英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

会場が静寂に包まれた………

2023-07-01 17:08:54 | 将棋
大必勝の局面。
羽生九段が山崎玉をどう詰ますか……幾通りも詰みがあって、《こんなもんで詰むだろう》とか、相当雑に詰ましに行っても詰んでしまうような、楽勝の局面だった。


ところが、△4七香。必至を掛ける。
まあ、これでも勝ちなのだろう。羽生九段も勝利を確信したような手つきだった。

………▲2二銀………解説の森内九段は無言。
………ん?△2四玉と上がる一手に…… ▲2五飛と切られると………(飛車切りで手にした)桂を1七に打たれると…詰んでいる


 羽生九段も気がついたのだろう。天を仰ぐ。
 羽生九段のあんな悲痛な顔は初めて見た。

 
 山崎陣に迫りつつ、玉の逃げ道を作る勝利を確定させた△2五桂を取られて詰む……何という皮肉!

 終局後、山崎八段の勝利を讃える拍手はあったものの、会場は水を打ったような静寂。
「いや、ひどかったです」という羽生九段の第一声。


 「好事 魔多し」……そんな言葉が浮かんだのではないだろうか?
 この将棋、羽生九段が冴えに冴えた。緩急、硬軟、巧剛織り交ぜ、山崎八段を翻弄した。
 それだけに、「好事 魔多し」……上手く行き過ぎての油断
 棋士なら、大逆転負けをくらう経験は多い。羽生九段とて、何度も経験している。一手詰を見逃しての大頓死。必勝の局面から疑問手を連発しての大逆転負けもある。
 しかし、おそらく、油断が引き起こした頓死というのはなかったはずだ。
 悔いと、そんな自分を恥じる……そんな感情が滲み出た表情だった。


 それにしても、司会進行の女性の透き通ったきれいな声で
「それでは対局を振り返っていただきましょう」
 大大逆転……あり得ないほどの酷い負け方だったとは、露ほども思っていないのだろう。
《滞りなく進行する》という務めを全力で果たす………結果的に、容赦ない仕打ちだった


 勝利した山崎八段も、なんと話したらよいか分からず、大困惑。

 それなら……△5九とと寄られた時、▲同玉の一手に、△7九龍と王手で角をポロリと取られてしまうのが見えているので、投げ時だったはず(これ以上指しても、ひどくなるだけ)。
 なんで、投げなかったんだよ!……(山崎八段に責任はないです)

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