英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

バスケットボール女子アジアカップ2021 決勝 日本-中国

2021-10-07 21:28:30 | スポーツ
 準決勝で何とかオーストラリアを破った日本だが、決勝の相手の中国の戦いぶりを考えると、決勝は厳しいと見ていた。
 実際には中国の試合を観ていないが、予選リーグでオーストラリアを82-64、準決勝で韓国を93-69で破っており、平均身長で10cm近く日本を上回っている。
 (中国-オーストラリア戦の前半は40-39でほぼ互角だった)

 このスコアはFIBAの公式サイトで知ったもので、BS-TBSの大会ホームページには載っていなかった。
 また、決勝トーナメントで「各組2位 対 3位」の準々決勝が組まれていたのも、FIBAのページで初めて知った。
 準決勝の日本戦のタイムアップ直後、オーストラリアの選手は疲労困憊状態だったが、連戦の疲れもあったのだろう(準々決勝のオーストラリア対ニュージーランドは72-61)。



 日本 2-10 中国……《決勝戦は厳しいかも》という危惧を具現化したような出だしのスコアだ。
 プレー自体はそれほど悪くない。オフェンスはプラン通りのプレーでシュートを打っている。ディフェンスもマークを外してしまうというミスはない。
 ただ、高さを警戒しているのか?決勝戦ということで力が入っているのか?微妙なタッチが狂い、リングに入らない。
 失点はディフェンスのミスと言うより、中国が高さを利用した裏を通すセンタープレーヤーへのパスを通したり、ポストプレーからのパスを受けたカットインや、単独の鋭いドライブシュートなどが、日本のディフェンスを上回ったという感じだった。
 ただし、このままの状態が続けば、中国の圧勝という展開になってしまう。


 この流れを断ち切ったのが宮崎。4-12から3Pシュートを決め、その直後、ボールを運ぶ中国のガードプレーヤーの不用意なパスをカット。そのまま、ドリブルシュートで、日本9-12。
 さらに、リバウンドを拾った林からボールをもらい、そのまま、ドリブルで持ち込みシュート(ほぼ、コースト・トゥ・コースト)。

 あっと言う間に11-12。
 非常に良い流れでスタートした中国だったが、何が何だか分からないうちに1点差。しかも、日本の11点はすべて宮崎。キツネにつままれた気持ちだったのでは?
 おそらく、絶好のスタートに気の緩みが生じたのだろう。
 しかし、中国も踏ん張り得点、日本11-16と5点差に押し戻す。

 日本はリング下へのパスを中田がキャッチミスするなどまだピリッとしなかったが、林が積極的にリングに向かいファールをもらってフリースローを2投決め、13-16。
 オコエや馬瓜ステファニーもシュートを決めるなどして、第1Qは日本19-21。

 ワンサイドゲームになりかねない開始直後の展開だったが、宮崎の得点を上げて流れを変えたため、他の選手も徐々にペースを上げ、プレーの質も良くなっていった。
 特にディフェンス。クォーター中盤からマークを厳しくし、ボールマンへのダブルチームも早くなり、中国に好きにプレーをさせなくした。準決勝の対オーストラリア戦での厳しく激しくしつこいディフェンスが復活した。

 第2Q以降は、一進一退の攻防。互いにペースをつかんだ時間帯があったが、ミスが出るなどして突き放すことはできなかった。
 勝負の行方は最後の最後まで分からない白熱のゲームとなったが、最後まで運動量を落とさず、厳しいディフェンスを貫いた日本が、ゴールを突き抜けた。

日 本  78ー73  中 国
(残り時間0秒でのファールによるフリースローの2点があり、実質は76-73)
 日 本|19|17|16|26|=78
 中 国|21|18|18|16|=73


【勝因】
①宮崎の得点(シュート)、アシスト、ゲームメイク、リバウンドなどの大活躍
②宮崎⇒オコエのホットライン。オコエの縦への突破力は凄かった
③馬瓜ステファニーの変幻自在の攻守。《えっ?そんなことできるの?》と相手プレーヤーを幻惑させるディフェンスやオフェンスだった。
④素早いダブルチーム、身体を張った赤穂、林や東藤などをはじめとする運動量が半端ないディフェンス(マーク)




解説していた高田選手に、《うかうかできないぞ》と思わせた素晴らしい準決勝、決勝だった。

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2 コメント

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感動のフィナーレ! (エスカルゴ)
2021-10-08 22:05:26
英さん、こんばんは。

アジアカップ決勝の記事アップ、ありがとうございます。今回も、試合の概要をしっかりと把握された記事内容で、共感する部分が多かったです。

やはり最初は中国が強いだろうという予測から2-10と走られ、まずいなと思っていたら宮崎がそれを吹き飛ばす連続ポイントで雰囲気を互角に戻しました。ここはかなり大きかったですね。最初はオフェンスも中国の高さにプレッシャーを感じていたのだと思いました。

その後ディフェンスが徐々に中国センター陣に対応して簡単には失点しなくなり、オフェンスも少しずつ得点を重ねられるようになって来て、互角の試合展開となりました。ディフェンスでは、前から当たる、要所でボールマンにダブルチームを仕掛ける、ポストにはダブルチーム、トリプルチームで厳しくプレッシャーを掛けることが出来ていましたし、リバウンドを取られても、ボールを叩きに行くことやボールを下げたらすかさずボールを奪いに行くことを全員が徹底して行っていました。身長差があっても、出来ることをすべて徹底して実行していました。今までのチームでは、ここまでは完璧に出来ていなかったように思います。新HCの恩塚イズムが、ここに一つ現れていたように感じました。お説の通り、ステファニーのダブルチームは威力抜群で、かなり効果が高かったですね。

また、もう一つの恩塚イズムの特徴として、徹底したタイムシェアーがあったと思います。例えば、第1Q4分ぐらいで、もうPGを代える、ということを常に行っていました。一つのQをすべて一人のPGが出場してまかなう、ということは記憶する限り一度もなかったと思います。準決勝で、4Qで一度宮崎を下げたのが良かったと英さんの記事にありましたが、たぶん全試合で4Qは宮崎→山本→宮崎だったと思います。エースPGだから4Q全部宮崎で行くということはしていないのだと思います。フレッシュな状態で選手にプレーさせるのが恩塚イズムだと感じました。

ただ、英さんもお気づきかも知れませんが、やはりスタメンが揃う時間帯では日本がリードし、バックアップメンバーが出場した時間帯では、追いつかれたり逆転されたり、という傾向が強かったように思いました。この点は今後の課題だと思います。ただ、五輪メンバーや渡嘉敷が復帰すれば、かなり改善されると予測はされます。

個々の勝因では、やはりこの試合に限っては26得点の宮崎、次いで22得点のオコエの活躍だったでしょう。宮崎は元々得点能力の高い選手で、それが存分に発揮されました。オコエは終盤のバスカンなど、体の強さを生かしたプレーや3Pでも得点を重ねました。あとはムラがなくなれば、というところですね。ステファニーも攻守に大活躍、フェイダウエイなど難しいシュートも効いていました。ただ、MVPを受賞した赤穂は、この試合では疲れからかやや精彩を欠いていたように見えました。簡単なキャッチミスやシュートミスがあったと感じましたが、それまでの4試合の貢献度は最高で、それがMVPに値したと思います。宮崎も準決勝まではかなり判断ミスが多く、司令塔としてはまだまだ課題が残る感じでしたから。

あと、林はもう少し点を取りたいでしょうね。シューターとしては、毎試合15点以上は取りたいところです。山本は決勝は頑張った方だと思いますが、まだ成長が必要だと思います。また、東堂は決勝ではかなりミスが多かったと感じました。今後の巻き返しに期待したいところです。

全体として、恩塚HCが言っている日本の「アジリティ・速さ」が中国の高さを上回った試合だと感じました。これは私にとっては非常な驚きで、この試合の内容と結果には本当に感動しました。そして、恩塚新HCの手腕と力量は素晴らしいと今回認識しましたし、今後の日本代表女子の活躍も大いに期待できるとワクワクしています。(ワクワクも恩塚氏のキーワードですね)

私はこの試合は、萩原美樹子氏が解説していたフジテレビNEXTで視聴しました。それは、萩原氏の解説がいつも非常に的確だと思っていたからです。この試合は途中からアップダウンの激しい試合で、私も感情的に非常に揺さぶられましたが、萩原氏は口調ひとつ変えることなく冷静な分析で、改めて恐れ入った次第でした。高田真希や渡嘉敷、町田らがこの試合を見て、さらにモチベーションを高めてくれたら、嬉しいですね。長文になり、失礼しました。
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深くて鋭いコメント、ありがとうございます ()
2021-10-09 11:48:32
エスカルゴさん、こんにちは。

 深くてコメント、ありがとうございます。
 それに比べて、私の記事は……熱量が足りなかったです。

 ほぼ同様な感想だったようで、ほっとしていると同時に嬉しいです。

>今までのチームでは、ここまでは完璧に出来ていなかったように思います。

 確かに、ディフェンスに関しては相手へのプレッシャーのかけ方(素早さ、しつこさ)は徹底していました。

>徹底したタイムシェアー

 ええ、計画性のある選手起用でした。

>4Qは宮崎→山本→宮崎だった

 全試合、そうでしたか。ええ、そうだろうなと思っては観ていました。
 特に準決勝、決勝は競っていたので、ホーバス氏より前のヘッドコーチなら、もう少し使い続けたような気がします(特に、今回のPGのメンバーなら)。
 ただし、準決勝戦はオフェンスが機能していない状況だったので、一旦、宮崎をベンチに下げ、指示を与えて、すぐコートに戻したように思いました。

>スタメンが揃う時間帯では日本がリードし、バックアップメンバーが出場した時間帯では、追いつかれたり逆転されたり、という傾向が強かったように思いました

 ええ、私もそう感じました。
 バックアップのメンバーがミスを犯し、それを引きずってしまうことが多かったようです。
 まあ、エスカルゴさんの仰るように、今回出ていないメンバーが復帰すれば、控えのレベルが高くなるので、問題点は解消されると思います。

 宮崎、オコエ、ステファニー、赤穂、山本、藤堂についての感想(それぞれの問題点を含めて)はほぼ同感です。
 藤堂は守備ばかり取り上げられるので、オフェンスに関しては頑張ろうとする気持ちが強すぎるように感じました。
 林に関しては、3Pポジションで待つ機会も少なかったような気がします(相手にマークされていたせいなのか、意図的に減らしたのかは分かりませんが)

 萩原氏の解説は良いですね。
 あと、永田氏、大山氏の解説も好きです。大神氏のリポートも良いですね。
 長文のコメント、ありがとうございました。嬉しいです。
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