:正名僕蔵 中丸新将 大沼百合子
脚本:徳永富彦
監督:兼涼介