英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2016全日本選抜柔道体重別選手権

2016-04-04 22:55:01 | スポーツ
「阿部、かっこいいぞぉっ!」
 この阿部……常に正攻法を念頭に置く阿部隆八段でも、新人王優勝以降も羽生名人を破って棋王戦ベスト4入りするなど着実に実績を残してきている阿部健治郎六段でも、第2回将棋電王戦で習甦に快勝した話し方が純朴な阿部光瑠六段でもない。もちろん、安倍首相でもなく、柔道の体重別選手権の66kg級で優勝した阿部一二三である。

 ロンドン五輪銀メダル、世界選手権優勝3回の海老沼匡を破った準決勝は圧巻だった。
 開始1分、“袖釣り込み腰”で綺麗に海老沼の身体を回転させる(“腹這い”でポイントなし)
 その10秒後、“大外刈り”で“技あり”を取る。さらに、そのまま“上四方固め”に入るが、海老沼が4秒で外した。
 2分10秒、またも“袖釣り込み腰”で海老沼を1回転させる。“技あり”で“合わせ技1本”で勝利かと思ったが、海老沼が最後の瞬間に体を捻って腹這い気味に逃げ、“有効”に訂正される。
 ならばと、その20秒後、背負い投げで担ぎ、堪える海老沼を投げ切り、“1本”!(決まり技は“背負い落とし”)

 世界王者を4回投げ飛ばし、上四方固めも決めかけた、阿部、強し!……海老沼はサンドバッグ(投げ人形)と化してしまった。(五輪代表は海老沼)


【その他、印象に残った階級】
男子60㎏級
 志々目徹が優勝したが、指導1つのリードを、逃げまくっての勝ち。その指導も“消極性”を大島優磨に与えられたが、志々目が無理な体勢から強引に投げたのが3度あっただけで、志々目が“掛け逃げ2の指導を取られてもおかしくないものだった。(それまでも、志々目は終始下がり気味で、大島が常に仕掛けていた)
 それに、その強引な内股を返した“内股返し”を取っても良いような状況だった。

 それからも、志々目の消極性や掛け逃げを続けたが、審判は“指導”を取らず、まさに逃げ切った。
 五輪代表には難しい状況だったが、評価を覆す内容で優勝しなければならない状況であったというのに、全く評価できない優勝だった。

男子100㎏超級
 原沢久喜七戸 龍の本命同士の決勝。組み手で勝ち、気迫で上回った原沢が七戸を圧倒した。原沢の充実を感じた。

 この他、73㎏級・大野将平、81㎏級・永瀬貴規は順当勝ちした。


女子48㎏級
 近藤亜美と浅見八瑠奈の対決が注目されていたが、何と、浅見が初戦敗退。(以前も、決戦を前に浅見が敗れたことがあった気が…)
 決勝は近藤の楽勝かと思われたが、相手の遠藤宏美も強かった。かなり高レベルの試合を、近藤が巴投げ(有効)で制した。

女子70㎏級
 田知本 遥と新井千鶴、勝った方が代表という状況。
 実力は互角か、新井の方が強いように感じたが、気迫で上回った田知本の勝利。
 田知本が“大外刈り”を仕掛け、それを返して巻き込もうとする新井、両者もつれて倒れたが、新井の腰にくっついて倒れる形となった田知本が、直後に新井の身体を返して“有効”を獲得。

 “こういう有効”が部外者には納得できない。
 実際に投げていないし、もつれて倒れた相手を僅かにひっくり返しただけ。“続けた動作”と考えるようだが、どう見ても、分断された動作(技)である。
 阿部の有効、あるいは有効にさえならなかった“袖釣り込み腰”の方が、遥かに“投げた実感”を感じる。

 実は、この試合を取り上げた理由がもう一つあって、試合後半、寝技体勢で田知本が上になった時、新井の身体を返そうとする動作の中で、自分の膝で新井の後頭部をゴリゴリ潰すシーンが3度あった。
 これは反則行為にならないのだろうか?


女子57㎏級
 松本薫が決勝にいないと思ったら、準決勝で押さえ込みを狙っていた松本が急に力を抜いて、体勢を入れ替えられ逆に抑え込みの一本負けを喫したシーンが流れた。
 観客席から飛んだ「待て」の声を審判の声と勘違いしたらしい。
 代表争いでは大きくリードしていたため、無事、代表に選出されたが、そうじゃなかったら、痛恨の勘違いになるところであった。彼女の事だから、良い教訓にするであろう。


 この他、52kg級の中村美里は強さを発揮し優勝。世界選手権では3度優勝しているが、五輪では満足のいく結果を残していない。
 北京五輪では銅メダル、ロンドン五輪では初戦敗退。いずれも安琴愛(北朝鮮)に敗れている。北京では腕力負け、ロンドンでは疑問の判定で敗れている。五輪では運がないと感じるが、≪今回一番金メダルを取って欲しい≫と思う柔道選手だ。
コメント
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