(今さら、第1話です)
『すべてがFになる』(『S&Mシリーズ』)や『鍵のかかった部屋』など、探偵や教授や弁護士など刑事以外の人物が主人公となる推理ドラマは、舞台設定(屋敷モノ、孤島モノ)やトリック(密室、アリバイ)などに趣向を凝らしてあり、ワクワクする。
刑事ドラマだと捜査手法や動機など、現実的要素にケチをつけたくなることが多いが、こういうフィクション色が強いドラマだとそれも気にならなく、純粋に推理を楽しめる。
(刑事ドラマを否定しているわけでなく、刑事ドラマも好きです。刑事以外の主人公と言っても、タクシードライバーは別ですし、浅見光彦シリーズは推理よりは別の要素で楽しんでいます)
挨拶代わりの“密室?殺人事件”
正確に言うと、マジシャン・容疑者(第一発見者)の部屋(鍵が掛かっていた)に、被害者が入り込み殺害されていたというモノ。
名探偵コナンのように、現場のソファーのズレ、被害者と関係者の装飾品などから、即座に解明し去っていく。
連続推理ドラマでよくある“掴みの事件”だが、掴みにするには勿体ない気もする。原作は『201号室の災厄』(『暗い宿』の一篇)らしい。
「絶叫城殺人事件」(今話のメイン事件)
“絶叫城”とあるので、“館モノ”かと思ったが、話中の連続殺人のモチーフとなったゲームの題名だった。
こういう“連続殺人モノ”においては、連続殺人の共通点(被害者、殺人現場、殺害手段)や根底にあるテーマ(今回はゲーム)である。
今話もそれに沿った推理がなされる。しかし、4件目の事件は共通点が多いが、犯行曜日など一致しない点もある。しかし、「被害者の口の中にあった紙切れがこれまでのモノと一致したことから、同一犯によるもの」というのが警察の見解であった。
しかし、火村は4件目の事件に違和感を感じた。
ここで、ありがたかったのは、犯罪学者・火村(斉藤工)、推理作家・有栖川(窪田正孝)、小野刑事(優香)、鍋島刑事(生瀬勝久)らが、4件目の事件の疑問点を整理してくれたこと。
・被害者は何故あの現場にいたのか(普段の被害者の行動パターンでは、あの場所に行くことは考えにくかった)
・犯人はなぜ犯行ペースを早めたのか?
・犯行現場にこれまでとは共通性のないのはなぜか?
・どうやって緊急配備の網をくぐり抜けたのか?
・凶器や紙切れは一致……犯行の連続性も火村は認める
しかし、「予定外の殺人」に思える。
上記の5点から、事件の真相が見えてきた。
そして、4人目の被害者の住居を検証。
・生真面目で几帳面な性格(ごみの分別もきちんとしていた)
・文鳥を飼っていて、鳥籠が近辺に捨てられていた(逃がしてあげた)
↓
所定の日、所定な場所でない場所に捨てられていたのは、几帳面な被害者らしくない。
↓
急いで捨てなければならない特別な理由があった
↓
自 殺と分からないように、自 殺しなければならなかった
鳥籠だけが残っていれば、逃がしてあげたと推定され、自 殺の可能性も考えられる
↓
4件目が自 殺(被害者が殺人者)と仮定すると、4件目の疑問点も解消される。
真相は、連続殺人犯が弟であったことにショックを受け生きる気力を失くし(両親も数年前不慮の事故で死去)、自分が被害者となれば入院中の弟には犯人の容疑は絶対に掛からない、自らがナイトプローラー(連続殺人者)となった。
奇しくも、ゲームの「ナイトプローラー」のエンディングは≪ナイトプローラーを倒した女性(プレーヤー)がナイトプローラーと化してしまった≫をなぞったものとなった。
・火村と有栖川コンビのやり取りが面白い
「有栖、お前にカナリアを預けた隣人のファインプレー(事件解明のヒント)かもしれん」
「ん、俺ちゃうの?」
・大家の時絵(夏木マリ)も味がある
・推理(事件)も面白い
・夕日に怯える学生の貴島朱美、シャングリラ十字軍の諸星沙奈恵、謎の少年と意味深なキャラも興味深い
・時折挿入される古都・京都の風景
・きりっとした優香を最近見たことなかったので、出演者のクレジットが出るまで気づかなかった。
面白かったが、気になる点もいくつか。この点については、第2話以降で。
【ストーリー】番組サイトより
英都大学の准教授・火村英生(斎藤工)は、警察の依頼を受けて殺人事件の捜査協力をする犯罪学者。彼は「人を殺したいと思ったことがある」と公言し、究極の犯罪を追い求める。心に闇を抱える火村を見守りサポートするのは、友人の推理作家・有栖川有栖(窪田正孝)。火村は有栖をパートナーに、数々の事件を解決してきた。
火村は、若い女性2人が殺害された連続通り魔事件の捜査に関わっていた。2人の口の中には、解読できない謎のメッセージが書かれた紙切れが残されていた。事件が起こったのは、2週連続で火曜日の夜。火村は、3週目の火曜日の夜に第三の殺人が起こるのではないかと考えていた。
火村の予想通り、3週目の火曜日の夜に同じ手口の殺人が発生。火村と有栖は、現場へ駆け付ける。被害者はまたしても若い女性で前の2件と同じく、背中から鋭利な刃物による刺殺。被害者の口の中には、犯人からのメッセージらしき紙切れがあり、そこには「NIGHT PROWLER」(ナイトプローラー)と書かれていた。“ナイトプローラー”とは、「絶叫城」という人気テレビゲームのキャラクターと判明。犯人には「絶叫城」の知識があると考えられた。火村は、「絶叫城」を制作したゲーム会社を訪ね、ゲーム制作に関わった人間を探る。
次の火曜日まであと3日となった晩に、第四の殺人が起こってしまう。被害者は、フリーライターの雪枝(入山法子)。殺害の手口は前の3件と同じで、口の中に残された紙切れには“GAME OVER”と書かれていた。「絶叫城」も、4人が死ぬとゲームオーバーというストーリー。一連の犯行は「絶叫城」に従って行われ、これが最後の犯行ではないかと思われた。
しかし、火村は「この事件は、これまでの3件と違う」と断言し…。
原作:絶叫城殺人事件(「絶叫城殺人事件(新潮社)」収録)
脚本:マギー
演出:佐久間紀佳
『すべてがFになる』(『S&Mシリーズ』)や『鍵のかかった部屋』など、探偵や教授や弁護士など刑事以外の人物が主人公となる推理ドラマは、舞台設定(屋敷モノ、孤島モノ)やトリック(密室、アリバイ)などに趣向を凝らしてあり、ワクワクする。
刑事ドラマだと捜査手法や動機など、現実的要素にケチをつけたくなることが多いが、こういうフィクション色が強いドラマだとそれも気にならなく、純粋に推理を楽しめる。
(刑事ドラマを否定しているわけでなく、刑事ドラマも好きです。刑事以外の主人公と言っても、タクシードライバーは別ですし、浅見光彦シリーズは推理よりは別の要素で楽しんでいます)
挨拶代わりの“密室?殺人事件”
正確に言うと、マジシャン・容疑者(第一発見者)の部屋(鍵が掛かっていた)に、被害者が入り込み殺害されていたというモノ。
名探偵コナンのように、現場のソファーのズレ、被害者と関係者の装飾品などから、即座に解明し去っていく。
連続推理ドラマでよくある“掴みの事件”だが、掴みにするには勿体ない気もする。原作は『201号室の災厄』(『暗い宿』の一篇)らしい。
「絶叫城殺人事件」(今話のメイン事件)
“絶叫城”とあるので、“館モノ”かと思ったが、話中の連続殺人のモチーフとなったゲームの題名だった。
こういう“連続殺人モノ”においては、連続殺人の共通点(被害者、殺人現場、殺害手段)や根底にあるテーマ(今回はゲーム)である。
今話もそれに沿った推理がなされる。しかし、4件目の事件は共通点が多いが、犯行曜日など一致しない点もある。しかし、「被害者の口の中にあった紙切れがこれまでのモノと一致したことから、同一犯によるもの」というのが警察の見解であった。
しかし、火村は4件目の事件に違和感を感じた。
ここで、ありがたかったのは、犯罪学者・火村(斉藤工)、推理作家・有栖川(窪田正孝)、小野刑事(優香)、鍋島刑事(生瀬勝久)らが、4件目の事件の疑問点を整理してくれたこと。
・被害者は何故あの現場にいたのか(普段の被害者の行動パターンでは、あの場所に行くことは考えにくかった)
・犯人はなぜ犯行ペースを早めたのか?
・犯行現場にこれまでとは共通性のないのはなぜか?
・どうやって緊急配備の網をくぐり抜けたのか?
・凶器や紙切れは一致……犯行の連続性も火村は認める
しかし、「予定外の殺人」に思える。
上記の5点から、事件の真相が見えてきた。
そして、4人目の被害者の住居を検証。
・生真面目で几帳面な性格(ごみの分別もきちんとしていた)
・文鳥を飼っていて、鳥籠が近辺に捨てられていた(逃がしてあげた)
↓
所定の日、所定な場所でない場所に捨てられていたのは、几帳面な被害者らしくない。
↓
急いで捨てなければならない特別な理由があった
↓
自 殺と分からないように、自 殺しなければならなかった
鳥籠だけが残っていれば、逃がしてあげたと推定され、自 殺の可能性も考えられる
↓
4件目が自 殺(被害者が殺人者)と仮定すると、4件目の疑問点も解消される。
真相は、連続殺人犯が弟であったことにショックを受け生きる気力を失くし(両親も数年前不慮の事故で死去)、自分が被害者となれば入院中の弟には犯人の容疑は絶対に掛からない、自らがナイトプローラー(連続殺人者)となった。
奇しくも、ゲームの「ナイトプローラー」のエンディングは≪ナイトプローラーを倒した女性(プレーヤー)がナイトプローラーと化してしまった≫をなぞったものとなった。
・火村と有栖川コンビのやり取りが面白い
「有栖、お前にカナリアを預けた隣人のファインプレー(事件解明のヒント)かもしれん」
「ん、俺ちゃうの?」
・大家の時絵(夏木マリ)も味がある
・推理(事件)も面白い
・夕日に怯える学生の貴島朱美、シャングリラ十字軍の諸星沙奈恵、謎の少年と意味深なキャラも興味深い
・時折挿入される古都・京都の風景
・きりっとした優香を最近見たことなかったので、出演者のクレジットが出るまで気づかなかった。
面白かったが、気になる点もいくつか。この点については、第2話以降で。
【ストーリー】番組サイトより
英都大学の准教授・火村英生(斎藤工)は、警察の依頼を受けて殺人事件の捜査協力をする犯罪学者。彼は「人を殺したいと思ったことがある」と公言し、究極の犯罪を追い求める。心に闇を抱える火村を見守りサポートするのは、友人の推理作家・有栖川有栖(窪田正孝)。火村は有栖をパートナーに、数々の事件を解決してきた。
火村は、若い女性2人が殺害された連続通り魔事件の捜査に関わっていた。2人の口の中には、解読できない謎のメッセージが書かれた紙切れが残されていた。事件が起こったのは、2週連続で火曜日の夜。火村は、3週目の火曜日の夜に第三の殺人が起こるのではないかと考えていた。
火村の予想通り、3週目の火曜日の夜に同じ手口の殺人が発生。火村と有栖は、現場へ駆け付ける。被害者はまたしても若い女性で前の2件と同じく、背中から鋭利な刃物による刺殺。被害者の口の中には、犯人からのメッセージらしき紙切れがあり、そこには「NIGHT PROWLER」(ナイトプローラー)と書かれていた。“ナイトプローラー”とは、「絶叫城」という人気テレビゲームのキャラクターと判明。犯人には「絶叫城」の知識があると考えられた。火村は、「絶叫城」を制作したゲーム会社を訪ね、ゲーム制作に関わった人間を探る。
次の火曜日まであと3日となった晩に、第四の殺人が起こってしまう。被害者は、フリーライターの雪枝(入山法子)。殺害の手口は前の3件と同じで、口の中に残された紙切れには“GAME OVER”と書かれていた。「絶叫城」も、4人が死ぬとゲームオーバーというストーリー。一連の犯行は「絶叫城」に従って行われ、これが最後の犯行ではないかと思われた。
しかし、火村は「この事件は、これまでの3件と違う」と断言し…。
原作:絶叫城殺人事件(「絶叫城殺人事件(新潮社)」収録)
脚本:マギー
演出:佐久間紀佳