英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第65期王将戦第2局 その5「両取りが空振り?」

2016-02-15 22:19:27 | 将棋
第65期王将戦第2局 その1「深謀遠慮の▲1八香」
第65期王将戦第2局 その2「手順前後の周辺」
第65期王将戦第2局 その3「郷田九段、驚愕の辛抱」
第65期王将戦第2局 その4「名人の飛車」の続きです。



第8図は▲6三歩と金頭を叩いたところ。
「玉のコビン攻め(▲6六角~▲3四歩)」「端攻め(▲9四歩)」に続く第三弾の攻めだ。

 この手に対し、郷田王将は△6三同金と応じたが、検討陣は△7二金と辛抱すると見ていた。
 △7二金以下は▲6五銀△同桂▲7三銀△同金▲同角成(変化図7)までは、ほぼ一本道。

 ここで、△6六歩なら▲6二歩成△6七歩成▲同飛△6九銀▲6三馬△7八銀成▲同玉△6八金▲同飛△同馬▲同玉△5六桂▲6七玉(変化図8)が想定され、

 ここで、△3三銀や△3三桂と後手玉の延命を図り、飛金銀の持駒で先手玉に迫る手があるかどうか。
 また、変化図7で△6九銀もあり、以下▲7九金△5八銀成▲6二歩成△6八成銀▲同金上(変化図9)が想定される。

 変化図8も変化図9も先手が良さそうだが、本譜の△6三同金以下の進行を考えると、△7二金と辛抱すべきだったらしい。郷田王将も「△6三同金は淡泊でしたね。当然△7二金とするべきところでした」と感想戦で述べ、羽生名人も「それなら大変でした」と同意していた。

 という感想戦の結論だったが、対局中の中継解説を読む限り、検討陣は「△6三同金▲6五銀△同桂▲7二銀(第9図)で悪い」と深く考えていなかったように感じる。

 飛車金両取りが綺麗に掛かったが、以下第10図まで進行すると、△5四金と角取りで金を逃げられ、▲7三角成に△4一飛と逃げられ、▲7二銀が空振りになってしまったように見える。それに、手順に6五に桂を跳ねさせた後の▲7三角成は空成り。さらに、▲9四歩も置き去りの感がある。

 しかし、次の一手が阿久津八段を感心させた好手だった。
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