英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2016年棋王戦 佐藤天八段-渡辺棋王 その4

2016-04-18 22:18:41 | 将棋
「2016年棋王戦 佐藤天八段-渡辺棋王 その1」
「2016年棋王戦 佐藤天八段-渡辺棋王 その2」
「2016年棋王戦 佐藤天八段-渡辺棋王 その3」の続きです。


 前記事でスルーしてしまったが、△4四銀と逃げられた第6図は先手が思わしくないので、やはり、その直前の△8六歩(第5図)の瞬間、▲3三桂成と銀を取るほうが良かったかもしれない。
 桂馬を渡すのは嫌だが、足掛かりになりそうな4四の歩を駒損を避けつつ取り除かれるのは、かなりの損のような気がする。
 第6図以下、▲2四歩△同歩▲2五歩△同歩▲2四歩△8六飛▲8七銀△8四飛▲2五飛(第7図)と進む。


 第7図から、渡辺棋王は巧妙に△7七歩▲同金△7六歩▲7八金を利かす。
 そして、△8六歩(第8図)。


 これに、▲7六銀(第9図)とかわした手に、△4三角が決め手。
 以下、▲3四歩△4五金▲同銀△7六角▲4四銀△8七歩成で、佐藤天八段、投了。

 渡辺棋王が、新手の△7三角により主導権を握り(形勢は微妙)、徐々に引き離しての勝利だった。


 さて、ここで第7図から局面図が多いことに気がつきませんか?


 渡辺棋王が、第7図から巧妙な歩使いで先手玉を攻略したが、その手順に不思議な点があることに気がついた。
 第7図から△7七歩▲同金△7六歩▲7八金を利かして△8六歩(第8図)▲7六銀(第9図)と進んだのだが、第7図から直ちに△8六歩(参考図1)と打っても△7六銀(参考図2)と進む。
 だとすると、実戦の巧妙な歩使いは単なる“歩の無駄遣い”ではなかったのか?



 いったい、どういうことなのか?………………
…………おそらく、第8図、参考図1の△8六歩に対して、非常手段気味に▲8六同銀とする手が関係しているのだろう。
 この▲8六同銀とされた時、7六の歩の有無が関わってくるのではないだろうか?
 おそらく渡辺棋王は、この2つの△8六歩▲7六銀を比較して細かい歩使いをしたのだろう。だとしたら、スルーされた渡辺棋王は残念だったかも。


 『将棋世界』の観戦記だが、
・新手の成否にかかわる局面の掘り下げの物足りなさ……「その2」の第2図の周辺
・「▲4六角が“疑問手”」と記しながら最善手を示さなかった点……「その3」の第3図、第4図周辺
・▲3三桂成はなかったか?……「その4」(本記事)
・2つの△8六歩▲7六銀の違い……「その4」(本記事)

 と、≪少し浅いんじゃないの?≫と残念に感じた。
 申し訳ないが、要注意観戦記者の候補に挙げさせていただく。
コメント (2)
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